(改良版)手抜き星食計算 (1)
先日「手抜き星食計算」と題して星食の潜入・出現の時刻の予測方法を書きました。
具体的にはこんなことをやっていました。
1. 恒星の位置を調べる。
2. 星食の起こると思われる時刻の前後の月の測心座標(視赤経・視赤緯・視半径)を調べる。
3. 1.と2.から月と恒星の離角を求め
4. 離角が月の視半径とイコールになる時刻を線形補間で求める。
-------
このような方法で予測した星食(掩蔽)の時刻は数秒程度の誤差しかなく、まあ目的は達したわけですが、ちょっと問題があります。上の2.のところです。
この方法だと観測地が違うとその観測地での月の測心座標を調べる必要があります。
自分の決まった観測地の星食の時刻がほしいだけならこれでなんてことはないのですが、複数の観測点の潜入・出現の時刻を求めようとするとけっこう面倒です。
「手抜き」と言いながらぜんぜん「手抜き」になっていません (^^;;
-------
そこでこんなことを考えました。
月の地心座標ももちろん調べることができます。
観測地の地心座標はその緯度・経度から計算できるはずです。
とすれば、月の地心座標から観測地の地心座標を引くことによって月の測心座標を求めることができます。
この方法を使えばこんなことができます。
A. 複数の観測地の潜入・出現の時刻を一挙にもとめることができます。
B. 緯度や経度を少しずつずらしたときの潜入・出現の時刻を簡単に求めることができます。
C. その応用としてある時刻に潜入が起きる地点を地図に(等高線のように)書き込めます。
D. 言葉を変えると指定した時刻に潜入・出現が起きる地点を求めることができます。
-------
具体的にどうするかは次の記事に書くのですが、「緯度φ・経度λ・標高hから地心(直交)座標を求める」にはどうしたらいいのかよくわかりません。調べたらこんな計算式を使うそうです。
地球楕円体の赤道半径をa、離心率をeとするとき
卯酉線曲率半径
N =a / sqrt( 1-e^2 * sin(φ)^2 )
を求めると地心直交座標は
x = ( N + h ) * cos(φ)*cos(λ)
y = ( N + h ) * cos(φ)*sin(λ)
z = ( N * ( 1 - e^2) + h ) * sin(φ)
となるそうです。
この式は理科年表を始めいろんな本に書いてあるのですがどうしてこうなるのか書いた本は見たことがありません。この式の説明はきっと天文学じゃなくて数学(幾何?)なんでしょう。
なお、これで求まるのは地球に固定された直交座標です。実際に必要なのは赤道(直交)座標なのですが、これは上の直交座標をz軸(極軸)を中心にグリニッジ恒星時の分だけ回転すれば得られます。
(続く)
-------
関連記事
「Excelで日食計算」 編集
「Excelで星食計算」 編集
「星食計算に必要な精度について考える (1)」 編集
「星食計算に必要な精度について考える (2)」 編集
「国立天文台 - 手抜き星食計算 (1)」 編集
「続・国立天文台 - 手抜き星食計算 (2)」 編集
「名古屋市科学館 - 手抜き星食計算 (3)」 編集
「愛知県 - 手抜き星食計算 (4)」 編集
「恒星と月の位置の調べ方 - 手抜き星食計算 (5)」 編集
「8月12日スピカの愛知県での潜入と出現 - 手抜き星食計算 (6)」 編集
「星食の潜入・出現の時刻から観測地を特定する方法」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (1/4)」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (2/4)」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (3/4)」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (4/4)」 編集
「8月31日、71 Oriの掩蔽(観測結果)」 編集
「度分秒・時分秒と度との変換(1)」 編集
「度分秒・時分秒と度との変換(2)」 編集
参考記事
惑さん
「スピカ食」
「スピカ食について考える」
参考
長沢工 「日食計算の基礎」
長谷川一郎「天文計算入門」
渡邊敏夫 「数理天文学」 (内容未確認)
藤沢健太「日食の計算」
(基準面(ベッセル日食要素)は既知であるという前提で書かれています)
「国立天文台 - 相馬充」
「星食観測ハンドブック 2013」
「せんだい宇宙館 - 星食(Occultation)」
「ビデオ観測の方法」
「天平の森天文同好会 星食観測のページ」
具体的にはこんなことをやっていました。
1. 恒星の位置を調べる。
2. 星食の起こると思われる時刻の前後の月の測心座標(視赤経・視赤緯・視半径)を調べる。
