(改良版)手抜き星食計算 (2)
「改良版」の趣旨については「(改良版)手抜き星食計算 (1)」に書きましたのでさっそく計算法の具体的な説明に入ります。もちろん今回も計算はExcelでやります。
今回ワークシートの構成について、次回は個別の計算式についての説明になります。
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まずひとつの星食に共通する数値です。
1行目~4行目は定数です。
月公転半径以外はあんまり見慣れない値かもしれませんが長沢工「日食計算の基礎」と同じものを使っています。気分の問題でたいした意味はないです。お好みのものを使ってください。
もちろんこの数値をそのまま使っていただいてもかまいません。
月までの距離にくらべたら観測地の地心座標は小さいですから精度はたいして必要ありません。
月の半径も同書によるものですがこれは可能な限り正確なものが必要です。これから精度をあげていこうとすると方向角による半径の違いや月の重心と形状中心の違いも問題になってくると思われます。
5行目13行目は観測地の地心直交座標を求めます。
前回の手抜き計算のときは度分秒/時分秒から小数表示に変換しましたが今どきたいていの数値は小数点表示で入手可能ですから、今回は小数点表示に統一しました。
緯度・経度・標高から直交座標を求めるところは「(改良版)手抜き星食計算 (1)」に書いた方法です。
14行目~20行目は掩蔽される恒星の緯度・経度と方向余弦です。
恒星の位置も厳密に言ったら観測地によってまた時刻によって変化するわけですが、ひとつの星食について一回調べておけば十分です。
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 恒星の視位置」
で調べます。
今回二つの月の位置から補間して潜入・出現の時刻を算出します。
まず1つ目の月の位置です。
21行目から25行目は国立天文台・暦計算室で調べます。
グリニッジ恒星時
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - グリニッジ恒星時」
は観測地の地心座標を赤道座標に変換するために必要です。地心座標をZ軸の回りにグリニッジ恒星時の分だけ回転したものが赤道座標になります。
月の視位置
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 月の地心座標」
は地心座標です。
まずこれを直交座標に変換します。そしてそれから観測地の直交座標を引いたものが月の測心座標になります。これからふたたび視位置を求めてさらに方向余弦を求めていますが、計算に必要というだけなら直接方向余弦を求めればすみます。
二つ目の月の位置=方向余弦を求めます。
月の位置は時刻を変えて
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 月の地心座標」
で調べますが、グリニッジ恒星時は1つ目のに0.25度を足しただけです。厳密にいうと間違ってます。ただ観測地の直交座標は月の直交座標に対して二桁小さいのでこのあたりは適当にやっていても結果には影響は出ません。
恒星の方向余弦と月の方向余弦の内積から離角がわかります。離角がちょうど月の半径になるときの時刻を補間で求めると潜入・出現の時刻がわかります。
今回は月の視半径も計算で求めています。
なお計算結果は実際の観測結果
名古屋市科学館
「2013年8月12日スピカ食」」
と秒の位まで一致しています。
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星食の起きる時刻の見当をつけ、その前後の1分間隔の月の位置から、というところがスマートじゃないのでもし再改良版を作るときはここのところを改善予定です。
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星食(掩蔽)に関する関連記事や参考文献の一覧はこちら
「星食(掩蔽)参考文献・関連記事一覧」 編集
今回ワークシートの構成について、次回は個別の計算式についての説明になります。
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まずひとつの星食に共通する数値です。
1行目~4行目は定数です。
月公転半径以外はあんまり見慣れない値かもしれませんが長沢工「日食計算の基礎」と同じものを使っています。気分の問題でたいした意味はないです。お好みのものを使ってください。
もちろんこの数値をそのまま使っていただいてもかまいません。
月までの距離にくらべたら観測地の地心座標は小さいですから精度はたいして必要ありません。
月の半径も同書によるものですがこれは可能な限り正確なものが必要です。これから精度をあげていこうとすると方向角による半径の違いや月の重心と形状中心の違いも問題になってくると思われます。
5行目13行目は観測地の地心直交座標を求めます。
前回の手抜き計算のときは度分秒/時分秒から小数表示に変換しましたが今どきたいていの数値は小数点表示で入手可能ですから、今回は小数点表示に統一しました。
緯度・経度・標高から直交座標を求めるところは「(改良版)手抜き星食計算 (1)」に書いた方法です。
14行目~20行目は掩蔽される恒星の緯度・経度と方向余弦です。
恒星の位置も厳密に言ったら観測地によってまた時刻によって変化するわけですが、ひとつの星食について一回調べておけば十分です。
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 恒星の視位置」
で調べます。
今回二つの月の位置から補間して潜入・出現の時刻を算出します。
まず1つ目の月の位置です。
21行目から25行目は国立天文台・暦計算室で調べます。
グリニッジ恒星時
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - グリニッジ恒星時」
は観測地の地心座標を赤道座標に変換するために必要です。地心座標をZ軸の回りにグリニッジ恒星時の分だけ回転したものが赤道座標になります。
月の視位置
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 月の地心座標」
は地心座標です。
まずこれを直交座標に変換します。そしてそれから観測地の直交座標を引いたものが月の測心座標になります。これからふたたび視位置を求めてさらに方向余弦を求めていますが、計算に必要というだけなら直接方向余弦を求めればすみます。
二つ目の月の位置=方向余弦を求めます。
月の位置は時刻を変えて
「国立天文台 - 暦計算室 - 暦象年表 - 月の地心座標」
で調べますが、グリニッジ恒星時は1つ目のに0.25度を足しただけです。厳密にいうと間違ってます。ただ観測地の直交座標は月の直交座標に対して二桁小さいのでこのあたりは適当にやっていても結果には影響は出ません。
恒星の方向余弦と月の方向余弦の内積から離角がわかります。離角がちょうど月の半径になるときの時刻を補間で求めると潜入・出現の時刻がわかります。
今回は月の視半径も計算で求めています。
なお計算結果は実際の観測結果
名古屋市科学館
「2013年8月12日スピカ食」」
と秒の位まで一致しています。
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星食の起きる時刻の見当をつけ、その前後の1分間隔の月の位置から、というところがスマートじゃないのでもし再改良版を作るときはここのところを改善予定です。
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