星食(掩蔽)観測の残差と月縁の関係を見る - Occult
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「星食(掩蔽)予測アプリOccultで観測データの残差(O-C)を求める」
でOccultを使って観測データの残差"O-C"を求める方法を書いたのですが、Occultではさらにイベント(潜入・出現)のときの月縁の形を見ることができます。
"Reduce & Plot"で表示された一覧表から観測データを一つ選右クッリクすると表示されるメニュー(コンテクストメニュー)__と言っても選択肢は一つしかありませんが__から"Display event against profile"を選択します。
いちばん上の"R 450"を選ぶとこんな図が表示されます。
この図(と次の図)は横軸と縦軸の縮尺がぜんぜん違いますのでその点注意してください。一見この月縁は起伏が激しいように見えますが実際にはまっ平らという感じです。
この観測は"O-C"が-0.03ですから恒星位置は月縁より内側にあります。
つまり(月・恒星の位置、月縁の形が正しいとすると)すでに月の影に入って見えなくなったはずの恒星が見えていたということになります (^^;;
ところでこの図の左上のところを見ると"Kaguya LowRes"のところにチェックが入っているのがわかります。つまりこの図は「かぐや」の低解像度の月縁データを使っていることがわかります。そこで"Kaguya HiRes"の方にチェックを入れ高解像度のデータを使ってみます。
今度は恒星が月に隠される前に恒星が消えてしまったことになります。
上の図よりこちらの月縁の形の方がより正確でしょうが、これが100%正確かというとそういうわけでもないでしょう。結局何かが正しくないわけですし、最初に疑うべきなのは自分の観測なんでしょうが、何が正しくて何が正しくないのかは軽率に決められるわけはありません。
正しくないものが二つ(以上)あってそれらが打ち消し合って一見正しそうな結果が得られてしまうということもあるでしょう。
最終的には星食のデータを大量に集めて統計的に処理し原因を探りだしていくということになるのだと思います。
ところでこのデータのO-Cは-0.03になっているのですがこれは月の標高に換算するとどの程度かというと(地球と月の距離によって変化するのですが)だいたい60mくらいです。
また私の今の観測精度は±0.04秒ですがこれはだいたい±40mくらいに相当します。
38万km離れたところにある月の標高のこれほどわずかな差が私のおもちゃみたいな望遠鏡でもわかるというのは愉快なことです。ちなみにこの望遠鏡で見える(=写る)月のもっとも小さなクレータは直径が10kmくらいのものです。
(続く)
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