3. 1.と2.から月と恒星の離角を求め
4. 離角が月の視半径とイコールになる時刻を線形補間で求める。
-------
このような方法で予測した星食(掩蔽)の時刻は数秒程度の誤差しかなく、まあ目的は達したわけですが、ちょっと問題があります。上の2.のところです。
この方法だと観測地が違うとその観測地での月の測心座標を調べる必要があります。
自分の決まった観測地の星食の時刻がほしいだけならこれでなんてことはないのですが、複数の観測点の潜入・出現の時刻を求めようとするとけっこう面倒です。
「手抜き」と言いながらぜんぜん「手抜き」になっていません (^^;;
-------
そこでこんなことを考えました。
月の地心座標ももちろん調べることができます。
観測地の地心座標はその緯度・経度から計算できるはずです。
とすれば、月の地心座標から観測地の地心座標を引くことによって月の測心座標を求めることができます。
この方法を使えばこんなことができます。
A. 複数の観測地の潜入・出現の時刻を一挙にもとめることができます。
B. 緯度や経度を少しずつずらしたときの潜入・出現の時刻を簡単に求めることができます。
C. その応用としてある時刻に潜入が起きる地点を地図に(等高線のように)書き込めます。
D. 言葉を変えると指定した時刻に潜入・出現が起きる地点を求めることができます。
-------
具体的にどうするかは次の記事に書くのですが、「緯度φ・経度λ・標高hから地心(直交)座標を求める」にはどうしたらいいのかよくわかりません。調べたらこんな計算式を使うそうです。
地球楕円体の赤道半径をa、離心率をeとするとき
卯酉線曲率半径
N =a / sqrt( 1-e^2 * sin(φ)^2 )
を求めると地心直交座標は
x = ( N + h ) * cos(φ)*cos(λ)
y = ( N + h ) * cos(φ)*sin(λ)
z = ( N * ( 1 - e^2) + h ) * sin(φ)
となるそうです。
この式は理科年表を始めいろんな本に書いてあるのですがどうしてこうなるのか書いた本は見たことがありません。この式の説明はきっと天文学じゃなくて数学(幾何?)なんでしょう。
なお、これで求まるのは地球に固定された直交座標です。実際に必要なのは赤道(直交)座標なのですが、これは上の直交座標をz軸(極軸)を中心にグリニッジ恒星時の分だけ回転すれば得られます。
(続く)
-------
関連記事
「Excelで日食計算」 編集
「Excelで星食計算」 編集
「星食計算に必要な精度について考える (1)」 編集
「星食計算に必要な精度について考える (2)」 編集
「国立天文台 - 手抜き星食計算 (1)」 編集
「続・国立天文台 - 手抜き星食計算 (2)」 編集
「名古屋市科学館 - 手抜き星食計算 (3)」 編集
「愛知県 - 手抜き星食計算 (4)」 編集
「恒星と月の位置の調べ方 - 手抜き星食計算 (5)」 編集
「8月12日スピカの愛知県での潜入と出現 - 手抜き星食計算 (6)」 編集
「星食の潜入・出現の時刻から観測地を特定する方法」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (1/4)」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (2/4)」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (3/4)」 編集
「本日深夜の71 Oriの掩蔽の時刻を予測する方法 (4/4)」 編集
「8月31日、71 Oriの掩蔽(観測結果)」 編集
「度分秒・時分秒と度との変換(1)」 編集
「度分秒・時分秒と度との変換(2)」 編集
参考記事
惑さん
「スピカ食」
「スピカ食について考える」
参考
長沢工 「日食計算の基礎」
長谷川一郎「天文計算入門」
渡邊敏夫 「数理天文学」 (内容未確認)
藤沢健太「日食の計算」
(基準面(ベッセル日食要素)は既知であるという前提で書かれています)
「国立天文台 - 相馬充」
「星食観測ハンドブック 2013」
「せんだい宇宙館 - 星食(Occultation)」
「ビデオ観測の方法」
「天平の森天文同好会 星食観測のページ」
« 写真から恒星の光度を求めるには? (2) | トップページ | (改良版)手抜き星食計算 (2) »
「編集用」カテゴリの記事
- メモ(2013.11.04)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)(2013.07.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント