いるか座新星の位置を測定する (訂正あり)
Excelのシートにある誤りを修正しました m(._.)m
(2013-08-22 09:19:54)
------
いるか座新星の位置をわざわざ測定する必要はありませんが、今後、万一、もしかして、新星を発見したときに備えて位置の測定方法を検討してみました。
といってももっともシンプルな方法、近くの三つの恒星の座標から線形補間で新星の位置を特定する、というだけです。
----
すぐに思いつくのは
x:画像の横位置、y:画像の縦位置、z:赤経(赤緯)
と考え既知の恒星三つの座標を通る平面の方程式を求め、それと未知の新星の座標x,yからz(赤経・赤緯)を求める方法です。
この方法でもいいのですが、赤経と赤緯と別に計算しなければいけないのがちょっと気になります。
--
参考までに三点 (x1,y1),(x2,y2),(x3,y3) を通る平面の方程式を書いておきます。
{(y2-y1)(z3-z1)-(y3-y1)(z2-z1)}(x-x1)
+{(z2-z1)(x3-x1)-(z3-z1)(x2-x1)}(y-y1)
+{(x2-x1)(y3-y1)-(x3-x1)(y2-y1)}(z-z1)=0
この式の求め方はネットで調べるといろいろあります。
(2013-08-22 09:54:28)
------
今日、ゼーマン効果とか色分解能について調べているとき目に入った「関連係数法」(恒星社厚生閣「天文・宇宙の辞典」)というのを使ってみることにしました。三点の位置ベクトルで未知の点の位置ベクトルを表して、そのときの係数を赤経、赤緯にも適用する、というような方法だと思いますが、原理をしっかり理解してません。すみません m(._.)m
----
まず、新星の回りの近いところから恒星三つの赤経・赤緯と画像上の座標を調べます。

いるか座新星 α0=? δ=? x0=3066, y0=1123
HIP100780 α1=20h26m01.22s δ1=20d34m56.0s x1=2922,y1=1118
HIP100536 α2=20h23m08.99s δ2=20d51m51.0s x2=3092,y2=1108
HIP100519 α3=20h22m58.69s δ3=20d19m44.2s x3=3059,y3=1229
次にこの連立方程式を解いてD1,D2,D3を求めます。

どうやって解くか?
一次の三元連立方程式なのでいろいろあるのですが、面倒なのでExcelのソルバーを使ってしまいます (^^;;
これもネットで調べると制約条件を使うような方法がありましたがよくわからなかったので愚直に(?)以下のような方法にしました。
こういうのが嫌いな方はちゃんと行列式とか使って解いていただければと思います。
ちなみにExcelではMDETERM()という関数で行列式の値を求めます。
-----
既知なのはC3:E5、H3:H5です。求めたいのはF3:F5のD1,D2,D3です。
C3:E5のマトリックスをF3:F5に掛けます。結果がG3:G5に得られます。

これがH3:H5に一致するようにF3:F5を変化させます。

得られたD1,D2,D3(F3:F)を使って


から未知の天体の赤経・赤緯を求めます。
じつは書籍にあった計算式は画像中心の座標を基準に使うようになっているのですが、この場合意味がないように思ったのでそこは省略してあります。
-----
実際の入力値と計算した結果ですが、画像の座標はそのままではなくそれを10,000で割った値を使っています。これは数学的にはまったく意味がありませんが、(数値の正規化(?)は)Excelでは精度を上げるのに効果があることが多いです。独自の工夫です (^^)

ご覧のとおりなかなかよい精度で発表されている数値と一致しています。
じつはあんまり精度のいい結果は得られないだろうからあと二回くらい、より精度の高い方法、さらに精度の高い方法、と書くつもりだったのですが、これだったら問題ないと思うので今回はこれでやめにします。
-----
上のExcelのシートでは度分秒(時分秒)を度に変換したり、その逆の変換をしたりしてます。
計算式はとても長いので全部見えていません。
こういうやり方を知りたい方は
「度分秒・時分秒と度との変換(1)」 編集
「度分秒・時分秒と度との変換(2)」 編集
をご覧いただければと思います。
(2013-08-22 09:19:54)
------
いるか座新星の位置をわざわざ測定する必要はありませんが、今後、万一、もしかして、新星を発見したときに備えて位置の測定方法を検討してみました。
といってももっともシンプルな方法、近くの三つの恒星の座標から線形補間で新星の位置を特定する、というだけです。
----
すぐに思いつくのは
x:画像の横位置、y:画像の縦位置、z:赤経(赤緯)
と考え既知の恒星三つの座標を通る平面の方程式を求め、それと未知の新星の座標x,yからz(赤経・赤緯)を求める方法です。
この方法でもいいのですが、赤経と赤緯と別に計算しなければいけないのがちょっと気になります。
--
参考までに三点 (x1,y1),(x2,y2),(x3,y3) を通る平面の方程式を書いておきます。
{(y2-y1)(z3-z1)-(y3-y1)(z2-z1)}(x-x1)
+{(z2-z1)(x3-x1)-(z3-z1)(x2-x1)}(y-y1)
+{(x2-x1)(y3-y1)-(x3-x1)(y2-y1)}(z-z1)=0
この式の求め方はネットで調べるといろいろあります。
(2013-08-22 09:54:28)
------
今日、ゼーマン効果とか色分解能について調べているとき目に入った「関連係数法」(恒星社厚生閣「天文・宇宙の辞典」)というのを使ってみることにしました。三点の位置ベクトルで未知の点の位置ベクトルを表して、そのときの係数を赤経、赤緯にも適用する、というような方法だと思いますが、原理をしっかり理解してません。すみません m(._.)m
----
まず、新星の回りの近いところから恒星三つの赤経・赤緯と画像上の座標を調べます。

いるか座新星 α0=? δ=? x0=3066, y0=1123
HIP100780 α1=20h26m01.22s δ1=20d34m56.0s x1=2922,y1=1118
HIP100536 α2=20h23m08.99s δ2=20d51m51.0s x2=3092,y2=1108
HIP100519 α3=20h22m58.69s δ3=20d19m44.2s x3=3059,y3=1229
次にこの連立方程式を解いてD1,D2,D3を求めます。

どうやって解くか?
一次の三元連立方程式なのでいろいろあるのですが、面倒なのでExcelのソルバーを使ってしまいます (^^;;
これもネットで調べると制約条件を使うような方法がありましたがよくわからなかったので愚直に(?)以下のような方法にしました。
こういうのが嫌いな方はちゃんと行列式とか使って解いていただければと思います。
ちなみにExcelではMDETERM()という関数で行列式の値を求めます。
-----
既知なのはC3:E5、H3:H5です。求めたいのはF3:F5のD1,D2,D3です。
C3:E5のマトリックスをF3:F5に掛けます。結果がG3:G5に得られます。

これがH3:H5に一致するようにF3:F5を変化させます。

得られたD1,D2,D3(F3:F)を使って


から未知の天体の赤経・赤緯を求めます。
じつは書籍にあった計算式は画像中心の座標を基準に使うようになっているのですが、この場合意味がないように思ったのでそこは省略してあります。
-----
実際の入力値と計算した結果ですが、画像の座標はそのままではなくそれを10,000で割った値を使っています。これは数学的にはまったく意味がありませんが、(数値の正規化(?)は)Excelでは精度を上げるのに効果があることが多いです。独自の工夫です (^^)

ご覧のとおりなかなかよい精度で発表されている数値と一致しています。
じつはあんまり精度のいい結果は得られないだろうからあと二回くらい、より精度の高い方法、さらに精度の高い方法、と書くつもりだったのですが、これだったら問題ないと思うので今回はこれでやめにします。
-----
上のExcelのシートでは度分秒(時分秒)を度に変換したり、その逆の変換をしたりしてます。
計算式はとても長いので全部見えていません。
こういうやり方を知りたい方は
「度分秒・時分秒と度との変換(1)」 編集
「度分秒・時分秒と度との変換(2)」 編集
をご覧いただければと思います。
« 色分解能 (2) | トップページ | いるか座新星の位置を計算する (2) (補足あり) »
「編集用」カテゴリの記事
- メモ(2013.11.04)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)(2013.07.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント