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2014年2月19日 (水)

動画の撮影時刻を知る(1)

このブログを始めたいちばん大きな理由は掩蔽(星食)について書くことです。
これは予測、観測、観測結果の分析からなるのですが、一つ一つがけっこう大きなテーマです。今回は観測結果の分析でとても重要な掩蔽を観測した動画の撮影時刻を知る方法について書きます。そしてこれだけでも一つのテーマになるくらいのボリュームがあります。

私が掩蔽の観測に使っているカメラはPENTAX Q/PENTAX Q7です。そして掩蔽の前後にGPS受信モジュールの1PPS信号で発光するLEDを対物レンズの前において録画しておきそのその録画状況を分析することによって動画の撮影時刻を求めています。

まずPENTAX Q/PENTAX Q7の動画がどういう映り方をするかについて説明します。どうやってこれを調べたかも必要なのですが、これは長くなるのでまた別の記事にします。

--------

PENTAX Q/PENTAX Q7の動画撮影の方式

センサーの読取りは画像の上から下へ(センサーの下から上へ)行われます。 

したがって画像の上辺と下辺では同じ画像であっても露出されていた時刻は違います。 

したがってセンサー全面にあたるように強い光を当てたとき次のような現象が起こります。

最上辺の露光終了から最下辺の露光終了までの間に光が当たり始めたときは画像の途中から下側だけ露光します。

最上辺の露光開始から最下辺の露光終了までの間に光が当たり終わったときは画像の途中から上側だけ露光します。

GPSの1PPS信号の0.1秒幅のパルスをカメラに照射したとき上のいずれかの状態にあるフレームがあればそこからフレームの0.001秒程度の精度でフレームの正確な露光時間(露光開始時刻、露光終了時刻)を調べることができます。

図からわかるように露光開始あるいは露光終了時に光が当たるのは一瞬です。ですからセンサー全面に強い光を当てる必要があります。

この方法で露光時刻を0.001秒の精度で知ることができるとするととうぜん当てる光の時刻はそのオーダー以上の精度で正確なものでなければなりません。そのためGPS受信モジュールのの1PPS信号の0.1秒幅のパルスを使います。

なお上端から下端までの走査に要する時間はPENTAX Q7の場合を実測したところ動画であれば画像サイズに無関係に0.0266秒でした(「デジカメのセンサー走査時間を測る方法」)

下記の図では走査に要する時間を0.0041秒としています。この値は実測する前に推定したもので実際は間違っていますがこれから記す時刻の求め方自体には問題はありません。

具体的な例とそこから調べた露光時刻については次の記事「動画の撮影時刻を知る (2)」に書きます。

Photo

関連
  「星食観測でのGPS・1PPS信号の利用法 (1)
     (デジカメの動画の仕組みを具体的に考えてみました)
  「デジカメのセンサー走査時間を測る方法」 (簡単なセンサー走査時間の測り方)
  「動画の撮影時刻を知る(1)」 (詳しく書きすぎてわかりにくいかも)
  「動画の撮影時刻を知る(2)」 (詳しく書きすぎてわかりにくいかも)
  「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた
     (29.97fpsなのに1/15秒露出ができるという不思議なカメラのこと)
  「デジカメの特性を比較する
 
    (三つのカメラのセンサー走査時間と露出時間を測ってみました)
  「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4
    (毎秒0.1秒発光するLEDを使った走査時間の実戦的測り方)
  「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 5
    (毎秒0.1秒発光するLEDを使った露出時間の実戦的測り方)
  「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6
    (動画の中で起きたイベント=星食の正確な時刻の実戦的割り出し方)
  「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 1
    (測定に使った1PPS発光器について)
  「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 2
    (測定に使った1PPS発光器について)

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掩蔽(星食)」カテゴリの記事

コメント

この図のおかげで少しわかったような気がしてきました。
以前に拝見したときは少し難しそうだったので斜め読みでした(すみません^^;)。
今回のような星食動画を実際に自分の手にしたとき、きちんと理解していないともったいないですね。

そして、動画解像度を変えて実験しておけばより詳しく自分のカメラのことがわかるわけですね。
大変ためになります。

はい、ほよほよさんのことですから仕組みさえ理解されれば式は自分で作れると思いますよ (^^)
それから
  http://seppina.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1pps-1-cdf1.html
に書いたようなことを考えておくと実用するとき便利だと思います。

質問です!
動画サイズを1920x1080で測定したら8.9msec、
620x424で測定したら10.4msecとなりました。
同じにならなかったのと、動画サイズの小さい方が時間がかかるのは少し疑問です。
これは測定失敗と考えた方がいいでしょうか?

カメラによって作りが違うでしょうから何とも言えないです。
いろんな方法、条件で測ってそれぞれの測定結果に整合性があることを確認するしかないですね。
走査時間が10msec程度というとサダルテミスさんや私のカメラ(PENTAX Q7)に比べると相当に走査時間が早いですね。ただPENTAX Qの走査時間は15msecだったのであり得ない値ではないと思います。
というかカメラの性能がいいというべきでしょう。
走査時間が短い場合1PPS発光を動画(シャッター速度1/30秒)で撮影したとき発光開始や発光終了の瞬間が写ったフレームが極端に少なくなると思いますので、測定結果が正しいかどうかの判断材料になりますし、掩蔽観測のときは長時間1PPS発光を録画しておく必要が出てくるので注意が必要です。
下記の記事で走査時間の違う二つのカメラを比較しています。
http://seppina.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/1pps-1-cdf1.html
走査時間が15msecしかないPENTAX Qは1PPS発光の開始・終了が半分も写らなくなります。

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