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2013年8月20日 (火)

歳差運動の謎

地軸の傾きの方向はじつは一定でなく少しづつ動いており傾きを保ったまま26,000年で一周しているという話はたいていの天文関係の本に書いてあります。

これはヒッパルコスの時代からわかっているわけですが、とうぜん、どうして?という疑問が湧いてきます。

よくあるのはコマの首振りとおんなじ、という説明です。
$池袋駅南口の天文計算

でもよく考えるとなんとなくウソっぽい気がしてきます。

コマはO点で支えられているわけですが地球は南極点あたりで支えられているのでしょうか?

またコマの首振りと同じなら公転面に対して赤道面が傾いていたらかならず歳差が起きるはずですが、じつはそうではなさそうです。

この説明は

  塩の満ち干潮の満ち干は太陽や月の引力で海水が引っ張られて起きる

という話に似ています。

もう少していねいに説明してあるものだと、地球は回転楕円体だから、というのがはいります。
(真球からはずれた部分について)太陽(あるいは月)に面している側とその反対側では太陽(あるいは月)からの距離が違うので引力の強さに違いがあるから自転軸を引き起こそうとする力が働く、ということになります。

確かにそういう力は働くでしょうがじっさいには自転軸は引き起こされず一定の傾きを保つわけですから、それに対する説明が必要でしょう。

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こういう現象を正確に説明するためには「剛体の力学」の知識・理解が必要になります。だいだい歳差の説明よりなぜ回転するコマが倒れないかの説明が先でしょう(念のために書いておきますが私に『「剛体の力学」の知識・理解』があるというわけではないです)

こういうのはいくらもっともらしく説明されたとしても、

  なぜ歳差運動が起きるかをきちんと理論的に説明した上で
  さらにその理論を適用して歳差運動の周期が26,000年になることを示し
  理論が正しいことを検証してないと

なかなか信用できません。

じっさいそういうことをやってある書籍があるので紹介しておきます。

  シリーズ現代の天文学 13
    福島登志夫天体の位置と運動

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「剛体の力学」(回転運動)に興味のある方はこのあたりから始めたらどうでしょうか。

EMANの物理学
  「コマはなぜ立っていられる?

上で「歳差の説明よりなぜ回転するコマが倒れないかの説明が先」と書いたのですが、ここには

  歳差運動を分かりやすく説明することが、 コマがなぜ倒れないでいられるかを説明する近道

とあります (^^;;

他に「物理のかぎしっぽ」にも「力学」のところに「剛体の力学」があります。

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話が飛躍しますが「剛体の力学」に関連してこんな本もあります。

  下村裕ケンブリッジの卵
    回る卵はなぜ立ち上がりジャンプするのか

内容は

  ゆで卵をテーブルに置いて速く回すと、
  やがて卵は立ち上がる。
  そして、さらに高速で回すと、
  卵はテーブルからひとりでにジャンプするという・・・・

みたいなことを書いた本です。

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