観測データから人工衛星の軌道を決定する
これから謎の飛行物体を人工衛星と考えその軌道を求め私が撮影した時刻に太陽の光が当たっていたかどうかを調べたいと思うのですが、その前に観測データ(時刻と衛星の視位置)から軌道をそれなリの精度で決定することができるものかということを検証したいと思います。
----------
材料としてISS(国際宇宙ステーション)の軌道予測を使います。
2013年9月26日に東京(東経139.7度、北緯35.7度)の近くをISSが通過します(見ることができるわけじゃないです)
JAXAのサービス
「宇宙航空研究開発機構 - 起動情報提供サービス」
で予測を入手します。
時間間隔は10秒です。ISSの一周の軌道のわずか1/500でしかありません。こんな断片的なデータからほんとに軌道が求まるものか不安ですがこれができないと「謎の飛行物体」の軌道を決めることもできないでしょう。
どうやって求めるかは後で書くことにして結果を先に書きます。求まった軌道要素はこうなりました。

これが正しいかどうか確認するために
「NORAD Two-Line Element Sets Current Data」
で軌道要素を入手します。
ISS (ZARYA)
1 25544U 98067A 13266.22604257 .00009608 00000-0 17341-3 0 6568
2 25544 51.6507 342.5004 0003195 74.0570 330.0038 15.50444517849919
軌道傾斜角は計算値51.17度に対しNORAD発表は51.6507度です。
今回の目的でいちばん重要な高度なんですがこれは平均運動が15.50444517(平均運動というのは1日あたりの周回数のことです)であることから逆算すると417kmでした。計算値は411kmです。
短時間の観測であってもけっこういい精度で軌道要素が求まりそうです(もちろんそれに見合う観測精度が必要なことは言うまでもありません)
このあと観測値の誤差が結果にどう影響するかみたいな話が必要になるのですが煩雑なので省略します。
なお観測地から衛星までの距離も予測が917kmと939kmなのに対し計算値はこうなっており十分満足できる結果になっています。

---------
具体的なやり方を説明します。
0. 観測点の地心直交座標を求めておきます。
1.上記のAzimuth(方位)とElevation(高度)をそのときの視位置(赤経・赤緯)に変換します。
2. 適当に衛星の軌道を仮定します
(この“適当”は注意が必要です。適当でいいのですがなんとなく衛星の軌道らしいものにします)
今回は“観測データ”は二つしかありませんので円軌道とします。三つあっても観測時刻の間隔は短いですから円軌道と仮定するほうがいいと思いますが....
したがってパラメータは次のようなものになります(便宜上ふつうの軌道要素と言われるものとはちょっと違います)
・衛星の高度(これに地球の半径をプラスすれば軌道半径になります)
・軌道傾斜角
・昇交点の位置
・元期の衛星の位置(昇交点からの離角)
軌道要素(=未知数)は四つですから観測2回(観測データ4個)で求まるはずです。
3. 仮定した衛星の軌道要素から二つの時刻での衛星の地心直交座標を求めます。
4. 衛星の地心直交座標から観測点の地心座標を引いて衛星の測心座標を求めます。
(衛星も周回していますが地球も自転していますので注意が必要です)
5. 測心座標を視位置(赤経・赤緯)に変換します。
6. 計算で求めた視位置と観測した視位置の差ができるだけ小さくなるような軌道要素を求めます。もちろんExcelのソルバーを使います。それしか知りません (^^;;
Excelのワークシートは「謎の物体の正体」の記事の方でアップロードします。
(2013-09-23 19:37:52)
---------
19日未明の6.3等星の掩蔽
19日未明6.3等星掩蔽観測結果+謎の飛行物体
(動画)掩蔽5分前のHIP 113421
謎の飛行物体の正体 (1)
謎の飛行物体の正体 (2)
謎の飛行物体の正体 (3)
観測データから人工衛星の軌道を決定する
----------
材料としてISS(国際宇宙ステーション)の軌道予測を使います。
2013年9月26日に東京(東経139.7度、北緯35.7度)の近くをISSが通過します(見ることができるわけじゃないです)
JAXAのサービス
「宇宙航空研究開発機構 - 起動情報提供サービス」
で予測を入手します。
Time(UTC) | Azimuth(deg) | Elevation(deg) | Range(km) |
22:48:42 | 211.55 | 23.33 | 916.760 |
22:48:52 | 206.90 | 22.54 | 938.570 |
時間間隔は10秒です。ISSの一周の軌道のわずか1/500でしかありません。こんな断片的なデータからほんとに軌道が求まるものか不安ですがこれができないと「謎の飛行物体」の軌道を決めることもできないでしょう。
どうやって求めるかは後で書くことにして結果を先に書きます。求まった軌道要素はこうなりました。

