月の視差について考えてみた (2-1)
月が地球からどう見えるか(どのような向きに見えるか)はP,B0,L0の三つのパラメータで表されます。
P,B0,L0は「国立天文台 暦計算室 暦象年表 月の自転軸」などで知ることができます。
ただ月は地球から近いので見え方が観測地によって異なります。「国立天文台 暦計算室 暦象年表 月の自転軸」は地心から見たときの値なので特定の観測地から見たときの見え方を知るためにはP,B0,L0の値を観測地の値に換算する必要が生じます。
今回のテーマは(地心の)P,B0,L0から任意の観測地のP,B0,L0を求めることです。
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非常に雑な図ですが......
右側の大きい円が地球、左側の小さい円が月のつもりです。
それぞれ北極方向をz軸、地心から緯度・経度が0の方向をx軸と考えます。この二つの座標系の関係がP,B0,L0で表されているわけです。
B0,L0は月の中心と地心を結ぶ直線(赤い線)が月の表面と交わる点の月面上の緯度・経度です。そして任意の観測地から見たB0,L0はその観測地と月の中心を結ぶ直線(青い線)が月の表面と交わる点の月面上の緯度・経度ということになります。
またPは両者のなす自転軸のなす角度なのですが、具体的には地球から見て月の中心と地心を結ぶ直線と直交し地心を通る平面に投影された月の自転軸が地球のz軸となす角になります。
これは月から見て月の中心と地心を結ぶ直線と直行し月の中心を通る平面に投影された地球の自転軸が月ののz軸となす角でもあります。
任意の観測地からみた場合は上の文章の「地心」というところを「観測地」と置き換えればいいことになります。
いろんな考え方があると思いますが、ここでは月から地球(の自転軸と観測地)がどう見えるかを計算する方法をとってみました。
これは
1. B0,L0を求めるとき月から観測地を見たときの方向余弦を求めればすぐにB0,L0を求めることができる
2. Pを求めるときは月の中心を原点に考えても、観測地を原点に考えてもおなじこと
だからです。
ただ実際にやってみるとちょっと冗長な部分がありもっといい方法があったのかもしれません。
(続く)
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