(改訂版)GPS受信モジュールあれこれ
断捨離やってます。
「PICkit3,GPS受信モジュール,ロジックIC,OPAmp,LCR,Tr,LED等多数」 (ヤフオク)
GPS受信モジュールを使った基板三つが含まれます。
-----------
もともと掩蔽観測に使うことを目的にしていたので正確な秒信号つまり1PPS出力があるものだけです。出力端子はなくても基板から簡単に1PPSを取り出せるものも表に追加しました。u-bloxでは1PPSがTIMEPULSE端子となっており1kHz~12MHzくらいを取り出せるものもあります。周波数標準に使うのであれば
「高精度10MHzの出力ができそうなGPS受信モジュール」
が参考になると思います。
時刻や時間に関する記事の一覧は「「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集」にもあり、特にGPS以外の時刻を知る手段については「時刻標準について」にあります。
--------
測位情報にも時刻のデータはありますがここから正確な時刻を知るのはできなさそうです。正確な時刻というのは1/1000秒あるいはそれ以上の精度の時刻という意味です。
もちろん掩蔽観測以外にも使えます。
「GPS/RTC(DS3234)の1PPS出力を利用した超高精度周波数カウンター」
「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた」
-------
型番 | チップセット等 | 備考 |
秋月電子通商 - GPS受信機キット 1PPS出力付き 「みちびき」対応 ([AE-GYSFDMAXB]) \2,200._ |
MT3339(MediaTek) 1PPS(100ms、active LOW、±10ns (10×10-9 second)) UART, NMEA0183V3.01 |
これは1PPSも含めてピンヘッダで出力されており、アンテナ内蔵、バックアップ電池付きとNEO6M-ANT-4P 以上に使いやすいようです。電源も3.8V ~ 12V(標準5V、内部(入出力)3.3V)と広いです。 |
aitendo - GM-8013T \3,980._ |
u-blox8 詳細未確認 TIMEPULSE(1PPS) 0.25Hz-10MHz |
GM-5157Aのときは苦労して自分でコネクタを作ったのですが、これは別売ですがコネクタがあります。このコネクタはGM-5157Aでも使えそうです。 設定はu-centerでできるはずです。 |
Apps! - Ublox NEO-7M フライト コントローラー GPS モジュール 内蔵 データ メモリー \4,943._ |
u-blox7
NEO-7M 1PPS出力 NEO-7Mの仕様は.25Hz-10MHz |
TIMEPULSE設定で10MHz出力ができて、基板上からそれが取り出せると思われます。 |
aitendo - NEO6M-ANT-4P \2,780._ |
u-blox6 NEO-6M TIMEPULSE(1PPS) 0.25Hz-1kHz |
1PPS(TIMEPULSE)端子はありません。基板上から引き出す必要があります。それなのになぜ取り上げたかというと、仕様では0.25Hz-1kHzですが8MHz、10MHz、12MHzが出力できたとのことだったからです。周波数によってジッタの大きさが違うそうです。「(改訂版)高精度10MHzの出力ができそうなGPS受信モジュール」 とそのコメントを参考にしてください。 なお価格がリーズナブルですが、u-blox 6なので在庫処分的な扱いなんじゃないでしょうか。 「GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、現在在庫数 76」 |
GE-612T \3,980._ |
u-blox 6 LEA-6 ? 入出力i/F TTLシリアル プロトコル NMEA 0183 v2.3 1PPS出力 TIME PULSEという名称になっています。 Signal Accuracy <60ns (99%) とありますのでスペックは完璧です。 パルス幅も100msと使いやすいです。 1PPS出力という名称になっていないのは0.25Hz~1kHzのあいだで パルス出力周期を変えられるからでしょう。 遊ぶのにはおもしろそうです 「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた」もこれを使っています。 その後もっと高い周波数まで出力できることがわかりました。 「2MHzを(10MHzも!)出力できるGPS受信モジュールGE-612T(u-blox6/LEA-6)」 |
実装方法 1.27mmピッチ6Pピンヘッダ できれば2.54mmピッチでお願いしたいものです。 とは言っても他の機種に比べればハンダ付けは楽です。 ピッチの変換基盤が使えるます。 1.27mmのピンソケットを売ってあるのでそれを使うという手がありそうです。 ソケットを使えばハンダ付けでモジュールが壊れるんじゃないかという不安から 解放されます (^^) アンテナ 外付け(I-PEX) 感想 アンテナを接続する必要がありますが。GM-316より扱いやすいかも。 感度もいいし、電波を失うと1PPS(TIMEPULSE)がでなくなるので安心して使えます(設定で垂れ流しにもできます) これ、アンテナを内蔵していないので実物を見ると信じられないくらいに小さいです (^^;; それから動作電圧範囲が狭く用途によってはそこがネックになるかもしれません。 そこを理解した上で使うのならこれはけっこうお勧めです。 使用例 「超高精度VCTCXO・VM39S5GをPLLでGPSに同期させてみた」 「星食(掩蔽)観測用1PPS発光器 - 弐号機開発状況」 「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 1」 「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 2」 「はじめてのGPS受信モジュール - GE-612T編 - 3」 「GE-612T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール」 「GPS受信モジュールGE-612Tのタイムパルス(Time Pulse)機能」 |
UBX1612 \1,250._ (aitendo) |
u-blox 5 1PPS出力 あります。 10ns RMS ( E-1612-UB ) 入出力i/F UART 9600bps プロトコル NMEA Input/output, ASCII, 0183, 2.3 (compatible to 3.0) UBX Input/output, binary, u-blox proprietary |
実装方法 1.1mmピッチの表面実装のようです。 アンテナ 外付け。 感想 それほどでもないかも。に紹介した製作記事を参考すればなんとかなるかも。 ちなみに私はピン間0.63mmのオペアンプにリード線をはんだ付けしたことがあります (^^;; でもアンテナ端子もないわけですし、G591とともに私みたいな素人が手を出すのはやめた方がいいかも。 製作記事がありました。 「Z80マイコンボード・中日電工のホームページにようこそ! - 周波数カウンタ組立キット - [第15回]●117でいきましょう(5) 」 (シリーズです。一つだけ紹介しておきます) |
GM5157A \3,980._ (今=2015年11月18日=は在庫がないらしいです) |
MT3333 1PPS出力:100ms 入出力i/F TTLシリアル、デフォルトは9600bpsだそうです。Default: GGA, GSV, GSA, RMC @1Hz プロトコル NMEA 0183 V3.01, MTK NMEA アンテナ 内臓のみ |
aitendoのGPS関連のところを見ていたら新製品が出ていました。 2ページの簡単なデータシートしかないのでよくわからない点もありますが.... データシートでは「GM-5157A」と記されています。 ±10ns RMS (1PPS output)という記述があります。 これほんとにこのくらいの精度(確度)があるようです。 「確度0.0005ppmの周波数測定 - GPSの1PPS出力を使った高精度周波数カウンタ」 実装方法 コネクターです(6-pin Interface, pitch 0.8mm) 一般的に使われるコネクターなのかはわかりません(まだ調べていません) コネクターのことは調べずに買ってしまいました。ソケットの形状を実際に目にすると絶望的な(腹立たしい?)気分になります (^^;; 感想 アンテナ内蔵、外部端子は最小限、接続はコネクターと使いやすそうです。アンテナ内臓にもかかわらず電波のつかみはいいです。 購入する前にコネクターがあるか確認した方がいいと思います。というかなんでコネクターもセットで販売しないんでしょう。 作り始めました。コネクタもちゃんと作りました。 「はじめてのGPS受信モジュール - GM-5157A - 実装」 「はじめてのGPS受信モジュール - GM-5157A - 概要」 「GM-5157Aの実装」 コネクタを自作した方がいらっしゃいましたので紹介しておきます。 「電気電子工作の部屋 - 部品・ユニットの小部屋 - 極小高性能GPSモジュール GM-5157A - 」 ==>最近コネクタの取り扱いも始まったようです(2016.01) |
GE-315 \1,980._ |
SiRFstarIII 1PPS出力 あります。 “precision of better than 1 micro-second”とありますので問題ないでしょう。 パルス幅が1usになっておりこれがほんとうならちょっと扱いがたいへんです。 GM-316と同じように“カスタマイズ”して100msにしてあることを祈ります。 入出力i/F TTLシリアル? プロトコル NMEA v3.0 |
実装方法 ピッチ1.27mmの表面実装です (^^;; 端子数は20個もあります。 でも取説(?)を見るとぜったい接続しなきゃいけないピンは10以下みたいです。 アンテナ 外付けです。 感想 素人にはハンダ付けはムリかなあ.... それとアンテナ端子はないので自分でどうにかしなきゃなりません。 これらを考えるとちょっと敷居が高いかも。 使用例 「ほよほよのブログ - やっとスタート位置についたGPS」 「ほよほよのブログ - UTC時刻取得ができたGPS」 「ほよほよのブログ - GPGGAメッセージからUTC Timeを取り出す」 (いずれも記事にはGM-315とありますがこれはGE-315の勘違いだったそうです) 「ほよほよのブログ - GPSから1pps出力」 |
GM-316 \3,980._ |
SiRFstarIII 1PPS出力 あります。 精度は“1µs or less”とあります。 データシートではパルス幅は1usになっています。 私が入手したものは100msでした。 (データシートからするとパルス幅100msのカスタマイズ品があってもおかしくはありません) もし1usだったらちょっと扱いづらい(=工夫が必要)かもしれません。 入出力i/F TTLシリアル プロトコル NMEA V3.0 実装方法 1.27mmピッチの表面実装? リード線をハンダ付けできるように見えるのですがなかなか難しいです。 アンテナ 内蔵、外付け(MMCX) |
感想 基板にとりつけるのがめんどうなところを除けば不満はないです。 ハンダ付けの難しさを考えると人に勧められるか?と聞かれるとちょっと微妙です (^^;; 内蔵でも受信可能ですが外付けアンテナがあったほうが電波のツカミは早いです。 動作電圧範囲が広いのもメリットです。 今もこれを使っています。 ということでみなさんにはこれをお勧めしなくちゃいけないのですが (^^;; 使用例 「GPS受信モジュールGM-316による星食(掩蔽)観測用1PPS発光 」 「GE-612T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール」 「GPS衛星の電波を失ったGM-316の1PPS出力はどうなる?」 「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 1」から始まる一連の記事 「NA3NPL Web - GPS/1ppsを利用した11桁周波数カウンターと周波数標準」 「ほよほよのブログ - GM-316 のコネクタを自作する」 「ほよほよのブログ - GM-316に半田付け」 「池袋駅南口の天文計算 - GPSモジュールを使ってみた」 「池袋駅南口の天文計算 - GPSモジュールを使ってみた(2)」 「池袋駅南口の天文計算 - GPS受信モジュール・まとめ」 「池袋駅南口の天文計算 - GPS受信モジュールを組み込む」 「池袋駅南口の天文計算 - ハンダ付け二題」 「池袋駅南口の天文計算 - GPS測位情報を聞いてみた」 「池袋駅南口の天文計算 - 根性でGPS情報を読んでみた」 「池袋駅南口の天文計算 - ソース付き・ゴールが見えてきたGPSタイムの表示」 「池袋駅南口の天文計算 - やっと時刻が表示できたけれど....」 「池袋駅南口の天文計算 - GPSモジュールの測位情報を見るために....(訂正あり)」 |
G591 \2,480._ |
自社(JRC)製? 1PPS出力 あります。 精度に関する言及はないようです。 入出力i/F TTLシリアル プロトコル NMEA他 |
実装方法 1.2mmピッチくらいの表面実装 外付け部品がいろいろ必要 アンテナ 外付け。 感想 これ、モジュールだけ買ってきて自分で動作するようにできるという人がいたら無条件に尊敬します。 別に評価用基板がありますがこれでもむずかしそうです。 さらに外付け部品が実装された評価用基板もありこれでやっと現実味が出てきます。 でも本体は自分でハンダ付けしなきゃいけません。 端子数が多いです。ちょっと手を出しにくいです。 |
なお確度や分解能については最近気合を入れて調べています。あんまり分解能高くない内容ですが、古い記事としては次のようなものがあります。
GM-316とGE-612Tは直接対決があります (^^;;
「GE-312T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール」 <-- 時間分解能が低いです。
GE-612TとGM-5157Aの対決はこちら
「100万分の1秒くらいずれている?GPSの1PPS出力 GE-612T vs. GM-5157A」
“ずれている“と書いていますが、ずれているのは私の作ったボードの出力がずれているだけかもしれません。周波数カウンタに使って温度補償型水晶発振器の発振周波数を監視(?)してみたのですが、1/1000万秒(以上?)の精度で等間隔に1PPSパルスが出ているとしか思えません(「VM39S5G(VCTCXO) - 温度補償型水晶発振器の温度係数を測る」)
------
それから1PPS信号のパルス幅も精度の高いほうが便利です。カメラのビデオ特性を調べるのに便利です。
ちなみに私が入手したGM-316の1PPSは100msになっていて、誤差は1/10000秒以下と思われます(私にはそれ以上の精度でのチェックができません)
<=== 上の表でもふれていますが、実際はもっとずっと精度がいいです。
« とても恥ずかしい年周光行差と月の視位置の話 | トップページ | ドップラー効果で太陽の自転速度を測る話し »
「時刻と時間」カテゴリの記事
- 星食観測ハンドブック2016とaitendoのGPS受信モジュールNEO6M-ANT-4P(2016.03.15)
- 毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波(2016.01.26)
- GPS受信モジュールu-blox6/NEO6M-ANT-4Pと温度補償型水晶発振器VM39S5Gの周波数(位相)を比較してみた(2016.01.15)
- GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、現在在庫数 76(2016.01.13)
- (非公式)JJY(標準電波/電波時計)の呼び出し符号(コールサイン)送出方法(2016.01.13)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
たくさん種類があるようですけど、何だかんだで結局どれも半田付けはアクロバチックになってしまうんですよね?(^^;
スマホにもGPS機能がついてるのが一般的になってますけど、このGPSを利用してモバイルライトを規則正しく点滅させるようなアプリとかできないのでしょうか?
あったらいいなぁと呟いてみました( ^ω^ )
投稿: sadaltemis | 2014年5月14日 (水) 01時01分
ハンダ付けだけなら(G591は別として)事前によく検討して(場合によっては練習して)注意深く行えばなんとかなるのですが、外部アンテナの端子が受信モジュールについているものなんかはコネクターの抜き差しに耐えられるような実装が必要になるのでトータルで考えるとやっぱりむずかしいです (^^;;
とは言えスマホ117などと併用するつもりだったら秒信号でLEDを光らせたり音を出したりできるだけでいいのでGPS受信モジュールを使うのが正確、確実、簡単、安上がりといちばんすぐれてる(というか他の方法はいろいろ問題があって掩蔽時刻の測定に使うのには問題がある)のでハンダ付けの難しさをクリアするだけの価値は十分にあります。なんなら二つ買ってきて一つを練習用に使うくらいやってもいいと思っています。
スマホ(iPhone)で正確な時刻がわからないものかとそれらしいアプリをいくつか試したのですがダメでした。記事にある通り「1秒以上狂っていなければ正確」ということみたいです。
スマホのGPS受信モジュールは緯度経度の取得が主目的なのでそもそも1PPS(正確な秒信号)出力がついていないのではないでしょうか。もしそうならどうしようもありませんね。
投稿: セッピーナ | 2014年5月14日 (水) 10時10分