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2014年2月 8日 (土)

位相角と輝面率(輝面比)の計算法

前記事

  「月齢・月相・位相角・輝面率

で使った言葉の定義を再確認しておきます。
また位相角と輝面比については具体的に計算するためのExcelファイルを

  「Excelで計算する月の位相角と輝面比

に、月相を計算するためのExcelファイルを

  「太陽の黄経・黄緯を求め月相を計算する


に用意しました。

月齢(月令)

Wikipediaの説明をそのまま引用してしまうと

  「直前の朔の瞬間からの経過時間を日を単位として表したものである」

となります。注意しなければならないのは月齢というのは単なる時間的経過を示しているだけであって月齢自体は月と地球と太陽との位置関係や月の満ち欠けの状態を(正確に)示すものではないことです。

月相

これも引用すると

  「太陽と月の黄経差を月相と定義する」

ということになります。ただし月相と言った場合は

  28 * 太陽と月の黄経差 / 360

として表します。これは月・地球・太陽の位置関係を表していると言えば表しているのですが月の位置を黄道面に投影したものと地球・太陽の位置関係ですから月の満ち欠けを表すものではありません。

位相角

さすがにこれはWikipediaにはありませんが

  「太陽と月と地球がなす角」

です。より詳しく言えば

  「月と太陽が結ぶ直線と月と地球を結ぶ直線がなす角」

です。太陽も月も真球だとすれば月の満ち欠けを示す値になります。つまり0度であれば__これは日食の状態です__月は完全に欠けた状態ですし、180度であれば__これは月食の状態です__100%光っている、欠けた部分がない状態ということになります(もっとも月食だと地球の影に入ってしまい「光っている」という表現は適切じゃありませんが)

Photo

輝面率(輝面比)

満ち欠けはじっさいには輝面率(輝面比)で表されることが多いようです。すなわち

  (見かけの)月の面積に占める光っている部分の面積の割合

です(水星や金星でも同じです)

位相角と輝面率がどういう関係にあるかを考えてみます。

問題を単純にするために太陽の光が平行光線と仮定すると月の光っている部分と光っていない部分の境目はほぼ大円になっています。位相角が0度あるいは180度でないときはこれを斜めから見ることになりますから楕円に見えます。

仮に右側の方が欠けているとすれば円の左半分と楕円の右半分の面積を加えたものが光っている部分の面積になります。また楕円の短半径は位相角をθとすると

  月の半径 * cos(θ)

になります。楕円の面積は

  π * 長半径 * 短半径
ですから月の半径を1として考えると

  月の光っている部分の見かけの面積 = π * 1 * 1 / 2 + π * 1 * cos(θ)

そしてこれを

  月の見かけの面積 = π * 1 * 1

で割ったものが輝面率ということになります。したがって

  輝面率 = ( 1 + cos(θ) ) / 2

となります。

Photo_2

位相角から輝面率が求まるわけですが、では位相角はどうやって求めるかということになります。ベクトルの内積はベクトルの大きさの積にベクトルのなす角の余弦をかけたもの、ということを利用すると、位相角はこのことから

  cos(θ) = 月から見た太陽の方向余弦と月から見た地球の方向余弦の内積

となりますのでこれから位相角θを求めることができます。

正確には「月から見た地球の方向余弦」ではなく「月から見た観測地の方向余弦」になります。ただ「月の光っている部分と光っていない部分の境目は大円」という仮定は厳密には怪しいので実際そこまで考える必要があるのかないのかよくわかりません。

太陽光線は無限遠の(とみなせる)恒星から届く光とは違います。地球や月の大きさを考えると有限の距離にある光源で大きさもそうとうなものです。だから太陽の光は月の“背後”に回りこむはずです。そしてその影響は朔あるいは望に近いときおおきくなりそうです。
またさらに実際には月の各部分の標高の違いも輝面率には影響をおよぼすと思われます。

ひとまずこの問題は保留にして次の記事ではじっさいに位相角や輝面率(輝面比)を計算してみたいと思います。

  「Excelで計算する月の位相角と輝面比

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PHPを使い、月の満ち欠けを画像として描画する。満月の写真をベースに、影の部分を描画する。影の部分は、月齢を三角関数に代入することで求めることができる。 [続きを読む]

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