これが正しいかどうか確認するために
「NORAD Two-Line Element Sets Current Data」
で軌道要素を入手します。
ISS (ZARYA)
1 25544U 98067A 13266.22604257 .00009608 00000-0 17341-3 0 6568
2 25544 51.6507 342.5004 0003195 74.0570 330.0038 15.50444517849919
軌道傾斜角は計算値51.17度に対しNORAD発表は51.6507度です。
今回の目的でいちばん重要な高度なんですがこれは平均運動が15.50444517(平均運動というのは1日あたりの周回数のことです)であることから逆算すると417kmでした。計算値は411kmです。
短時間の観測であってもけっこういい精度で軌道要素が求まりそうです(もちろんそれに見合う観測精度が必要なことは言うまでもありません)
このあと観測値の誤差が結果にどう影響するかみたいな話が必要になるのですが煩雑なので省略します。
なお観測地から衛星までの距離も予測が917kmと939kmなのに対し計算値はこうなっており十分満足できる結果になっています。

---------
具体的なやり方を説明します。
0. 観測点の地心直交座標を求めておきます。
1.上記のAzimuth(方位)とElevation(高度)をそのときの視位置(赤経・赤緯)に変換します。
2. 適当に衛星の軌道を仮定します
(この“適当”は注意が必要です。適当でいいのですがなんとなく衛星の軌道らしいものにします)
今回は“観測データ”は二つしかありませんので円軌道とします。三つあっても観測時刻の間隔は短いですから円軌道と仮定するほうがいいと思いますが....
したがってパラメータは次のようなものになります(便宜上ふつうの軌道要素と言われるものとはちょっと違います)
・衛星の高度(これに地球の半径をプラスすれば軌道半径になります)
・軌道傾斜角
・昇交点の位置
・元期の衛星の位置(昇交点からの離角)
軌道要素(=未知数)は四つですから観測2回(観測データ4個)で求まるはずです。
3. 仮定した衛星の軌道要素から二つの時刻での衛星の地心直交座標を求めます。
4. 衛星の地心直交座標から観測点の地心座標を引いて衛星の測心座標を求めます。
(衛星も周回していますが地球も自転していますので注意が必要です)
5. 測心座標を視位置(赤経・赤緯)に変換します。
6. 計算で求めた視位置と観測した視位置の差ができるだけ小さくなるような軌道要素を求めます。もちろんExcelのソルバーを使います。それしか知りません (^^;;
Excelのワークシートは「謎の物体の正体」の記事の方でアップロードします。
(2013-09-23 19:37:52)
---------
19日未明の6.3等星の掩蔽
19日未明6.3等星掩蔽観測結果+謎の飛行物体
(動画)掩蔽5分前のHIP 113421
謎の飛行物体の正体 (1)
謎の飛行物体の正体 (2)
謎の飛行物体の正体 (3)
観測データから人工衛星の軌道を決定する
« 無責任にうるう秒について考えてみた | トップページ | 軌道を求める - 謎の飛行物体の正体 (4) »
「編集用」カテゴリの記事
- メモ(2013.11.04)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (1)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (2)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (3)(2013.07.26)
- 天体望遠鏡・拡大撮影の原理 (0)(2013.07.26)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント