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2014年5月26日 (月)

Excelで予測する9月28日の土星食

主要都市の予測図を用意しました。

  「本日9月28日土星食予想図(札幌/仙台/東京)
  「本日9月28日土星食予想図(京都/福岡/鹿児島/(那覇))
  「本日9月28日の土星食予測図(大阪/神戸/広島/長崎)
  「本日9月28日の土星食予測図(水戸/宇都宮/前橋/さいたま/千葉/横浜)

  「本日9月28日の土星食予想図(北区/板橋区/練馬区/豊島区/文京区/新宿区)

(2014.09.28)

予測図作成機能つきのExcelファイルをあらたに用意しました。

  「予測図作成機能付き9月28日の土星食予想

(2014.08.05)
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掩蔽の予測と観測については
  『「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集
に一覧があります。

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目的
  任意の経度・緯度・標高における2014年9月28日の土星食の潜入・出現時刻を求める
座標系
  ICRS/ICRFJ2000.0座標系平均位置真位置視位置(地心)、視位置(測心)
適用範囲
  2014年9月28日の土星食に限りますが
  「土星視位置」のシートにあるのと同様の手法で視位置の近似式を作ることによって
  他の惑星食にも適用可能です。
  2014年9月28日の土星食については南西諸島を除く日本全土で使えます。
  (南西諸島でも計算は可能ですが十分な精度が得られない可能性があります)
計算手法
  1.概略の食の時刻から観測地での月と土星の離角が最小となる時刻を求めます。
   (最接近時刻)
  2.最接近時刻の前後で「月と土星の離角」が「月と土星の視半径の和」
   となる時刻を求めます(前:潜入開始、後:出現終了)
  2.最接近時刻の前後で「月と土星の離角」が「月と土星の視半径の差」
   となる時刻を求めます(前:潜入終了、後:出現開始)
精度
  「国立天文台 - 天文情報センター」の予測時刻に比較し±1秒程度
  (南西諸島を除く日本国内)
  念のために書いておきますがこれはこのExcelファイルで予測した時刻と
  実際の掩蔽の時刻の誤差が±1秒程度である、という意味ではありません。
  「国立天文台 - 天文情報センター」の予測には次の断り書きがあります。
  「潜入や出現の時刻については月縁の山や谷の影響により数秒のずれが生じます。」
  私のも月縁の山や谷の影響は考慮していません。
  なおどういうわけか最接近時刻は「国立天文台 - 天文情報センター」の値とはあんまり
  よく一致していません。
 
備考・使用上の注意
  この土星食に関しては「国立天文台 - 天文情報センター」の予測を使えば
  必要な情報は入手できる思います。
  今回のExcelシートは掩蔽予測の計算手法に問題がないことの検証用と受け取って
  いただければと思います。

  「国立天文台 - 天文情報センター - 暦計算室 - 暦象年表 - 惑星食

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ちょっと気が早いですが9月28日の土星食の予測用のExcelファイルを作ってみました。


ここで使っているのは正統的な(?)掩蔽予測の方法ではなく簡易的な方法ですが予測時刻の誤差は南西諸島を除けば1秒程度に抑えられていると思います。
「国立天文台 - 天文情報センター」の予測と比較してという意味ですが。

ファイルが1Mbyteを越えておりこのブログではアップロードできなかったのでGoogle Driveからダウンロードできるようにしました。
  「Occult_Ver.4.5_20140928Sat-a.xls

東京の場合です。
20140928sattokyo_2

恒星の場合(重星でもなければ)瞬間的に潜入あるいは出現しますが土星は大きさがありますのでだらだらと消え(あるいは現れ)ます。上図を見るとわかるように40秒以上かかります。

この土星食の最大の問題は白昼に起きることでしょうか。潜入時の太陽の高度は50度を越え月より高い位置にあります。

白昼の星と言うと倍率の高い(そしてそれに見合った口径の)望遠鏡を使うことになりますが、今回の場合はどちらかというと空気のきれいなそして薄いところを観測場所に選ぶのが先のような気がします。つまり標高の高い山とか....

予測シートの詳しい使い方は下に記しますが、上の東京の場合ですと潜入点の北極方向角が127度、カスプ角が-67D、出現点はそれぞれ273度、80Bですので
・下側の欠け際から時計回りに67度つまり月の左側よりちょっと下に潜入し
・下側の欠け際から反時計回りに80度つまり月の右側から出現する
ということになります。

暗縁側つまり潜入の方が見やすいと思いますが、月相が3.5(月相は新月が0.0で上限が7.0)とかなり欠けたお月さまですので私みたいにカメラの三脚を使って撮影するようなケースだとあんまり倍率が高いと潜入点がどこだかわからなくなりそうなので注意しましょう (^^;;

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予測シートの使い方

まずどこで星食を見るのかを入力します。

例えばNo.7のところに入力する場合

  H26のセルに観測場所名
  I26のセルに経度
  J26のセルに緯度
  K26のセルに標高

です。観測場所が1km違うだけで潜入・出現の時刻は1秒とかそれ以上変化しますので経緯度はちゃんと入力した方がいいです。標高は1000mとか2000mでもない限りあんまり影響がないので0mでもかまいません。JCLOへの報告では標高はm単位で必要なのでちゃんと調べておいた方がいいと思いますが...
経緯度はWGS84/JGD2000でお願いします。こっちはJCLOに報告するときは0.1秒単位です。なお大きな望遠鏡のときは“望遠鏡の不動点”の経緯度・標高を報告するそうです。

入力が終わったら観測場所をセットします。
C24のセルがドロップダウンリストになっていますのでここから先ほど入力した観測場所を選びます。

C30のセルのドロップダウンリストから観測対象にする恒星を選べばすぐに予測が表示されます。

B39のセルもドロップダウンリストになっていてここで予測時刻の表示を0.1秒単位にすることができます。0.1秒単位になっているのは1km北に移動したらどれだけ予測時刻が変化するのか調べるようなときのためで今のシートの計算方法ではそれだけの精度はありません。数秒の誤差はあるものと思っていただいた方が無難です。撮影されるんでしたら30秒くらい前からお願いします。

まずC38/D38のところに注目します。左側は潜入、右側が出現になっていますがふつうこれが“暗縁潜入”あるいは“暗縁出現”になっていないと観測がむずかしいです。

ふつう満月(望)の前だと暗縁潜入/明縁出現、満月(望)の後だと明縁潜入/暗縁出現となります。
ときによって暗縁潜入/暗縁出現、明縁潜入/明縁出現ということもありえます。ただこういうケースは恒星が月をかすめていく接食に近くこのExcelシートでの予測時刻はあんまりあてになりません(もし使っていただけるのであれば下の方に“最接近時刻”というのがありますのでその時刻を中心に観測します)
逆に実際は接食気味の場合掩蔽が起きないとしてしまうケースもあります。最接近時の離角が小さいときは上に書いたJCLOの資料で接食限界線を確認した方がいいと思います。

C39/D39に予測時刻がありますのでスケジュールを確保します。

C40/D40にそのときの月の高度、D41に方位角が表示されますので観測可能な位置かどうか確かめます。

C45/D45の輝面比は月のどの程度が光っているかを示しています。この値が小さい方が観測しやすいのですが観測対象の恒星が明るければ観測できます。6等星より暗い恒星なんかだとこの輝面比0.8とか0.9になるとつらいです。

C47/D47に太陽の高度があります。これが-18度より大きいとかさらにプラスだとかなると空が明るくて観測が困難になります。これもいくつ以上だったらダメとかいうことではなく恒星の明るさとの見合いになります。

以下については基本的な用語を説明するとこうなります。
Occult_e_2
天頂は文字通り真上です。
天の北極というのは要するに北極星の方向です。天頂の方向と天の北極が一致するのは月が南中したときだけで南中前であれば天の北極の方向は天頂の方向の左側、南中後であれば天の北極の方向は天頂の方向の右側になります。

欠け際というのは月の明暗の境界なのですが、これは秤動によって位置(向き)がコロコロ変わります。

予測C42/D42に“北極方向角”というのがありますがこれは潜入あるいは出現する場所が天の北極の方向からみてどちらの方向にどれくらい離れているかを示しています。この角度は左回りになっています。90度であれば(天の北極を上としたとき)左真横、270度であれば右真横です。

そしてC44/D44に“カスプ角”というのがありますが、これが月の欠け際と潜入/出現する位置との関係を示しますので位置関係としてはいちばん重要と言うかわかりやすいと思います。
カスプ角というのは潜入点あるいは出現点に近い方の欠け際から反時計回りの角度を示しています。またカスプ角には掩蔽の起きる位置が明縁だったら最後に“B”、暗縁だったら“D”がつきます。“北極方向角”と見比べてどのあたりが潜入/出現の場所になるかを判断します。
例えば満月前で北極方向角が80度くらいの暗縁潜入のときカスプ角は80Dくらいになり、北極角が110度くらいであればカスプ角は-80Dくらいになります。欠け際は北極の方向とは異なりますので北極方向角からカスプ角を計算できるわけではないことに注意します。

上の例からわかると思いますがカスプ角(の絶対値)が90度に近ければ明るいところから一番遠いところで潜入/出現が起きます。もしカスプ角が0度に近ければ明暗境界のすぐ近くで潜入/出現が起きるので暗い恒星の場合とても見にくくなります。

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