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2014年7月23日 (水)

「写真から星の座標を得る」アプリ

さらに進んで写真がどの恒星(星座)を写したものか知りたい場合はこんなアプリがあります。

  「「写真から撮影方向を分析する」アプリ

まだ検証不十分ですが“全自動”のこんなのもあります。

  「Astrometry.netでオリオン座を遊ぶ

------

ちょっと前になりますが

  「写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (1)
  「写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (2)

の二つの記事を書きました。記事はタイトルとおり写真に未知の天体が写っていたときその視位置を求めるためにはどうしたらいいかという内容なんですが、現実に未知の天体が写ってるなんてことはめったになさそうです。でもこの方法はいろいろと応用がききます。
例えばこういうことにも使えそうです。

  「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - ウチから見える一番近い夜空の恒星!初GET☆彡
  「星空のおぼえ方-ソラのソムリエから自由をめざす - 試しにもう一度バーナード星を見たけれど…

この“バーナード星の固有運動を検出するプロジェクト”には私も参加させていただく予定です (^^)

このような話はこれからおいおい記事にして行くつもりですが上の記事に書いた方法には問題点が二つありました。

1. 上の記事では天体(恒星)の視位置は暦象年表で調べましたが、恒星の視位置は時間とともにいろいろな理由で変化していくわけで写真を一枚チェックするたびに暦象年表を参照するというのでは面倒くさくてやってられません。

ちょっと補足しておきます。
恒星の相対な位置関係を問題にしているわけだからわざわざ視位置で考えなくても星表位置(に固有運動を加味したもの)でいいのではないのかと思われる方もいらっしゃると思います。恒星の位置計算が座標の回転だけからなっているのなら確かにそうなのですが位置計算には座標の回転ではないものが固有運動以外に少なくとも三つあります(年周視差、年周光行差、大気差)
だから相対位置だけが問題であっても厳密には視位置(+大気差)を計算しなければなりません。

あくまでも“厳密には”なんですが、視位置を計算しておけば位置の計算結果が正しいかどうか暦象年表で確かめられるという現実的な“御利益”もあります (^^;;
現実問題としては年周視差は視位置に対する影響は小さいのですが相対位置に対してはある程度の影響があり、一方年周光行差は視位置に対する影響は大きいものの相対位置に対する影響は小さくなります。


2. 画像/写真から天体の位置を読み取るのがタイヘンです。GIMPとかそういう画像処理アプリで一個一個座標を読み取っていくのですが10個も読み取るともううんざりします。

ところが最近この二つとも解決しました。1.の方は星表データから直接視位置を計算するようにしました。日時経度を設定しておけば星表番号を入力するかドロップダウンリストから恒星を選択すれば度で小数点以下5桁(くらい)まで視位置が計算できるようなExcelのシートを用意しました。

そして2.の方は「写真から星の座標を得る」アプリを作られた方がいらっしゃいます。

  「ほよほよのブログ - 画像処理の最初の一歩
  「ほよほよのブログ - 写真から星の座標を得るために -画像処理その2
  「ほよほよ - 写真から星の座標を得るために -画像処理その3
  「ほよほよのブログ - 写真から星の座標を得る - プログラム公開
  「ほよほよのブログ - 写真から星の座標を得る - ここまでのまとめ

  (以下JPEG版について)
  「ほよほよのブログ - JPEGファイルの読み書きそろばん
  「ほよほよのブログ - JPEGファイルは正しく表示されているのか
  「ほよほよのブログ - 写真から星の座標を得る-プログラム再公開 
     機能的にはこの記事にあるものとだいたい同じですが、JPEGファイルの読み込みができます。

ほよほよさんは以前「写真から撮影方向を分析する」、つまり写真だけから写真に写っている恒星が何か判別しようという画期的でユニークなアプリを作られた方です(このアプリもとても興味深いものなので記事の末尾にリンクを貼っておきました)

-------

前置きが長くなりましたが、そこで今回こんなことをやってみました。

A. ほよほよさんのアプリで恒星の画像上の位置を読み取る。
B. 画像上の位置と恒星の視位置をもとに撮影の条件を決定する
C. 撮影の条件をもとに恒星の画像上の位置を算出する。
D. ほよほよさんのアプリで読み取った画像上の位置と計算で求めた位置を比較する。

