写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (2)
この記事に書いた手法を使った例が
「バーナード星は動いているか? (2)」
にあります。
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前回の記事
「写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (1)」
で
カメラがどの方向(赤経・赤緯)を向いているか
カメラが(等赤緯線に対して)どの程度傾いているか
実質的な焦点距離はいくつか
レンズの歪曲収差はどのくらいあるのか
を調べる方法を書きました。
これらがわかると未知の天体の画像上の位置からその天体の赤経・赤緯を求めることができるようになります。
なお前提として画像から恒星の座標を読み取るとか写っている恒星の星表番号を調べるというのが必要ですが、それにはこんなアプリがあります。
「「写真から星の座標を得る」アプリ」
「「写真から撮影方向を分析する」アプリ」
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前回の記事では次のような手順で赤経・赤緯から画像上の位置を求めました。
・赤経/赤緯を方向余弦に変換する。
・z軸の回りにカメラの方向(カメラの向いている赤経)の分だけ回転する Rz(yaw)
・y軸の回りにカメラの仰角(カメラの向いている赤緯)の分だけ回転する Ry(pitch)
・x軸の回りにカメラの傾き(等赤緯線に対する角度)の分だけ回転する Rx(roll)
・方向余弦を画像上の位置に変換する。
・レンズの歪曲収差を補正する。
今回はこれと逆のことをやればいいので
・画像上の位置からレンズの歪曲収差の影響を除く。
・画像上の位置から方向余弦を求める。
・x軸の回りにカメラの傾きが等赤緯線と平行になるように回転する Rx(-roll)
・y軸の回りにカメラの仰角が0になるように(カメラが赤緯0度を向くように)回転する Ry(-pitch)
・z軸の回りにカメラが春分点を向くように回転する Rz(-yaw)
・方向余弦から赤経/赤緯を求める。
という操作を行えばいいことになります。
Excelのファイルはここにあります。
「ダウンロード Excel_SRV_12B.xls (55.0K)」
試しにベガを未知の天体と仮定してベガの画像上の位置から座標を求めてみました。
赤経 18h37.5m (正しくは 18h37m26.047s )
赤緯 38d46m (正しくは 38d47m41.99s )
ふだん秒とかそれ以下の精度になれているとあんまり精度よく求まっていないように感じてしまいますが、これが35mm版f=40mm相当の画角のレンズで撮った写真=ヘラクレス座ぜんたいがだいたい写っています=であることを考えるとそんなに精度は悪くはないと思います。渋川春海の観測の30倍くらいの精度があります (^^;;
今回の計算に使った写真です。左下にベガ(こと座)が見えます。
計算結果
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