Excelで計算する月の位相角と輝面比
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ところで下記の計算方法は厳密にはよくないようです。なぜかというと視位置を使って計算しているからです。位相角とかそれから導かれる輝面比というのは(光差を考慮した上での)幾何的な位置関係を使うべきなのですが視位置は年周光行差が含まれるため幾何的な位置とはちょっと違ったものになります。
年周光行差がどのくらいの影響があるかというのは「とても恥ずかしい年周光行差と月の視位置の話」にあります。
計算に使うのはNASA JPL's HORIZONS systemでいうAstrometric RA & DECとかそれから導かれる平均位置とか真位置とかそういうものにすべきでしょう。平均位置や真位置は単なる座標回転をしただけなので相互の位置関係はかわりません。
と言って視位置で計算したからとんでもない値になるということでもなく下記の計算精度であればまともな値が得られます。
(2014.05.11)
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以前月の見え方を示す言葉についてその意味とどう定義されるか(計算するか)を書きました。
「月齢・月相・位相角・輝面率 」
「月の位相角と輝面率(輝面比)を計算する(1) 」
どちらも“理論”だけで具体的な計算方法がなかったので実際にExcelで計算する方法を記事にします。「月の位相角と輝面率(輝面比)を計算する(2)」に相当する記事になります。
ただしこの方法は月や太陽の視位置を海上保安庁海洋情報部の式を使って自前で計算しているため今のところ適用できるのは2013年、2014年の二年だけです。
(もうしばらくすると2015年の計算をするための係数が公開されるはずなのでそういうのを使って行けばその後も計算可能です)
「ダウンロード Excel_Moon13.xls (389.5K)」
使い方は簡単で観測地の経度と緯度を入力して日にちと時刻(JST=中央標準時)を指定すればそのときの位相角と輝面比が求まります。
ところでこの位相角・輝面比というのはふつう地心から見たものをいうようです。ここではマニアック(?)に観測地から見たもの(測心)も求められるようにしてあります。
問題は計算で得られた観測地から見た位相角が正しいかどうかどうやって検算するかなんですが、これはうまい方法があります。
国立天文台・暦計算室・暦象年表で日食のデータを調べます。そして中心食の起きる場所・時刻のデータを設定します。そしてそのときの位相角が180度ぴったりになることを確かめればいいです。このときふつうの意味での位相角(つまり地心を基準にした位相角)は180度にはなりませんがこちらの値の妥当性は暦象年表で確認することができます。
なお上の例では中心食の開始点を使っていますが、これは途中でも終了点でもどこでもいいです。ただ検算が目的ですから高緯度のところとか朝あるいは夕方に日食が起きるところを選んだ方がいいでしょう。
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