関連係数法(2)
関連係数法を使って具体的な未知の天体の座標(赤経・赤緯)を求めてみます。題材にするのは去年いるか座に現れた新星です。
まず既知の天体の画像上の座標(x1,y1),(x2,y2),(x3,y3)、赤経・赤緯(α1,δ1),(α2,δ2),(α3,δ3)と未知の天体の画像上の座標を(x0,y0)を調べます。
いるか座新星 α0=? δ=? x0=3066, y0=1123
HIP100780 α1=20h26m01.22s δ1=20d34m56.0s x1=2922,y1=1118
HIP100536 α2=20h23m08.99s δ2=20d51m51.0s x2=3092,y2=1108
HIP100519 α3=20h22m58.69s δ3=20d19m44.2s x3=3059,y3=1229
次のようなExcelのシートを作りました。

赤いイタリックの文字は入力値です。まず次の式を満たすような(D1,D2,D3)を求めなければなりません。
一次方程式を解けばいいわけですが、その方法としてここではExcelにあるソルバーの機能を使ってみました(ソルバーを使わない方法は「関連係数法(3)」として書きました)
(D1,D2,D3)を適当に仮定して上の式の左辺を計算します。x0,y0が求まりますのでこれが画像から得られたx0,y0と一致するように(D1,D2,D3)を変化させます。
なお上の式からD1+D2+D3=1つまりD3=1-D1-D2という関係がありますので実際には変化させるセルはD1、D2の二つです。
D1,D2,D3が求まれば次の式で未知の天体=いるか座新星の赤経・赤緯が求まります。
ソルバーの設定値は次のようになります。
HIP100536 α2=20h23m08.99s δ2=20d51m51.0s x2=3092,y2=1108
HIP100519 α3=20h22m58.69s δ3=20d19m44.2s x3=3059,y3=1229
次のようなExcelのシートを作りました。

赤いイタリックの文字は入力値です。まず次の式を満たすような(D1,D2,D3)を求めなければなりません。

一次方程式を解けばいいわけですが、その方法としてここではExcelにあるソルバーの機能を使ってみました(ソルバーを使わない方法は「関連係数法(3)」として書きました)
(D1,D2,D3)を適当に仮定して上の式の左辺を計算します。x0,y0が求まりますのでこれが画像から得られたx0,y0と一致するように(D1,D2,D3)を変化させます。
なお上の式からD1+D2+D3=1つまりD3=1-D1-D2という関係がありますので実際には変化させるセルはD1、D2の二つです。
D1,D2,D3が求まれば次の式で未知の天体=いるか座新星の赤経・赤緯が求まります。


ソルバーの設定値は次のようになります。

行列・ベクトルの計算はここではMMULT()を使っています。この関数は入力するときただEnterではなくShit+Ctrl+Enterとする必要があるので注意が必要です。
それから最後のベルトルの内積をとるときベクトルの掛ける順番が逆になっていますが、内積なのでこれは問題ありません。
Excelのシートは以下からダウンロードできます。
ダウンロード Excel_DM01.xls (270.5K)
関連
「写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (1)」
「バーナード星は動いているか? (2)」
この記事に書いた方法より精度が高いです。
未知の天体のすぐ近くに恒星がなくても使える融通がきく方法です。
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