本日(5月19日)深夜の星食 - 星食予測の使い方
今日の深夜(明日未明)3等星の星食(掩蔽)があります。1等星とか2等星が掩蔽されることはめったにありません。だから今日の星食は“とても明るい恒星の星食”が見られるということになります。
ただ肉眼では見えないでしょうし、おそらく双眼鏡・小望遠鏡でもむずかしいような気がします。しかしカメラであればISO3200かそれ以上の感度のあるカメラに望遠レンズをつければ撮影したり背面ディスプレイで出現の瞬間を見ることができると思います。
参考までに昨日深夜(本日未明)の星食を撮影した動画をご紹介します。
「Youtube - 2014.05.19 ρSgr」
f=700mm、F=8.75のレンズをPENTAX Q7に付けて撮ったものです。ISO6400、1/30秒の設定です。
11秒ほどの動画ですが5秒のところで何もなかったところにとつぜん恒星が現れます。カメラの方向は合っているだろうかと心配しながら今か今かと出現を待つのはなかなかスリルがあります (^^)
それから今回は北海道のほとんどでは見ることができないと思います。しかし北海道南部にお住まいの方は恒星が月の上端をかすめていく接食が観測できるチャンスがあります。接食は見られる範囲が非常に限られているためそうそう簡単に見ることができませんので見ることができたらそして撮影することができればラッキーです。
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5月の星食予測については
「2014年5月の星食(掩蔽)予測」
に書いたのですが、この記事からダウンロードできる星食予測のExcelファイルの使い方を説明させていただきます。
まずどこで星食を見るのかを入力します。
No.7のところです。
H26のセルに観測場所名
I26のセルに経度
J26のセルに緯度
です。観測場所が1km違うだけで潜入・出現の時刻は1秒とかそれ以上変化しますのでちゃんと入力した方がいいです。
入力が終わったら観測場所をセットします。
C24のセルがドロップダウンリストになっていますのでここから先ほど入力した観測場所を選びます。
C30のセルのドロップダウンリストから観測対象にする恒星を選べばすぐに予測が表示されます。
B39のセルもドロップダウンリストになっていてここで予測時刻の表示を0.1秒単位にすることができます。0.1秒単位になっているのは1km北に移動したらどれだけ予測時刻が変化するのか調べるようなときのためでそれだけの精度はありません。数秒の誤差はあるものと思っていただいた方が無難です。撮影されるんでしたら30秒くらい前からお願いします。
まずC38,D38のところに注目します。左側は潜入、右側が出現になっていますがふつうこれが“暗縁潜入”あるいは“暗縁出現”になっていないと観測がむずかしいです。今日深夜のは右側の“暗縁出現”を観測対象とすることになります。
ふつう満月(望)の前だと暗縁潜入/明縁出現、満月(望)の後だと今回のように明縁潜入/暗縁出現となりますが、ときによって暗縁潜入/暗縁出現、明縁潜入/明縁出現ということもありえます。ただこういうケースは恒星が月をかすめていく接食に近くこのExcelシートでの予測時刻はあんまりあてになりません(もし使っていただけるのであれば下の方に“最接近時刻”というのがありますのでその時刻を中心に観測します)
D39に予測時刻がありますのでスケジュールを確保します。
D40にそのときの月の高度、D41に方位角が表示されますので観測可能な位置かどうか確かめます。
D45の輝面比は月のどの程度が光っているかを示しています。この値が小さい方が観測しやすいので今日は観測しづらい方なんですが対象とする恒星は3等星ですから特に問題はなさそうです。6等星より暗い恒星なんかだとこの輝面比だとつらいです。
D47に太陽の高度があります。これが-18度より大きいとかさらにプラスだとかなると空が明るくて観測が困難になりますが、今日は-30度なので空は真っ暗です。深夜なので当たり前ですが (^^;;
ということで今日は好条件のようです。あとはどこから出現するかを確認します。
まず基本的な用語を説明するとこうなります。
天頂は文字通り真上です。天の北極というのは要するに北極星の方向です。天頂の方向と天の北極が一致するのは月が南中したときだけで南中前であれば天の北極の方向は天頂の方向の左側、南中後であれば天の北極の方向は天頂の方向の右側になります。
欠け際というのは月の明暗の境界なのですが、これは秤動によって向きがコロコロ変わります。
予測に“北極方向角”というのがありますがこれは潜入あるいは出現する場所が天の北極の方向からみてどちらの方向にどれくらい離れているかを示しています。この角度は左回りになっています。今回の場合上の例の東京ですと(天の北極の方向が上だと考えると)23度つまりお月さまの上側よりちょっと左に潜入し、311度つまりお月さまの右上から出現します。
そして“カスプ角”というのがありますが、これが月の欠け際と潜入/出現する位置との関係を示しますので位置関係としてはいちばん重要と言うかわかりやすいと思います。
このカスプ角は掩蔽の起きる位置が明縁だったら最後に“B”、暗縁だったら“D”がつきます。そして近い方の欠け際からの反時計回りの角度を示しています。“北極方向角”と見比べてどのあたりが潜入/出現の場所になるかを判断します。北極方向角と見比べなくてもすぐにどこかわかるようになっていればいいのですが、そこまでできていません。すみません m(._.)m
カスプ角(の絶対値)が90度に近ければ明るいところから一番遠いところで潜入/出現が起きます。0度に近ければ明暗境界のすぐ近くで潜入/出現が起きるので暗い恒星の場合とても見にくくなります。
今回は(東京でですが)出現点は北極方向角が311度で月の右上での出現になります。とするとカスプ角は上側の欠け際から測った角度ということになります(反時計回りがプラスなので上の例の数値にはマイナスがついています)
こういうのをいちいち考えるとタイヘンなのは私もわかっています。次のステップとして上のような図をExcelのグラフ機能で作って直感的にわかるようにしたいと思っています (^^)
星食/掩蔽の予測や観測についての記事は
「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集」
から参照していただければと思います。
もちろん定評のある星食/掩蔽予測専用のアプリなんかも紹介しています。
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