6月5日の「月面X」をExcelで予測する
2015年の「月面X」の概要は
「2015年月面X予測」
に個別の詳細予想は
「月面Xの時刻予測 - 2015年1月27日」
「月面Xの時刻予測(他の予想との比較付き) - 2015年2月26日」
「月面Xの予測 - 2015年12月18日(他の予想との比較と予測用Excelファイル付き)」
にあります。
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2014年6月5日の「月面X」の見え方の変化を大胆に予想してみました。
この「月面X」は日没前の現象になってしまいますが、それでも日没の直前あたりで“X”の形をはっきり捉えられるのではないかと思います。
なお、下記は「「月面X」はいつ見えたか?」のように過去の「月面X」の地点での太陽の高度と見え方の関係を分析して予想したのもです。まだまだデータが不十分ですしほんとうに太陽の高度だけで見え方が決まるのかという点もさらに検討が必要ですが、そんなに“はずして”いることはないと思っています。
なお「月面X」の予想というと
「太陽の月面余経度が358度になる時刻」
としたものが多いようですが、これはちょっと問題があるように思えます。このことについてもちょっと触れたいと思います。
月面X予測記事
「月面Xはいつ見えるか? 2014年10月、2014年11月」
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「「月面X」はいつ見えたか?」に書いたように「月面X」はクレータの先端に(のみ)光が当たった状態だと思います。とするとまずいちばん重要なのは「月面X」のところでの太陽の高度だと思います。
ところが太陽の高度は太陽の月面余経度だけでなく太陽の月面緯度にも依存しています。これまで予想が「ずれた」話を何度か聞きましたがこれが原因だと思います。
太陽の月面緯度が0度であったと仮定すると太陽の月面余経度が358度のとき太陽の高度は-0.97度になります。これまで撮影された写真を見ると確かにこの状態になると「月面X」が徐々に見え始めてきます。ただこの時刻ですとまだ「月面X」の“X“の右側がちょっと淡く見えたりするようです。そういうことで
「太陽の月面余経度が358度になる時刻」
というのは
「太陽の月面緯度が0度のとき「月面X」がなんとなく見え始める時刻」
と解釈した方がいいように思います。じっさいに「月面X」のちゃんとした(?)写真を撮られている方は「月面X」での太陽の高度が-0.5度から0度くらいの範囲で撮られているようです。
ところで月面緯度が0度でないときはどうなるか?というと月面緯度に応じで見え始める時刻は前後します。月面緯度は±1.5くらい変化しますが、これに応じて「月面X」の見え始める時刻は1.5時間程度前後するようです。太陽の月面緯度がマイナスであれば早まりプラスであれば遅くなります。今回の6月5日は早まるケースです。このことについてはまた詳しく書きたいと思います。
2014年6月5日 「月面X」予測
日にち | だいたいの 時刻 |
太陽の 月面余経度 |
太陽の 月面緯度 |
月面Xでの 太陽高度 |
見え方 | 備考 |
2014.06.05 | 14h16m頃 | 356.76 | -1.14 | -1.60 | ☓(予測) | 「月面X」が見える位置が光りだします。つまり何かあるのはわかりますが“X”じゃないです。 |
2014.06.05 | 15h34m頃 | 357.42 | -1.15 | -1.00 | △(予測) | “X”の形が見えてきますが、右側が淡く見えたり切れ目があったりします。 |
2014.06.05 | 16h39m頃 | 357.97 | -1.15 | -0.50 | ○(予測) | いわゆる「月面X」の形になります。 このあたりから撮影に適してくるのですが今回は空がまだまだ明るいです。 |
2014.06.05 | 16h42m | 358.00 | -1.15 | -0.48 | ○(予測) | 太陽の月面余経度が358度ふつうこの時刻が 「月面X」の見え始める時刻として予測されています。 今回のように月面緯度がマイナスの場合はこの時刻では見え始めてからかなり時間が経ってしまっています。 |
2014.06.05 | 17h44m頃 | 358.53 | -1.15 | 0.00 | ○(予測) | 観望・撮影に適した時間帯と思われます。 |
2014.06.05 | 19h16m頃 | 359.30 | -1.15 | 0.70 | △(予測) | このあたりからコントラストが低下しまた上側のクレーターの輪郭が見え始めます。 今回はこの時間のちょっと前19時くらいまでが撮影チャンスになると思われます。 |
上記の予測及びこれまでの「月面X」の分析結果はExcelファイルで用意してあります。独自に分析・予測をされたい方はどうぞご自由にお使いください。
「ダウンロード LunarX.xls (289.5K)」
ところで日没前後に「月面X」が見えるのか心配な方もいらっしゃると思いますが見える(撮れる)と思います、たぶん。
2013年1月19日 16時44分に撮影した「月面X」、空はまだ青いです。
この日の日没は16時56分でした。まあ撮れてないことはないです。
この記事なんですがじつは最初6月5日の太陽の月面緯度を取り違えており、この日の「月面X」はちゃんと見える、千円賭けてもいい、なんて書いていたのですが、上に書いたように実際に見えるのは月面Xの終わりかけ(崩れかけ?)の頃からだと思われます。
お騒がせして申し訳なかったです m(._.)m
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
2014.06.05 予測おおあたりでしたよ。5日夜にWEBで探しても1件もヒットしなかったので不安でしたが、「AstroArts 天体写真ID20524」に投稿しました。今日(6/8)午後から当地天文同好会の会合あるもので、再度Web検索したら貴殿の記事がヒット。安心して発表できます。ありがとう、後刻記事詳細再読させていただきます。
投稿: taniyan | 2014年6月 8日 (日) 09時56分
コメントありがとうございます。
お写真拝見しました。
奈良県で撮られたんですね。東京じゃ雨がひどかったらしいです。
400mmで手持ちですか、私も旅先なものでちゃんとした機材を用意できず手持ちの機材でどうにかならないかと思っていたのですが暗くなるにつれて雲でおおわれてしまいました。
皆さんの撮られた写真を参考に、「月面X」はいつ見えたか?、という記事を書き、またそれをもとに予想してみました。
そう意味で撮影時刻のわかる写真は貴重でこれからの予測の精度を高めるため参考にさせていただきます。
これからもよろしくお願いします m(._.)m
投稿: seppina | 2014年6月 8日 (日) 11時26分