レデューサーの原理
スコープタウンの天体望遠鏡用のφ60mm、f=480mmmの対物レンズを使ってPENTAX Qで直焦点撮影をしているんですが、困ったことが起きています。
太陽が月がフレームいっぱいに写るようにこの焦点距離にしたのですが、太陽はともかく月はけっこう見かけの大きさが変わるのでフレームに入りきれないときがあるのです。
これはスコープタウンの対物レンズでf=420mmのものがあるのでこれを買うという手もあるのですがなんとなくシャクです。
そこでレデューサー(リデューサー?)を使うことを考えました。
「設計」のためにレデューサー(要するに凸レンズ)の焦点距離や対物レンズとの距離と拡大率(縮小率)の関係を調べます。
焦点距離f1のレンズL1がありそこから結像位置までの距離をaとします。天体を撮るのが目的ですから対象物は無限遠にありa=f1となります。
L1からD離れたところに焦点距離f2のレンズL2を置くと結像位置はL2からa'のところに変化します。
これらの関係を考えます。
L1の結像位置はL2から見ると -(a-D) のところということになります。したがってこれらには次の関係が成り立ちます。
この式からa'は次の式で求められます。
L1でできた像の大きさに対するレデューサーL2を使ったときの像の大きさの比(拡大率・縮小率)mは次のようになります。
じっさいに計算してみました。
b列はf=500mmの対物レンズから400mm離れたところにf=200mmのレデューサーを入れた例です。
こうすると像の大きさは約2/3になることがわかります。f=330mmの対物レンズを使ったのと同じということになります。
さて今回問題になっているのはf=480mmの対物レンズです。お月様がフレームに入りきればいいのでマージン一割として像の大きさが0.9倍くらいになればいいでしょう。
そしてこんなことにあんまりお金を使いたくないのでレデューサとしては余っている星の手帖社の組立天体望遠鏡の対物レンズφ40mm、f=273mmを使います。
この条件で“設計”するとC列のようになり
対物レンズから450mm離れたところに組立天体望遠鏡の対物レンズをおく
ことで意図した結果が得られそうです。
この場合の結像位置はレデューサー(レンズL2)から27mmのところにあります。つまり対物レンズL1からは473mmのところになります。これは本来の結像位置480mmとくらべて大きな違いはありません。とすると現在の鏡筒もなんとか使えそうです。
以上をもとに実際に作ってみることにしました (^^)
(「レデューサーの実際 (1)」、「レデューサーの実際 (2)」に続く)
(2013-06-01 14:15:00)
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参考
レンズの組み合わせについて詳細に解説したページがありました。
FNの高校物理(分野別目次)
「組み合わせレンズの焦点距離と主点の位置」」
(2013-08-20 00:38:09)
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