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2013年11月30日 (土)

意外に大きかった(?)レンズの歪曲収差

星野写真(地上の構造物が写っているので星景写真と言った方がいいかも)の恒星の位置を調べカメラの向きを決定し、それをもとにカノープスの見える位置を求めようとしたときレンズの歪曲収差を無視するとまともな結果が得られないことがわかりました。
具体的にどの程度の歪曲収差があったかをグラフにしてみました。
使っているのは28mm~300mmのズームで100mm程度の焦点距離でAPS-Cのセンサーのカメラです。
$池袋駅南口の天文計算

仮に画像中心から2,000ピクセルくらい離れたところの星像は正しい位置に写っているとすると画像中心から1,300ピクセルくらいのところの星像は10ピクセル近く内側に画像の隅にあたる2500ピクセルくらいのところだと20ピクセル近く外側に写っています。

恒星の赤経・赤緯から画像上の位置を計算するときあるいはその逆の計算を行うとき1ピクセルの違いも問題にしていますのでとんでもない収差が発生していることになります。少なくともこういう計算をするとき歪曲収差を無視して計算してもあんまり意味のある結果は得られないでしょう。

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このグラフだけだと直感的にわかりにくいのですが収差を表すグラフの傾きが右下がりになっていれば樽型収差が起きていることを意味し、グラフが右上がりであれば糸巻収差が起きていることを意味します。そしてグラフの傾きが大きいほど収差がひどいことになります。
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以上の説明の樽型収差と糸巻収差の判断基準は間違っていました。ことばで説明するのはなかなか難しいのでそのうちチャートがどう写るかというような目に見えるような形で記事を書いてみたいと思います。
(2013-11-30 17:52:06)
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画像中心から半径1300ピクセルくらいでは樽型収差が起きその外側では糸巻収差が起きていることになります。つまりこのレンズの場合は陣笠型の歪曲収差ということになるのだと思いますが内側の収差はそれほど激しくないのでこのレンズでチャートや方眼紙を写した写真を見た人は糸巻収差が起きていると判断しそうな気がします。

ただ(恒星の位置の計算には大きな影響がありますが)このレンズで写した写真を見て歪曲収差があることにすぐ気づく方は多くはないような気がします。歪曲収差は直線が直線に見えないので気づくものだと思いますが画像の中心(の近く)を通る直線は(ほとんど)直線のままですから周辺部が問題になります。周辺部にある直線の場合画像中心からの距離の変化は小さいので歪曲収差上のグラフの数値から感じられるほどには影響しません。

タイトルは「意外に大きい」と書いたのですがふつうに写真を撮るのならそんなに大きい歪曲収差があるということにはならないのかもしれません。

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ところでこのとき使ったレンズの歪曲収差は一般的に見て大きいのか小さいのか?
ズームレンズだから大きいのであって望遠鏡+直焦点で撮影した場合はこれほどではないような気がします。

またこういう手法(?)を使って対物レンズとカメラの光軸のずれを調べられないかなんてことも考えています。

(2013-11-30 10:38:06)
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