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2013年11月 4日 (月)

太陽の自転軸のパラメーターP,B0,L0を「計算で」求める (7)

地球から見た自転軸の向き:P地球から見た太陽面の中点の日面緯度:B0の求め方を書いたので最後は地球から見た太陽面の中点の日面経度:L0になります。

PもB0も一言で言うと「太陽と地球の(自転軸の)相対的な位置関係」のみで決まります。つまり座標がJ2000.0か瞬時のものかみたいな話は関係なくなります。
と書きつつ記事に書いたPの計算は地軸と太陽の自転軸がなす角ではなくて天の北極と太陽の自転軸がなす角を求めてしまっています。地軸と天の北極を向いていないときを考慮していないのでデータがJ2000.0で表された場合は使えません。後から気づきました。座標系に依存しないような計算方法を再度記事にする予定です)

L0も二つの天体の相対的な位置関係で決まる量なんですが二つ問題になる点があります。一つは経度の原点がどこかということです。

  「国立天文台 - 暦計算室 - こよみ用語解説

によれた太陽の経度原点は次のように定義されています。

  「日面経度は1854年1月1日グリニジ平均正午において黄道面に対する太陽の赤道面の昇交点を通る日面子午線を経度の原点としたものです。

一方月の(月面経度)の原点の定義は

月面の座標系は平均地球・極の方向にもとづいています(mean Earth/polar axis system, ME system)

となっています。どちらもわかるようなわからないような....
太陽の場合はもちろんそこに何かあるなんてことはあるわけないですし、月の場合もそこに(少なくとも小望遠鏡で見えるような)めぼしいものはありませんでした。

もう一つは日面経度(月面経度)には自転が関係してくることです。月の方は明らかで27.32166157日です。一方太陽の方はちょっと問題です。

地球に対する自転の周期は27.2753日、恒星に対する周期は25.38日になります(カリントン周期:太陽緯度±16度付近)

となっています。なんだかアバウトな感じでほんとにこれを使って日面経度を計算しているのか疑問になります。

方針としては

1. 月のL0を計算してみる。
2. 結果が正しければ日面経度を計算し計算結果から自転周期を求めてみる。

と進めることにしました。

現在1.の途中です。

  「(どうしても結果が合わない)月の秤動を計算する話

前途多難です。

今のところこんな方法で試みています。

まず正しく求まっていると思われるPとB0の値が暦象年表のP、B0と一致するように自転軸の向きを決めます。
次にこれをもとにL0を計算しこれが暦象年表と一致するように補正値を決めます。
最後にしばらく日にちがたってからのL0の値をおなじようにして求めます。ただしこのときは補正値は最初に決めた値をそのまま使います。

A. 月から見た地球の方向余弦(=地球から見た月の方向余弦)をもとに月の自転軸がx軸の方向を向くようにz軸を中心に回転し、そのあと自転軸が北極を向くように回転する。

この方法はz軸中心の回転角と経度の変化がイコールでないのでよくないようです。回転角と経度の変化の差を補正したつもりですがそれでも暦象年表の値とぴったり一致しません。

B. Pを求めるとき月の自転軸に対する視位置の影響を計算するのですが、そのときいっしょに月のx軸(=月の中心と月の(仮の)経度原点を結ぶ直線)も同じように計算しておきます。
P(北極方向角)が求まったあと月をPだけ回転しさらにB0回転します。そこでx軸の方向余弦から月面経度を求める。

これでもいいように思うのですが、これは日にちを変えて計算すると0.1度を越える誤差が出ています (^^;;

C. まず月の位置に自転軸が傾いていない月をおき。これを自転軸の方向・傾きの分だけ回転して月面経度を求めます。

これが記事にした方法なのですが日にちを変えて計算すると0.01度~0.02度の誤差が出ます。これはいちばんシンプルで間違いがない方法にように思えたのですが....

D. 月から見た地球の方向余弦を未知数にして月の自転軸を(地球の)天の北極方向に起こし自転軸の方向の分だけ回転したときの方向余弦を求める式を作ります。この方向余弦は地球の赤道座標で考えたときの月から見た地球の方向余弦に一致するはずなので方程式を解いて未知数にした最初の方向余弦を求める。

実用的にはあんまり意味ないですが検算用ということで検討しました。


どうもPやB0の求め方が正しいかまでもどって考えた方がいいような気もします。

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