「月面X」はいつ見えたか? 予測と記録
2016年以後の「月面X」の予測も
「月面X(2016年4月14日)予測 - ほんとに見えるかな?」
「2016年3月16日の月面Xの予測」
「2016年1月17日(16日)の月面Xの予測」
のように始めたのですが、もうやめることにしました。とても参考になるサイトを見つけたからです。
「ほんのり工房
- 月面Xって意外に貴重な天文現象!?」
- アーカイブ:月面Xの一覧 」
よくある一点予想と違って月面Xの見え方の推移がある程度わかるように予測してあります。私の予測に対する考え方と同じですし、予測時間を比べてもそんなに大差ありませんでしたし、だったら全面的にお世話になろうと決めました。(私が閲覧した時点でもすでに)2020年までの予測 が作ってありました。
なお御自分で予測してみたいという方はこちらを参考にしてください。簡単とは言っても実用的にはなんの問題もない予測が得られます。
「小学生でもできる月面Xの時刻の(わりと正確で)簡単な予測法 - 2016年2月15日を例に」
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2015年の「月面X」の概要は
「2015年月面X予測」
に個別の詳細予想は
「月面Xの時刻予測 - 2015年1月27日」
「月面Xの時刻予測(他の予想との比較付き) - 2015年2月26日」
「月面Xの予測 - 2015年12月18日(他の予想との比較と予測用Excelファイル付き)」
「2015年12月18日・月面Xの速報」
にあります。
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2014年11月29日の月面Xについては
分析 「検証・月面Xの時刻予測 - 2014年11月29日」
記録 「月面Xの記録 - 2014年11月29日」
予測 「月面Xの時刻予測 - 2014年11月29日」
予測用計算シート+観測結果 「ダウンロード LunarX_1411.xls (221.0K)」
にあります。上記の内容は後日この記事に追加予定です。
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「月面Xはいつ見えるか? 2014年10月、2014年11月」など書いていますが、どうやって月面Xが見えると予測しているかというといつ「月面X」が見えたかを調べてどういう条件で月面Xが見えるのかいろいろ考えた結果です。
もちろん「いつ?」と言っても「○月○日○時○分」だけでは今後の予想はできません。そのときどういう条件が満たされて「月面X」が見えたのかを考える必要があります。
そこで過去の「月面X」の記録を調べなければならないのですが難航してしています。これまで「月面X」に関する記事は何度も読んだことがあります。だからデータはいくらでも入手できると思っていたのですがじつは月面Xの写真を撮影した時刻を明記した記事はほとんどないのです。だからもうググるのがめんどうになってしまいました (^^;;
より高い精度の予測のためにはこれまでの観測記録の分析が重要です。もしデータをお持ちの方は日にち・時刻とそのときの状況をお教えいただければありがたいです。記事の表に追加させていただきます。見えなかった、“X”の形には見えなかった、という情報もとても有用です。だれそれさんの記事に撮影時刻のある写真を見たというような情報も大歓迎です。
参考
2013年1月19日の 16:44、18:57、23:53、20日の18:10に撮った4枚の写真から作成したアニメーションGIF画像です。三つのクレーターが接するところが「月面X」(中央よりちょっと上左より)として見えていることがわかります。
予測記事
「月面Xはいつ見えるか? 2014年10月、2014年11月」
「6月5日の「月面X」をExcelで予測する」
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まず月面Xがどのような現象であるか考えてみます。
おそらく日の出の直前に高い山の山頂や高層ビルの先端だけに日の光があたるのと同じようにクレータの先端にだけ光があたった状態と思われます。このようなケースでは地形によってはクレータがふだんは見られないような形に見えるはずです。
とすれば月面Xの地点における日の出の直前(あるいは日の出の直前直後)と思われます。 日の出の位置は毎回少しずつ異なりますので完全な分析はデータを積み上げない限りむずかしいとは思いますが太陽高度と見えなかった見えたまた見えたのならどのように見えたのかと言う関係の表を作っていけば「月面X」の見える時刻の予想が可能になると思われます。
なお下記の表を作るにあたって「月面X」の地点から見た太陽の高度を知るには月面Xの地点の緯度経度が必要ですがこれは
「pierres blanches と 《カガクするココロ》 - [50] 月面Xと「太陽の月面余経度・月面緯度」 (13/3/26)」
にある値を使わせていただきました。この記事は「月面X」の予測記事としても興味ふかいものです。
また太陽の月面余経度、月面緯度は「NASA JPL Horizons」の値を二次関数で近似したものを使っています。そして太陽高度の計算式は天文年鑑にあるものを使用しました。
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実際に太陽高度と「月面X」の見え方の関係を表にしたものを示します。表は太陽高度で昇順にソートしてあります。
太陽高度が同じでも太陽の方位が違えば微妙に見え方が違うと思われますが少なくとも見える見えないであればこれである程度判断できると思います。また具体的な計算式が入ったExcelのファイルは別の機会にダウンロードできるようにしたいと思います。
この表を見ると太陽の高度が-1度くらいから見え始め-0.5度から0度の範囲であればはっきりと「月面X」を見ることができるように思われます。特に0度かそれよりちょっと高度が低いところつまり“日の出直前”がシャッターチャンスのようです。
太陽高度が0度を超えるとだんだんコントラストが悪くなり0.5度を超えると“X”の形はくずれていくようです。1度近くまではそれらしい形で見えそうにも思えますがこの領域の見え方を判断するには残念ながらまだデータが不足しています。
なお太陽高度1度の差は2時間10分くらいに相当します。
ところで「月面X」の予測として
「太陽の月面余経度が358度になる時刻」
としたものが多いのですが下のデータを見るとこれでは正確な予測ができないことがわかります。特に太陽の月面緯度が1度を越えていると(2013年1月19日、3月19日、12月10日)この太陽の月面余経度だけで予測されたものではその時刻になっても「そこに何かあるのが見える」程度で“X“の形を見ることはできませんでした。この予測方法については
太陽の月面緯度が0度のとき、太陽の月面余経度が358度になると、なんとなく“月面X”が見え始める時刻
と解釈しておいた方がよさそうです。
次の記事「6月5日の「月面X」をExcelで予測する」で私流のやりかたで「月面X」の見え方の変化を予測してみました。この日は日中から始まるのですが日没直前くらいにちゃんと“X”を見ることができると思います。もっともはじめての予想なので「はずれたらどうしよう」とどきどきしています (^^;;
観測データ
日にち | 時刻[hm](JST) | 太陽の月面余経度 | 太陽の月面緯度 | 月面Xでの太陽高度 | 見え方 | 「備考」 |
2013.11.10 | 16h59m | 357.08 | 0.28 | -1.92 | 何も見えない | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今日の夕日と月面X♪」 |
2013.03.19 | 18h40m | 357.55 | 1.21 | -1.89 | まったく見えない | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X 初観測 (^∇^)」 |
