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2013年7月26日 (金)

天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (3)

いよいよコリメート撮影の話になるのでまず前記事の図に対物レンズを追加します。
$池袋駅北口のぐんまのやぼう

図を流用しているので収拾がつかなくなっていますが大目に見てください。とくに対物レンズの焦点距離foが接眼レンズの焦点距離feより小さいところとか (^^;;

厳密に考えると面倒なので適当に簡略化して考えます。
対象物I0と対物レンズでできる像I1の大きさには次の関係があります。

  I1 = I0 / ( ao / fo - 1 )

ここで ao >> fo であることから

  I1 = I0 * fo / ao (1)

となります。次に接眼レンズでできるI1の像I2の大きさを考えます。こんどはbeの方で表します。

  I2 = I1 * ( be / fe - 1 )

ここでは bo = ao + bo + ae になるように ae を調整するものとします。そうすると be >> fe であることを考慮し

  I2 = I1 * be / fe (2)

となります。(1)と(2)から

  I2 = I0 * fo / ao * be / fe

なのですが ao >> bo、ao >> ae ですからこの式はao = beと考え

  I2 = I0 * fo / fe

となります。I2がI0と同じ所になるようにしていますのでこの天体望遠鏡の倍率は

  I2 / I0 = Io * fo / fe / I0 = fo / fe

です。組立天体望遠鏡のレンズの焦点距離で考えると

  273[mm] / 18.2[mm] = 15

で15倍ということになります。

ヒマな方は以上の計算を簡略化しないて計算してみるとおもしろいと思います(倍率が上の値よりちょっとだけ大きくなる位置関係があります)

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さてコリメート撮影というのは目で見る位置=接眼レンズの直後=にカメラをおいて写真を撮るわけですから目で見たときと同じで望遠鏡の倍率分I0の像が大きく写ることになります。

たとえば50mmのレンズのカメラと組立天体望遠鏡を使って撮影をすればだいたい750mmのレンズを使って撮ったような画像が得られます。

なお、たとえばPENTAX K-rとPENTAX Qで35mm換算の焦点距離が同じレンズでコリメート撮影を行うと天体は画角的に同じ大きさの画像になります。一方直焦点や拡大撮影ではまったく画角の違う画像が得られます。どのような撮影方法をとるか考えるときこの点は頭にいれておく必要があります。

次にコリメート撮影の注意点を書いて終わりにします。

(2013-04-13 14:31:08)
(2013-07-26 11:18:18)
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天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (1)
天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (2)
天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (3)
天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (4)
 

天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (4)
天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)


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