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2013年8月21日 (水)

色分解能 (2)

一つ前の記事

  「色分解能 (2)

に重大な事実認識の誤りがあったので訂正しました。一言で言えば悲しいお知らせの部類です (^^;;

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天文に興味のある方で(望遠鏡の)「分解能」という言葉を知らない方はいらっしゃらないでしょう。
どれだけ近接した天体を分離して識別できるかという意味で使われます。この意味からとうぜん単位は角度(ふつう秒)になります。

定義は他にもあって例えば人間の目の分解能「視力」であればが次のように定義されます。

(識別できる最小の)直径:円弧の幅:輪の開いている幅=5:1:1のサイズである円環(ランドルト環)の分単位で表した開いている幅の視角の逆数

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天体の観測をするのには分解能が高いほうがいいに決まっています。望遠鏡の分解能が何で決まるかというと対物レンズ(対物鏡)の口径で決まります。

ここでは「識別できる」ということばの定義があいまいですが、「識別できる」ということばの意味をどう定義したとしても

  分解能 ∝ 1 / 対物レンズの口径

という関係はかわりません。

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分光器にも「どれだけ細かい波長の差を識別できるか」という意味の分解能という概念があります。

この分解能、つまり色分解能は

  λ / Δλ

で表されます。つまりある分光器がぎりぎり500nmの波長と502nmの波長の光を識別できたとするとこの分光器の分解能は 500 / (502 - 500 ) = 250 ということになります。

じゃあ分光器の分解能は何で決まるか?

プリズムの場合はこんな式で表されます

  b * dn/dλ

ここでbはプリズムの一辺の長さ、dn/dλはプリズムの材質の屈折率を波長で微分したものです。

dn/dλは「物性」ですから好き勝手にいじれるものではありません。例えば石英ガラスの場合だと理科年表で見ると500nmくらいの波長に対しては

  4e-05[1/nm]

くらいのものでしょう。
    
一辺が10mmのプリズムだと500nmの波長に対する色分解能は400ということになります。

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今回はゼーマン効果を観測しようとしているわけですがゼーマン効果を観測するために必要な色解像度は前回の記事の鉄の吸収線の例だと

  630 / 0.02 = 31,500

ということになります。

プリズムでこの色解像度を実現するためには一辺が800mm近いものが必要ということになります (^^)

言うまでもないことですが、上の文章の意味は

  30,000程度の色解像度を実現するためには最低でも一辺800mmのプリズムが必要

ということであって

  一辺800mmのプリズムがあれば必ず30,000程度の色解像度が実現できる

という意味ではありません。これは対物レンズの(空間)解像度とおんなじです。

(続く)

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ここで終わるとオリジナリティがゼロなのでもう少し考えてみます。

なぜ色解像度はプリズムの一辺の長さに比例するかと言う点です。

光はプリズムで屈折するのですが波長によって屈折率は違います。つまりプリズムから出て行く光は波長によって微妙に出射角が違ってきます。

波長の差を識別する、と書きましたが実際はこの出射角を識別していると言えると思います。

とすればレンズの解像度がレンズの直径に依存するようにプリズムの色解像度がプリズムの大きさに依存するのもとうぜんという気がしないでもないです。あくまで「気がする」だけですが。

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まとめ記事
  
DVD簡易分光器の自作とトラブルシューティング
  「光源別スペクトル(分光分布)一覧表 - DVD簡易分光器による

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国立科学博物館 - 理工学研究部 - 若林文高 - DVD分光器の回折条件
  
Welcome to my homepage. - DVD分光器
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  国立天文台編 「理科年表 第88冊」 丸善出版、2014

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