ぜんぜん遅延していなかったスマホの117
遅延していなかったというだけで別に正確だったという話ではありません。やっぱり掩蔽(星食)の厳密な時刻の確認に使うのはやめたほうがよさそうです。
でも他に時刻を知る手段がなければ以下を理解した上で使うのはありかなと思います。
参考記事
「ほよほよさん - 28日未明の星食(60Cnc) 動画追記」
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例えば
「星食観測ハンドブック 2013」
には次のような記述があります。
携帯電話 (PHS を含む) を使う場合の電話の時報や電波時計では 0.2 秒前後の遅れがありうることに留意されたい
まあもっともな話です。昔と違って今の携帯は通話内容が暗号化されているわけですから暗号化や復号に時間はかかるだろうし基地局間もデジタル化されているかもしれません。予測不能な遅延が発生するのもあたりまえです。
でもなにごとも確かめなければ気が済まない私はじっさいにどのくらい遅延しているものか調べてみることにしました。
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やり方は簡単でスマホの117とGPSの1PPS出力(秒信号)とTXA出力(測位情報)をいっしょに録音しておいて比較するだけです。

117の方はアナウンスが入るので時刻はすぐにわかります。上側の117の波形を見ると41.27秒くらいのところに23時21分09秒、42.27秒くらいのところに23時21分10秒の秒信号があります。
一方GPSの波形を見ると41.36秒のところに1PPS出力(のエッジ)が見られます。
もしスマホの117が遅延しているのであればこの1PPS出力は23時21分10秒のものでスマホの117は0.91秒遅延していることになります。別に通信衛星を使っているわけでもないのにこの遅延は大きすぎるように思えます。こんなに遅延があったら会話だって成り立たないでしょう。
とすると0.09秒先行している可能性が出てきます。
1PPS出力は正確に正秒を刻んでいるのですがこれから時刻を知ることはできません。TXA出力(測位情報)から時刻を読み取る必要があります。
こういう波形から時刻を調べます。

だいたい0.0023秒で1byte(一文字)を送出しています。時刻情報を送っているところを抜き出してみました。肝心の秒の二桁目が抜けていますが。
時の一桁目(“1”)と分の二桁目(“1”)は波形がおんなじです。
読取りは
「根性でGPS情報を読んでみた」
に書いた方法です。
結果はこうなりました。「$GPGGA」のところは読み取っていません。時分秒の後に“.”が来ますので確認のため読取ります。

14:21:09UTCですから23:21:09JSTです。そしてこの時刻は直前の1PPS出力の時刻を示しています。
結論としては
このとき私のスマホの117は0.09秒進んでいた。
ということになります(あるいは、-0.09秒遅延していた)
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三回やってみましたがもちろん毎回結果は違います。でもだいたい0.1秒くらい進んでいました。
どうやらスマホの117は遅延を見越して少し早めに秒信号が送出されているようです。もし実質的な遅延が0.2秒なのなら0.3秒早めて送出されていることになります。
これはSoftbank iPhone4 iOS7の結果です。他のスマホでどうなのかは調べてみないとわかりません。
(2013-10-30 01:37:53)
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三回の測定結果も書いておきます。
それぞれ数十秒の録音から一箇所だけ測っています。毎秒少しずつ違うということもあるかもしれません。
(2013-10-30 02:10:28)
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関連記事
GPSモジュール
「GPSモジュールを使ってみた」 編集
「GPSモジュールを使ってみた(2)」 編集
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「GPS受信モジュールを組み込む」 編集
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「JJYを受信する」 編集
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JJY
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「受信機内部の遅延を調べる」 編集
「続・受信機内部の遅延を調べる」 編集
「光の速度が有限であること (1)」 編集
「光の速度が有限であること (2)」 編集
その他時刻標準
「JOAKとGPS」 編集
「ぜんぜん遅延していなかったスマホの117」 編集
うるう秒
「うるう秒の研究」 編集
「無責任にうるう秒について考えてみた」 編集
掩蔽
「掩蔽(星食)参考文献・関連記事一覧」 編集
でも他に時刻を知る手段がなければ以下を理解した上で使うのはありかなと思います。
参考記事
「ほよほよさん - 28日未明の星食(60Cnc) 動画追記」
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例えば
「星食観測ハンドブック 2013」
には次のような記述があります。
携帯電話 (PHS を含む) を使う場合の電話の時報や電波時計では 0.2 秒前後の遅れがありうることに留意されたい
まあもっともな話です。昔と違って今の携帯は通話内容が暗号化されているわけですから暗号化や復号に時間はかかるだろうし基地局間もデジタル化されているかもしれません。予測不能な遅延が発生するのもあたりまえです。
でもなにごとも確かめなければ気が済まない私はじっさいにどのくらい遅延しているものか調べてみることにしました。
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やり方は簡単でスマホの117とGPSの1PPS出力(秒信号)とTXA出力(測位情報)をいっしょに録音しておいて比較するだけです。

117の方はアナウンスが入るので時刻はすぐにわかります。上側の117の波形を見ると41.27秒くらいのところに23時21分09秒、42.27秒くらいのところに23時21分10秒の秒信号があります。
一方GPSの波形を見ると41.36秒のところに1PPS出力(のエッジ)が見られます。
もしスマホの117が遅延しているのであればこの1PPS出力は23時21分10秒のものでスマホの117は0.91秒遅延していることになります。別に通信衛星を使っているわけでもないのにこの遅延は大きすぎるように思えます。こんなに遅延があったら会話だって成り立たないでしょう。
とすると0.09秒先行している可能性が出てきます。
1PPS出力は正確に正秒を刻んでいるのですがこれから時刻を知ることはできません。TXA出力(測位情報)から時刻を読み取る必要があります。
こういう波形から時刻を調べます。

だいたい0.0023秒で1byte(一文字)を送出しています。時刻情報を送っているところを抜き出してみました。肝心の秒の二桁目が抜けていますが。
時の一桁目(“1”)と分の二桁目(“1”)は波形がおんなじです。
読取りは
「根性でGPS情報を読んでみた」
に書いた方法です。
結果はこうなりました。「$GPGGA」のところは読み取っていません。時分秒の後に“.”が来ますので確認のため読取ります。

14:21:09UTCですから23:21:09JSTです。そしてこの時刻は直前の1PPS出力の時刻を示しています。
結論としては
このとき私のスマホの117は0.09秒進んでいた。
ということになります(あるいは、-0.09秒遅延していた)
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三回やってみましたがもちろん毎回結果は違います。でもだいたい0.1秒くらい進んでいました。
どうやらスマホの117は遅延を見越して少し早めに秒信号が送出されているようです。もし実質的な遅延が0.2秒なのなら0.3秒早めて送出されていることになります。
これはSoftbank iPhone4 iOS7の結果です。他のスマホでどうなのかは調べてみないとわかりません。
(2013-10-30 01:37:53)
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三回の測定結果も書いておきます。
時刻 | 遅延時間 |
18:37 | -0.100秒 |
21:34 | -0.112秒 |
23:21 | -0.097秒 |
それぞれ数十秒の録音から一箇所だけ測っています。毎秒少しずつ違うということもあるかもしれません。
(2013-10-30 02:10:28)
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