動画撮影機能の仕様を実測した - PENTAX Q7の場合
現在星食(掩蔽)の観測に使っているPENTAX Q7の動画のスペックを徹底的に調べてみました。
------
具体的な方法を記事にしました。
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4」
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 5」
(2014.07.12)
-------
具体的な測定方法やその理屈は記事の最後にあるリンクを参考にしてください。
フレームレート
スペック値は29.97fpsですが、実測すると29.96987±0.00005fpsくらいのようです。
1分間で0.0003秒違ってきます。ふつう掩蔽の前後1分以内にタイムコード(GPS受信モジュールの1PPS信号によるLED発光)を入れていますので29.97fpsとしてもなんら問題はなさそうです。
フレームの撮影時刻の間隔は0.0334秒となります。
露出時間
1/30秒で撮影していますので0.0333秒のはずですが実測値は0.0303秒でした。
もしLEDの光量が十分にあり画像にLEDの発光が正確に記録されているのであれば画像の撮影時刻を決定するのに露出時間を知っておく必要はないのですが、LEDの光量が十分であったかどうか判断するには正確な露出時間が必要になります。
けっきょく露出時間も正確に調べておいた方が無難です。
なおフレームレートと露出時間を比較するとフレーム間に0.0031秒の隙間(撮影されない時間)があることがわかります。
センサー走査時間
星食の時刻を正しく知るためには重要な要素となります。
これはすでに記事にしたとおり0.0267秒でした。この時間は動画のサイズには依存しません。また走査は画像の上から下へ(センサー上だと下から上へ)行われています。
動画の映像と音声のずれ
映像より音声の方が若干早く記録され始めるのですが、その値は動画によってかなりばらつきがあります。5月に観測した四つの星食に関して言えば
0.041秒
0.012秒
0.032秒
0.021秒
つまり
0.027±0.013秒
となっていました。
現在映像の分析は0.001秒あるいはそれを上回る精度で可能になっていることを考えると時刻の基準としては音声トラックに記録されたデータを使うのはもったいないという気がします。ビデオの観測の場合誤差はふつう±0.04秒となるのですが音声トラックの秒信号を基準にした場合誤差はこれより若干大きくなることになります。といっても±0.05秒か±0.06秒といったところにおさまるとは思いますが....
音声が0.1秒先行して記録されるとしても常に0.100秒先行しているのであれば問題ないのですが現状ではばらつきが大きすぎます。このばらつきの原因が何かはわかっていません。
なお映像を0.001秒の精度で分析できるというのは星食の時刻を0.001秒の精度で決定できるということを意味しているわけではありません。念のため。
また映像と音声では時間の歩度にわずかな違いがあるようです。ただこれは1分間あたり0.0001秒のオーダーのようなのでとくに問題になるようなものではないと思われます。
星食(掩蔽)、時刻と時間の関連記事
「「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集」
関連
「星食観測でのGPS・1PPS信号の利用法 (1)」
(デジカメの動画の仕組みを具体的に考えてみました)
「デジカメのセンサー走査時間を測る方法」 (簡単なセンサー走査時間の測り方)
「動画の撮影時刻を知る(1)」 (詳しく書きすぎてわかりにくいかも)
「動画の撮影時刻を知る(2)」 (詳しく書きすぎてわかりにくいかも)
「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた」
(29.97fpsなのに1/15秒露出ができるという不思議なカメラのこと)
「デジカメの特性を比較する」
(三つのカメラのセンサー走査時間と露出時間を測ってみました)
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4」
(毎秒0.1秒発光するLEDを使った走査時間の実戦的測り方)
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 5」
(毎秒0.1秒発光するLEDを使った露出時間の実戦的測り方)
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6」
(動画の中で起きたイベント=星食の正確な時刻の実戦的割り出し方)
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 1」
(測定に使った1PPS発光器について)
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 2」
(測定に使った1PPS発光器について)
« ひらがなとアラビア文字とどっちがむずかしい? | トップページ | はくちょう座デネブ (5) - アラビア語の星 »
「時刻と時間」カテゴリの記事
- 星食観測ハンドブック2016とaitendoのGPS受信モジュールNEO6M-ANT-4P(2016.03.15)
- 毎日送信してほしいJJY(標準電波/電波時計)の試験電波(2016.01.26)
- GPS受信モジュールu-blox6/NEO6M-ANT-4Pと温度補償型水晶発振器VM39S5Gの周波数(位相)を比較してみた(2016.01.15)
- GPS受信モジュールNEO6M-ANT-4Pはまじおすすめ、現在在庫数 76(2016.01.13)
- (非公式)JJY(標準電波/電波時計)の呼び出し符号(コールサイン)送出方法(2016.01.13)
この記事へのコメントは終了しました。
« ひらがなとアラビア文字とどっちがむずかしい? | トップページ | はくちょう座デネブ (5) - アラビア語の星 »
コメント