天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)
今回も
1/f = 1/a + 1/b
から話を始めます。
ところで上の式の根拠は?という鋭いツッコミがほよほよさんからありました。
すみません。解答を用意してませんでした。少々お時間ください (^^;;
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上の式を眺めると1/aと1/bの和が一定ということですから1/aが大きくなれば1/bは小さくなります。このことはaが小さくなればbが大きくなるということを意味します。
一方
I2/I1 = b/a
つまりaとbの比は対象物の大きさとレンズで作られる像の大きさの比になります。この比をdとします。
d=0.5であればたとえば直径2cmの一円玉の像が直径1cmと半分の大きさの像になるということですし、d=2.0であれば逆に直径4cmと倍の大きさの像になることになります。
d=2.0の場合I2にセンサーをおけば実物の二倍の大きさの像がセンサーに写ることになります。
このdは要するに拡大率になっていますし、この対象物とレンズの位置関係はカメラで言えば接写であり、d=1.0であれば等倍撮影、d=2.0であれば二倍拡大撮影です。
1/f = 1/a + 1/b
d = b/a
とすると
1/f = 1/a + 1/(d * a)
1/f = (d + 1) / ( d * a )
d * a = f * ( d + 1 )
a = f * ( d + 1 ) / d
b = 1 / ( 1/f - 1/a )
となります。
今回はレンズの焦点距離f=18.2mmとします(組立望遠鏡の接眼鏡の焦点距離です)
dのいろんな値に対するaとbの値を求めてみます。
この表の意味することはたとえば
レンズから左に91mm離れたところに直径2cmの一円玉をおきレンズから右に22.75mm離れたところにセンサーをおけば直径5mmの一円玉の画像が得られる。
ということであり、また逆に
レンズから左に22.75mm離れたところに直径2cmの一円玉をおきレンズから右に91mm離れたところにセンサーをおけば直径80mmの一円玉の画像が得られる。
ということです。
ここで以下の点に着目しておく必要があります。
対象物をレンズに近づけるほど拡大率は大きくなる。
(ただし対象物・レンズ間の距離はレンズの焦点距離より大きくなければならない)
拡大率が大きくなると結像面(センサーを置くべき位置)はレンズから遠ざかる。
拡大率が小さいときは対象物の位置が変わっても結像面の位置はあまり変化しない。
拡大率が大きいときは対象物の位置がちょっと変化するだけで結像面の位置は大きく変化する。
焦点距離の2倍の距離に対象物があるときは焦点距離の2倍の位置に結像し、対象物と結像の大きさは等しくなる。
そしてこのとき対象物から結像までの距離が最小値 4f となる。
次の二つは絶対的な制約になります。
a > f
a + b > f * 4
(また続く)
(2013-04-11 00:35:56)
(2013-07-26 11:33:02)
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1/f = 1/a + 1/b
から話を始めます。
ところで上の式の根拠は?という鋭いツッコミがほよほよさんからありました。
すみません。解答を用意してませんでした。少々お時間ください (^^;;
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上の式を眺めると1/aと1/bの和が一定ということですから1/aが大きくなれば1/bは小さくなります。このことはaが小さくなればbが大きくなるということを意味します。
一方
I2/I1 = b/a
つまりaとbの比は対象物の大きさとレンズで作られる像の大きさの比になります。この比をdとします。
d=0.5であればたとえば直径2cmの一円玉の像が直径1cmと半分の大きさの像になるということですし、d=2.0であれば逆に直径4cmと倍の大きさの像になることになります。
d=2.0の場合I2にセンサーをおけば実物の二倍の大きさの像がセンサーに写ることになります。
このdは要するに拡大率になっていますし、この対象物とレンズの位置関係はカメラで言えば接写であり、d=1.0であれば等倍撮影、d=2.0であれば二倍拡大撮影です。
1/f = 1/a + 1/b
d = b/a
とすると
1/f = 1/a + 1/(d * a)
1/f = (d + 1) / ( d * a )
d * a = f * ( d + 1 )
a = f * ( d + 1 ) / d
b = 1 / ( 1/f - 1/a )
となります。
今回はレンズの焦点距離f=18.2mmとします(組立望遠鏡の接眼鏡の焦点距離です)
dのいろんな値に対するaとbの値を求めてみます。
d 拡大率 |
a 被写体からレンズまでの距離 |
b レンズから結像面までの距離 |
0.25 | 91.00[mm] | 22.75[mm] |
0.50 | 54.60[mm] | 27.30[mm] |
0.75 | 42.47[mm] | 31.85[mm] |
1.00 | 36.40[mm] | 36.40[mm] |
1.50 | 30.30[mm] | 45.50[mm] |
2.00 | 27.30[mm] | 54.60[mm] |
3.00 | 24.27[mm] | 72.80[mm] |
4.00 | 22.75[mm] | 91.00[mm] |
この表の意味することはたとえば
レンズから左に91mm離れたところに直径2cmの一円玉をおきレンズから右に22.75mm離れたところにセンサーをおけば直径5mmの一円玉の画像が得られる。
ということであり、また逆に
レンズから左に22.75mm離れたところに直径2cmの一円玉をおきレンズから右に91mm離れたところにセンサーをおけば直径80mmの一円玉の画像が得られる。
ということです。
ここで以下の点に着目しておく必要があります。
対象物をレンズに近づけるほど拡大率は大きくなる。
(ただし対象物・レンズ間の距離はレンズの焦点距離より大きくなければならない)
拡大率が大きくなると結像面(センサーを置くべき位置)はレンズから遠ざかる。
拡大率が小さいときは対象物の位置が変わっても結像面の位置はあまり変化しない。
拡大率が大きいときは対象物の位置がちょっと変化するだけで結像面の位置は大きく変化する。
焦点距離の2倍の距離に対象物があるときは焦点距離の2倍の位置に結像し、対象物と結像の大きさは等しくなる。
そしてこのとき対象物から結像までの距離が最小値 4f となる。
次の二つは絶対的な制約になります。
a > f
a + b > f * 4
(また続く)
(2013-04-11 00:35:56)
(2013-07-26 11:33:02)
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「天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)」
対物レンズについて、直焦点撮影について
「天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)」
接眼レンズについて
「天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)」
拡大撮影について
「天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (4)」
拡大率の簡単な計算方法
「天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)」
記事で使った公式の証明
「天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (1)」
拡大撮影との接眼レンズの使い方の違い
「天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (2)」
「虫眼鏡」としての接眼レンズの機能を考える
「天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (3)」
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「天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (4)」
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