画像上の天体の位置からその赤経・赤緯を求める
これまで方位角・高度(あるいは赤経・赤緯)のわかっている天体の画像(センサー)上の位置を求めてきたのですが、今回は逆に画像(センサー)上の位置から方位角・高度(あるいは赤経・赤緯)を求めようというお話です。
21個の恒星が写ったこんな画像があったとします。

次のような撮影条件だったとします。
35mm版(フルサイズ)で35mmのレンズをつけたカメラ。
レンズに収差はない
(センサーから35mmのところにピンホールをおいたカメラと考えてもいいと思います)
センサーサイズは 4000x3000
f=35[mm]
Sx=36[mm]
Px=4000
C=f/Sx*Px=3888.9
カメラを赤道儀の極軸上に設置し春分点の方に向け、仰角が7.5度、カメラが右に30度傾いていた(ロールしていた)とします。
まず写っている21個の恒星の画像上の位置(x,y)を求めます。
左上が原点で下あるいは右が座標軸の方向とします。
これから赤経・赤緯を求めるのですがやり方は単純で「カメラの回転を考慮する」でやったことを逆にたどるだけです。
まず(x,y)から接平面上の座標(M''',N''')を求めます。
M''' = -( x - Px/2 ) / C
N''' = -( y - Py/2 ) / C
どちらにも“-”がついていますが意味は違います。M'''の方は接平面のy軸は左側がプラスだからで、N'''の方が画像上のy座標が下側がプラスだからです。
次に接平面でカメラの傾き(ロール)の影響をのぞきます。つまり接平面上の座標を回転します。前記事とは逆に回転しますからsinの符号が逆になります。
次に天球上の座標を求めます。天球上では位置ベクトルの大きさが1になります。したがって接平面上の座標を接平面上の点の位置ベクトルの大きさで割ればいいです。
r = sqrt( 1 + N'' ^ 2 + M'' ^ 2 ) (接平面上では x = 1 です)
L' = 1 / r
M' = M'' / r
N' = N'' / r
天球上の座標が求まりましたのであとはカメラの仰角の影響を除くだけです。これも前記事とは逆向きの回転になりますから、sinの符号が逆になるだけです。
これで天体の方向余弦が求まりましたのでこれを赤経・赤緯に変換します。
M = cos(δ) * sin(α)
N = sin(δ)
下の式から
δ = asin(N)
上の式から
α = asin(M/cos(δ))
となります。
赤経ではなく方位角であれば
M = -cos(h) * sin(A)
ですから
A = - asin(M/cos(h))
です。
象限が考慮されていませんが、これはカメラの撮影範囲が半球面より小さいからです。
求めた21個の恒星の位置をプロットすると下図のようになります。

--------
繰り返しになりますが、実際にはカメラの向きや仰角や傾き(ロール)は正確にはわからないのがふつうです。
ですから既知の天体の画像上の位置からこれらを求め、それをもとに未知の天体の赤経・赤緯を求めることになります。
(2013-04-21 23:02:36)
21個の恒星が写ったこんな画像があったとします。

次のような撮影条件だったとします。
35mm版(フルサイズ)で35mmのレンズをつけたカメラ。
レンズに収差はない
(センサーから35mmのところにピンホールをおいたカメラと考えてもいいと思います)
センサーサイズは 4000x3000
f=35[mm]
Sx=36[mm]
Px=4000
C=f/Sx*Px=3888.9
カメラを赤道儀の極軸上に設置し春分点の方に向け、仰角が7.5度、カメラが右に30度傾いていた(ロールしていた)とします。
まず写っている21個の恒星の画像上の位置(x,y)を求めます。
左上が原点で下あるいは右が座標軸の方向とします。
これから赤経・赤緯を求めるのですがやり方は単純で「カメラの回転を考慮する」でやったことを逆にたどるだけです。
まず(x,y)から接平面上の座標(M''',N''')を求めます。
M''' = -( x - Px/2 ) / C
N''' = -( y - Py/2 ) / C
どちらにも“-”がついていますが意味は違います。M'''の方は接平面のy軸は左側がプラスだからで、N'''の方が画像上のy座標が下側がプラスだからです。
次に接平面でカメラの傾き(ロール)の影響をのぞきます。つまり接平面上の座標を回転します。前記事とは逆に回転しますからsinの符号が逆になります。
┌ | M'' | ┐ | = | ┌ | cos(R) | -sin(R) | ┐ | ┌ | M''' | ┐ | |
└ | N'' | ┘ | └ | sin(R) | cos(R) | ┘ | └ | N''' | ┘ |
次に天球上の座標を求めます。天球上では位置ベクトルの大きさが1になります。したがって接平面上の座標を接平面上の点の位置ベクトルの大きさで割ればいいです。
r = sqrt( 1 + N'' ^ 2 + M'' ^ 2 ) (接平面上では x = 1 です)
L' = 1 / r
M' = M'' / r
N' = N'' / r
天球上の座標が求まりましたのであとはカメラの仰角の影響を除くだけです。これも前記事とは逆向きの回転になりますから、sinの符号が逆になるだけです。
┌ | L | ┐ | = | ┌ | cos(P) | 0 | -sin(P) | ┐ | ┌ | L' | ┐ | ||
│ | M | │ | │ | 0 | 1 | 0 | │ | │ | M' | │ | |||
└ | N | ┘ | └ | sin(P) | 0 | cos(P) | ┘ | └ | N' | ┘ |
これで天体の方向余弦が求まりましたのでこれを赤経・赤緯に変換します。
M = cos(δ) * sin(α)
N = sin(δ)
下の式から
δ = asin(N)
上の式から
α = asin(M/cos(δ))
となります。
赤経ではなく方位角であれば
M = -cos(h) * sin(A)
ですから
A = - asin(M/cos(h))
です。
象限が考慮されていませんが、これはカメラの撮影範囲が半球面より小さいからです。
求めた21個の恒星の位置をプロットすると下図のようになります。

--------
繰り返しになりますが、実際にはカメラの向きや仰角や傾き(ロール)は正確にはわからないのがふつうです。
ですから既知の天体の画像上の位置からこれらを求め、それをもとに未知の天体の赤経・赤緯を求めることになります。
(2013-04-21 23:02:36)
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