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2013年10月 3日 (木)

天体力学 - 天文計算の本 (1)

おこがましいのですが天文計算の本について内容を紹介しようという企画です。

天文計算というと位置、軌道推算、軌道決定みたいなことで天体力学はちょっと違うような気もするのですが、アマチュアが読めるような本は少なそうなので最初にもってきました。

堀源一郎「天体力学講義」

今まで見た(≠読んだ)中ではいちばん天体力学っぽい本です。要するに私には論評できないレベルの本です。
第一章が「除法のできるベクトル算法」というタイトルなんですが四元数の説明が延々と続きます。もうここで挫折しそうです (^^;;
その後は二体問題、ケプラー運動、三体問題、摂動論からなります。
わからないなりにもパラパラ眺めると論旨は明快です。大学の教科書らしく学生が眠くならないようにするためと思われるトピックもいくつかあり、そういうのだけでも読んでいるとなかなか興味深いです。そういうのをきっかけにもっと天体力学を勉強しようと思う人もいるのかも....

長沢工「天体力学入門」

こちらは上下巻に分かれています。そして上巻はほとんどが力学(運動とかポテンシャルとか運動方程式)に費やされていて最後に二体問題が出てきます。そして下巻の方が摂動です。
構成を見るとわかるように基礎的なところか徐々に説明していこうという本です。「入門」だからとうぜんでしょうが...
天体力学というと摂動ということになり摂動というと解析力学の理解が必要になって敷居が高いのですが、できるだけその敷居を低くしようと努力されています。以前どっかの記事に書いた「学生が理解できないのは教え方が悪いから」みたいなことも書いてあって正準変換についても丁寧に説明してあります。
はじめて読むには無難な本ではないでしょうか。

福島登志夫編「天体の位置と運動」

後半が天体力学です。あんまり分量がないので勉強する本というよりある程度経験(?)を積んだ方が天体力学の常識を身につけるための本なんじゃないかと思います。
最後に天体の自転運動があり歳差についても力学的に説明してあります。歳差の周期を求める式とか...

長谷川一郎「天体軌道論」

著者は「一般摂動は天体力学の分野だからこの本じゃ触れない」みたいなスタンスですからこの本は天体力学の本ではないと思いますが後半で特別摂動についてかなりのページを使って説明してありますのでリストにあげました。
ところで長谷川一郎というお名前から想像するのは「天文計算入門」なんですが、この本はアプローチの仕方がかなり違います。計算機によって「計算コスト」が低下してから書かれた本だからでしょう。そういう意味では読みやすいと思いますし天文計算マニアには役にたつ本だと思います。

荒木俊馬「天体力学」とか萩原雄祐「天体力学の基礎」とか他の本も目にする機会があったら追記します。

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