月の視差について考えてみた (1)
ちょっと特別なケースについて考えてみます。
月の赤緯は0度
月が南中したとき
地心と月心(?)と“東京”を含む平面で考えます。
地心から見た月の座標は
x=300,000[km]
y=0[km]
です。そして地心から見た東京の座標は東京の緯度を北緯35.66度とすれば
x=6,000[km]*cos(35.66[度])=4,875[km]
y=6,000[km]*sin(35.66[度])=3,498[km]
となります。
東京から見た月の相対座標は
x = 295,125[km]
y = -3,498[km]
ということですから東京から見た月の天頂角は本来赤道の天体が見える方向より
Z = atan2(295,125[km],-3,498[km]) = -0.68度ということになります。ずれて見えることになります。月の赤緯=0度と仮定していますので地心(赤道)で天頂に見えていた月とは-0.68度の視差が生じます。
この視差が具体的にどのくらいのものかと言うと写真で月の半径が1,500ピクセル(これは480mmのレンズでPENTAX Qで撮影した場合に相当します)に写っているとすると月の中心付近では18ピクセルに相当します。
月は地球から近いだけに視差もバカにならない大きさになります。
ちなみに札幌だと緯度43.07度ですから
Z = -0.79度
となりこれは21ピクセルに相当します。
ていねいに画像を比較すれば東京で撮った写真と札幌で撮った写真を判別できないことはなさそうです。
注
以上は緯度だけを問題にしています。比べているのは東京で南中したときに見た月と札幌で南中したときの月です。じっさいには経度の差がありますので視差はもっと大きくなります。
「写真から月の自転軸を求める (1)」以下の記事を書いたとき月の自転軸のパラメータ(P,B0,L0)を求めたあとクレータの緯度・経度から画像上の位置を算出してみたのですが画像の座標との差は1ピクセル以内におさまっていました。3ピクセルというのは誤差以上の差として検出できそうに思います。
関連記事
「月の視差について考えてみた (0)」
このテーマについて考える理由を記しました。
「月の視差について考えてみた (1)」 (この記事)
特殊なケースについて視差を計算してみました。
「月の視差について考えてみた (2-1)」
できるだけ一般的な状況での視差を求める方法を考えます。
まずどのような方針で視差を算出するかを検討します。
「月の視差について考えてみた (2)」
視差の計算方法を具体的に考えます。
「月の視差について考えてみた (3....)」
実際に撮った月の写真で視差を検討します。
« 画像からクレーターの緯度・経度を求める | トップページ | 月の視差について考えてみた (0) »
「編集用」カテゴリの記事
- メモ(2013.11.04)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)(2013.07.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント