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2014年6月28日 (土)

GE-612T vs GM-316 1PPS対決 - GPS受信モジュール

その後より高い分解能での実験を行っています。1/10,000,000秒程度の分解能で比較するとGPS受信モジュール同士でも若干のズレがみられました。
    「
100万分の1秒くらいずれている?GPSの1PPS出力 GE-612T vs. GM-5157A

今、星食観測で正しい時刻(というか正しい秒)を知るためにGPS受信モジュールの1PPS出力によるLED発光を利用しています。
正秒=正しい秒が出ていると信じているわけですが疑えばキリがないわけでほんとに正秒が出力されているのだろうかと不安になることもあります。

何か基準になるものがあればいいのですが身の回りをいくら見渡しても1PPS出力に要求する精度(最低でも1/1000秒以下の誤差)で基準になるものものがありません。

ラジオの時報は少し(0.02秒くらい?)遅れているみたいです。標準電波例えばBPMは電波伝搬に伴う遅延があるのでこれも0.01秒くらい遅れています。もちろんどれだけ遅延しているかわかっていれば基準にできるのですがBPMは電離層の状態によって遅延時間は変わるわけではっきりこれだけ遅延しているというのを示すのはムリでしょう。

もっともBPMの電波とGPS受信モジュールの1PPS出力を比較していると日時によって正秒の差が変化しその変化の様子が電離層の状態を反映しているように見えます。電離層の高さや反射回数を仮定して遅延時間を計算すると正秒の差の変化をうまく説明できるわけです。
このことから考えてGPS受信モジュールの1PPS出力は少なくとも1/1000秒程度の精度は確保できているようには思えますが。

標準電波と言えばJJYを真っ先に考えなければいけないのですが、残念ながらJJYは時刻の標準にはできません。JJYがいくら正確でも(シロウトがふつうに使える)JJY受信モジュールは時刻の精度を台無しにしてしまっています。秒信号に微妙なフラつきがあります。
ちゃんとした受信機を買うなり作るなりすればいいのですが高価だったり面倒くさかったりで手が出ません。

NICT(情報通信研究機構)の一般公開日に言って日本標準時に合わせて正確に点滅しているLEDか何か見つけ出しフォトダイオードで光の強弱を拾って自作のGPS受信ユニットの1PPSと比較しようと思ったことがあります。情報通信研究機構と言えば日本標準時そのものですから。

時空標準研究室の展示に言って説明員の方になんとなくOKをもらい実行に移そうと思ったのですがそのときはGPSの電波をうまく拾えませんでした (^^;;
なお念のために書いておくとLEDやフォトダイオードは応答性は非常によくたぶん1/10,000分の1秒とか100,000分の1秒の精度の比較であれば余裕でできると思いますが、フォトダイオードや1PPSの電気信号はボイスレコーダーに記録して持ち帰るので精度はボイスレコーダのサンプリング・レート(192k)で制限されます。

------

長い前置きになりましたが、二つのGPS受信モジュールを用意しそれぞれの1PPS出力を比較するということを考えました。もちろん同じものを用意すれば同じ時刻に1PPSが出力されるのは決まっています。もし違っていたらそれは悲劇です。

今回はGE-612TとGM-316を使います。この二つはチップセットが違いGE-612Tはu-blox 6、GM-316はSiRFstarIIIです。方式が違うもので比較するわけですからもし一致すればある程度不安は払拭されます。本当はメーカーも違うものがあればいいんでしょうが手頃なもの(つまり私でも実装できそうなもの)が見つかりませんでした。

さて結果は以下のとおりでした。
上がGE-612T、下がGM-316でどちらも1PPSのパルス幅は1/10秒です。
二つのGPS受信モジュールから電気的に1PPS信号を取り出しボイスレコーダーの外部入力端子を使って記録しています。
うっかりサンプリング・レートを192k96kにするのを忘れてしまったのですがそれでも20μsくらいの分解能はあるはずです。

1PPS信号の開始
Ge312tlvsgm316r1

1PPS信号の終了
(こちらは時刻の精度というより1PPS信号のパルス幅の精度です)
Ge312tlvsgm316r2

0.001秒を黒くマーキングしてあります。ですから二つのGPS受信モジュールの1PPS出力時刻の差は少なくとも1/10,000秒以下と見ていいようです。

間違って片方の信号を両方のチャンネルに記録してしまったのではないかと不安になるほどよく一致しています。

これでちょっとは安心して星食観測ができます (^^)

  時刻と時間
    GPS受信モジュール

  「GPS受信モジュールあれこれ
  「時刻標準について

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コメント

こうした検証データを見て改めて精度の高さにビックリでした!
でも時刻がこれだけ正確だと、動画の29.97fpsがもったいなさすぎますね(^^;
ここを超える何かってないのでしょうか???
Webカメラと録画ソフトでハイスピード撮影のようなものができたらいいなと思ったんですけど。。。

はい、そうなんです。
GPS受信モジュールの1PPS出力の精度は公称(?)“1/1,000,000秒以下の誤差”となってるようですから29.97fps、0.033秒の分解能なんてもう豚に真珠、猫に小判ですよね (^^;;
有効に活かせる唯一の手段は光電観測じゃないでしょうか。ボイスレコーダーで記録しても1/10,000秒の精度は出そうです。そういう時間分解能のときシンチレーションや月縁での回折がどう影響してくるのか私には見当もつきませんが....

“Webカメラと録画ソフトでハイスピード撮影”、おもしろうそうですね。
サダルテミスさん、やってみませんか (^^)

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