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2013年7月26日 (金)

天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)

今度はこういう構成を考えます。
$池袋駅北口のぐんまのやぼう

まずレンズL1によって対象物I1の像I2が得られます。次にレンズL2によって像I2を対象物としてその像I3が得られます。

もしI2、L2間の距離a2がレンズL2の焦点距離f2の二倍より小さければI3の大きさはI2より大きくなります。つまり直焦点撮影で得られるより大きなサイズの画像が得られます。これが拡大撮影といわれるものになります。

前記事の最後に記したように、この場合

  a2 > f2
  a2 + b2 > f2 * 4

が絶対的な制約となります。この条件を満たさない限りどんな倍率でも撮影はできません。また拡大率が上がるほど a2 + b2 の値は大きくなります。

具体的に対物レンズの焦点距離f1=273mm、接眼レンズの焦点距離f2=18.2mmのときを考えると対物レンズとカメラのセンサーは(無限遠の対象物を撮影する場合)

   273[mm] + 18.2[mm] * 4 = 345.8[mm]

から345.8[mm]以上離れていることが要求されます。

たとえば二倍の拡大撮影であれば対物レンズのセンサーの距離は

  273[mm] + 27.3[mm] + 54.6[mm] = 354.9[mm]

四倍の拡大撮影であれば

  273[mm] + 22.8[mm] + 91.0[mm] = 386.8[mm]

と加速度的に大きくなっていきます。

拡大撮影の場合ピントをあわせるにはレンズL2の位置を変えるか、センサーの位置を変えるかしなければならないのですが、センサー(カメラ)の位置を変えてピントを合わせるのは現実にはなかなかむずかしいと思います。

拡大率が大きい場合レンズL2の位置がわずかに違うだけでもカメラを大きく前後しなければなりません。カメラの位置を大きく変えることは機構的にムリがあると思われるので合焦できないケースも頻発すると思います。
この方法で拡大撮影を行う場合は最初に接眼レンズの位置をできるだけ正確に決める必要があります。たとえば上の例で二倍の拡大撮影を行う場合は対物レンズの結像面から接眼レンズの中心を27.3mm離しておきます。これは難しそうですが、接眼鏡をのぞいてピントをあわせた状態ですと接眼レンズの中心は結像面からだいたい接眼鏡の焦点距離18.2mm離れたところにあります。ですからそこから9mm引きぬいたところに接眼鏡セットしておけばいいわけです。

一方接眼レンズL2の位置を動かす方法は上の制約条件を満たしている限り必ず合焦する位置が存在します。ただこれもカメラの位置を適当に決めてしまうと意図する拡大率にすることができません。上の式のように拡大率に対する対物レンズとセンサーの距離を計算してカメラを適切な位置に配置した上で接眼レンズを調整して合焦位置を求める必要があります。

さらに拡大率を一定の値にしたいような場合はまず接眼鏡とセンサーの距離を調整した上で接眼鏡とカメラの位置関係を保ったまま接眼鏡・カメラをいっしょに移動できるような構造が必要になります。

(2013-04-11 02:31:15)
(2013-07-26 11:34:51)
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天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)
    対物レンズについて、直焦点撮影について
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)
    接眼レンズについて
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)
    拡大撮影について
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (4)
    拡大率の簡単な計算方法
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)
    記事で使った公式の証明

天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (1)
    拡大撮影との接眼レンズの使い方の違い
天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (2)
    「虫眼鏡」としての接眼レンズの機能を考える
天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (3)
    天体望遠鏡の機能とコリメート撮影を考える
天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (4)
 
    天体望遠鏡の機能とコリメート撮影を考える

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