座標の回転と行列演算 (1/2)
天体の位置を計算する、みたいな話になると“球面三角法”を思い浮かべる方も多いと思いますが、あれは難しすぎます。そしてそれ以上にいろいろ考えながら計算を進めるときに見通しが悪いように思います。
正弦定理も余弦定理もよくわかってない私の偏見かもしれませんが一言で書くと球面三角は頭のいい人向けでしょう。
天文の計算というのは赤道座標を地心座標に変換するとかいろいろありますが座標の回転というのが非常に多いです。そして座標の回転だったら行列演算の方がはるかに簡単ですし、なによりも見通しがいいです。
これから天文の計算を始めようという方もいらっしゃると思うのでざっとさわりを書いてみたいと思います。
なおほんとの意味で行列の勉強をするのであれば「線形代数」の教科書を読んでいただければと思います。ここに書くのは「行列演算の話」というより「座標回転の簡略化した表現としての行列演算」くらいの意味しかありません。
それからこういう話を書こうと思うと最近どういうわけか「四元数」という言葉が頭に浮かびます。私はぜんぜんわからないので興味のある方はほよほよさんの
「あなたにとって方向が変わらない星」
を読んであとはほよほよさんに教えていただいてください (^^)
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まず最初に二次元での座標の回転を考えます。
ある点の座標が(x,y)を座標軸とする平面で(x0,y0)であったとします。そしてこの座標軸をθだけ反時計回り回転した(x',y')を座標軸とする平面では座標は(x'0,y'0)となります。

この二つには次のような関係がなりたちます。
x'0 = cos(θ)*x0 + sin(θ)*y0
y'0 = -sin(θ)*x0 + cos(θ)*y0
もちろん証明が必要なのですが、本題と離れるので記事の最後に簡単な説明を追加しました。
このような回転は最近記事にしている黒点の移動速度を求める話でもいろいろ出てきます。たとえば
・画像から求めた黒点の座標を日周運動の方向をx軸とする座標に変換する。
・さらにその座標を地球軌道面を基準にした座標に変換する。
というところで使っています。
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さて上の式を見ると両方とも「x0に何かをかけたものとy0に何かを掛けたものを足す」という形になっています。そこで不精して上の式を次のように表すことにします。

上に出てきた式をこういうやり方で表しましょう、というだけのものですが、この表現は
位置ベクトルに回転の行列を掛けると回転後の位置ベクトルが得られる
という行列演算の一つの形にもなっています。
赤い線や青い線は計算のルールを示しています。こんな簡単なものでいちいち説明するまでもないのですが、行列の上の一番目の行の各要素とベクトルの各要素をそれぞれ掛けあわせたのもの合計が得られるベクトルの一番目の要素になり、行列の上の二番目の行の各要素とベクトルの各要素をそれぞれ掛けあわせたのもの合計が得られるベクトルの二番目の要素になるということを示しています。
(2013-05-10 12:47:39 続く)
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x'0 = x0 * cosθ + y0 * sinθ となることの説明

上の図でA,とCを通るようなy’軸に平行な直線を追加します(赤い線です)
x'0 = OG = OF + FG
となります。
ここで三角形ODCとBEAが同じになることに注目すると FG=BE=ODとなります。
x'0
= OF + OD
= OA*cosθ + CO*sinθ
= x0*cosθ + y0*sinθ
ということになります。
y'0 = - x0 * sinθ + y0 * cosθ であることも同様してに説明できます。
(2013-05-10 14:45:43)
座標の回転と行列演算 (1/2)
座標の回転と行列演算 (2/2)
Excelの行列演算の関数を使う
座標の回転の記法について
正弦定理も余弦定理もよくわかってない私の偏見かもしれませんが一言で書くと球面三角は頭のいい人向けでしょう。
天文の計算というのは赤道座標を地心座標に変換するとかいろいろありますが座標の回転というのが非常に多いです。そして座標の回転だったら行列演算の方がはるかに簡単ですし、なによりも見通しがいいです。
これから天文の計算を始めようという方もいらっしゃると思うのでざっとさわりを書いてみたいと思います。
なおほんとの意味で行列の勉強をするのであれば「線形代数」の教科書を読んでいただければと思います。ここに書くのは「行列演算の話」というより「座標回転の簡略化した表現としての行列演算」くらいの意味しかありません。
それからこういう話を書こうと思うと最近どういうわけか「四元数」という言葉が頭に浮かびます。私はぜんぜんわからないので興味のある方はほよほよさんの
「あなたにとって方向が変わらない星」
を読んであとはほよほよさんに教えていただいてください (^^)
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まず最初に二次元での座標の回転を考えます。
ある点の座標が(x,y)を座標軸とする平面で(x0,y0)であったとします。そしてこの座標軸をθだけ反時計回り回転した(x',y')を座標軸とする平面では座標は(x'0,y'0)となります。

この二つには次のような関係がなりたちます。
x'0 = cos(θ)*x0 + sin(θ)*y0
y'0 = -sin(θ)*x0 + cos(θ)*y0
もちろん証明が必要なのですが、本題と離れるので記事の最後に簡単な説明を追加しました。
このような回転は最近記事にしている黒点の移動速度を求める話でもいろいろ出てきます。たとえば
・画像から求めた黒点の座標を日周運動の方向をx軸とする座標に変換する。
・さらにその座標を地球軌道面を基準にした座標に変換する。
というところで使っています。
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さて上の式を見ると両方とも「x0に何かをかけたものとy0に何かを掛けたものを足す」という形になっています。そこで不精して上の式を次のように表すことにします。

上に出てきた式をこういうやり方で表しましょう、というだけのものですが、この表現は
位置ベクトルに回転の行列を掛けると回転後の位置ベクトルが得られる
という行列演算の一つの形にもなっています。
赤い線や青い線は計算のルールを示しています。こんな簡単なものでいちいち説明するまでもないのですが、行列の上の一番目の行の各要素とベクトルの各要素をそれぞれ掛けあわせたのもの合計が得られるベクトルの一番目の要素になり、行列の上の二番目の行の各要素とベクトルの各要素をそれぞれ掛けあわせたのもの合計が得られるベクトルの二番目の要素になるということを示しています。
(2013-05-10 12:47:39 続く)
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x'0 = x0 * cosθ + y0 * sinθ となることの説明

上の図でA,とCを通るようなy’軸に平行な直線を追加します(赤い線です)
x'0 = OG = OF + FG
となります。
ここで三角形ODCとBEAが同じになることに注目すると FG=BE=ODとなります。
x'0
= OF + OD
= OA*cosθ + CO*sinθ
= x0*cosθ + y0*sinθ
ということになります。
y'0 = - x0 * sinθ + y0 * cosθ であることも同様してに説明できます。
(2013-05-10 14:45:43)
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座標の回転と行列演算 (2/2)
Excelの行列演算の関数を使う
座標の回転の記法について
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