2013.03.19 | 19h12m | 357.82 | 1.21 | -1.65 | Xには見えないが何かあるように見える | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X 初観測 (^∇^)」 |
2013.11.10 | 17h41m | 357.43 | 0.29 | -1.60 | 何か見える | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今日の夕日と月面X♪」 |
2013.01.19 | 15h28m | 358.00 | 1.42 | -1.58 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.03.19 | 19h32m | 358.00 | 1.21 | -1.49 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.12.10 | 8h59m | 358.00 | 1.03 | -1.41 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.11.10 | 18h18m | 357.74 | 0.29 | -1.32 | 左半分が見える | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今日の夕日と月面X♪」 |
2013.03.19 | 20h20m | 358.40 | 1.21 | -1.13 | 淡い、特に右側(右上?)が薄い | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X 初観測 (^∇^)」 |
2014.04.07 | 17h11m | 358.00 | 0.33 | -1.11 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.11.10 | 18h48m | 358.00 | 0.29 | -1.09 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.01.19 | 16h44m | 358.63 | 1.42 | -1.00 | 右側が淡い | 「池袋駅北口のぐんまのやぼう - 「月面X」の正体」 |
2013.05.17 | 20h00m | 357.94 | -0.24 | -0.92 | 右側がちょっと淡い? | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今までに撮影した月面Xとその時刻 星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X と Webカメラのテスト」 |
2013.05.17 | 20h07m | 358.00 | -0.24 | -0.86 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.03.19 | 20h58m | 358.72 | 1.21 | -0.84 | 右上との間に隙間? | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面X 初観測 (^∇^)」 |
2013.11.10 | 19h26m | 358.32 | 0.29 | -0.80 | 右上との間に隙間? | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今日の夕日と月面X♪」 |
2013.09.12 | 16h57m | 358.00 | -1.18 | -0.46 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2014.04.07 | 18h39m | 358.74 | 0.33 | -0.43 | ○ | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面Xが星食とコラボ!?」 |
2013.07.15 | 18h13m | 358.00 | -1.42 | -0.36 | N/A | 「太陽の月面余経度が358度」 |
2013.11.10 | 20h35m | 358.90 | 0.29 | -0.28 | ○ | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今日の夕日と月面X♪」 |
2013.01.19 | 18h45m | 359.66 | 1.43 | -0.08 | ○ | 「クリちゃん☆彡 のお月見 - 20130119(土) 月齢7.6、月面X(エックス)」 |
2014.04.07 | 19h29m | 359.17 | 0.32 | -0.05 | ○ | 「クリちゃん☆彡 のお月見 - 20140407(月) 太陽、月齢7.7(上弦、月面X)」 |
2013.05.17 | 21h54m | 358.91 | -0.24 | -0.04 | ○ | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今までに撮影した月面Xとその時刻 サダルテミスさん - 月面X と Webカメラのテスト」 |
2013.01.19 | 18h57m | 359.76 | 1.43 | 0.01 | ○ | 「池袋駅北口のぐんまのやぼう - 「月面X」の正体」 |
2013.09.12 | 18h38m | 358.86 | -1.18 | 0.31 | ○ | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面Xにビックリでした(笑 」 |
2014.06.05 | 18h43m | 359.02 | -1.15 | 0.45 | ○? | taniyan さん「Astroarts - 投稿画像ギャラリー - taniyanさん -梅雨空からの贈り物 月面X」 |
2014.04.07 | 21h01m | 359.95 | 0.32 | 0.65 | ○? | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面Xが星食とコラボ!?」 |
2013.07.15 | 20h39m | 359.24 | -1.42 | 0.76 | 上側のクレーターの周囲特に右側が目立つ | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今日のお月様は、Xデーだったんですね…」 |
2013.09.12 | 20h10m | 359.64 | -1.18 | 1.02 | 上側のクレーターの輪郭が見え始めている | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面Xにビックリでした(笑 」 |
2014.04.07 | 22h06m | 360.50 | 0.32 | 1.15 | 上側のクレーターの全周が見え始めている | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 月面Xが星食とコラボ!?」 |
2013.01.19 | 23h53m | 362.26 | 1.43 | 2.26 | 上側のクレーターが全周見えている | 「池袋駅北口のぐんまのやぼう - 「月面X」の正体」 |
2013.12.10 | 18h54m | 363.02 | 1.05 | 3.12 | “X”の面影がある (上側のクレーターの全周が見える) | 「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 今までに撮影した月面Xとその時刻」 |
以上のデータを分析したときのExcelファイルは次のリンクからダウンロードできます。
「ダウンロード LunarX.xls (289.5K)」
2014年11月29日 19時46分
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