ベガのあたりを180mmの望遠レンズで撮った画像をサンプルに使いました。180mmと言っても使っているカメラがPENTAX Q7なので画角で言うと35mm版の840mmくらいあります。

そして計算に使ったExcelファイルはこれです。どういうわけかファイルサイズがやたらと大きいのでGoogle Driveになってます。
  「Excel_SRV_Vega.xls

    ※ アップロードしてから気づいたのですが、「未知の天体の...」の部分は作りかけでした (^^;;

------

さらにいろいろ問題が見つかったのでいったん公開を中止します。
つまりこの記事に使った画像も差し替える必要があるのです本質的(?)なところはそう違わないようなので画像はひとまずそのままにしておきます。

なお特に問題だったのはC27,C28のセルです。数値が設定されていますが正しくは
  c27: =C25/2-0.5
  c28: =C26/2-0.5
です。
全体的に見なおしたものを後日公開させていただきます。

(2014.07.17 09:40)
------

今回使う画像はSVGかSVGを画像にかぶせたものです。このSVG(の一部)もExcelで作っています。


まずD.からです。画像にはC.によって算出した恒星の“あるべき座標”(?)を黒い点で、A.の観測結果(読取り結果)を赤い点で示したあります。
右上のHIP91262がベガ、左下のペア(?)がこと座のε星です。
Kp4mgp0813_4


この画像を見て、何だぜんぜんあってないじゃないか、と思われる方もいらっしゃると思いますがそれは誤解です。
黒い点は本来の座標にプロットしてあるのですが、赤い点は黒い点からの距離を約70倍にしてプロットしてあります。つまりほとんどの恒星は目でみても差がわからないくらいの違いしかありませんでした。

実際の画像にマークしてみました。黄色いクロスがC.で算出した座標、青緑のクロスが観測位置(読取り位置)です。
Imgp08131000


これもせっかくですからもとの画像をGoogleDriveからダウンロードできるようにしました。
  「IMGP0813-4000.JPG

これじゃ差があるのかないのかさっぱりわからないのでベガのところを等倍にしてみます。
Imgp0813vega580


予想される位置より読取り位置がほんの少しだけ上側にあります。
これだけ大きな星像しかもいびつになっている星像でもきちんと読み取れるのが驚きです。

補足

これについては読取りに影響しているのは星像の大きさでも歪みでもなく星像の飽和している領域が広いからではないかと言う指摘が
ほよほよさんからありました。確かにのっぺらぼうな星像ではどこが中心だか判別しにくいのでしょう。こういう天体の位置を正確に調べようという目的のときどういう写真の撮り方をすればいいのかということではとても参考になります。

左下のこと座ε星はこうなっています。
Imgp0813580


黄色いクロスが見えませんが、もちろん青緑色のクロスの下にあるわけです。
(よおく見ると左側は気持ち上にずれているのがわかります)

最初読取り精度はどんなものだろうという気持ちで始めたのですが、たいへん失礼なことを考えていたと反省しています。読取り精度がどうのこうの言う前に精度のいい読取りに耐えうる画像を用意すべきでした。

ほよほよさんのアプリの精度を評価できるだけの良好な画像はそう簡単に撮れそうにありません。


ところでこれらは大気差も歪曲収差も補正した後のものです。大気差を補正する前の状態を見てみます。
Kp4mgp0813_5



画像の上端では大気差なしで計算したときよりちょっと下、画像の下端では逆に上に星像があるようにも見えます。
大気差は高度が低くなるほど強く作用しますので、(この写真はカメラをほぼ水平にして写していることを前提に)なんとなく大気差の影響をとらえられているように見えなくもありません。
これだけのデータでそれを判断するのはムリがありますが....

なお大気差は恒星の選び方によっては一見レンズの焦点距離が短くなったような結果になります。こういうことの判断は多角的な面から検討しないと正しい結論に到達するのはなかなかむずかしいです。


参考
  「ほよほよのブログ - ヒッパルコス星表を取り込む
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-見えてきた問題点
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-その2
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-その3
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-その4
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-βテスト公開
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-βテスト公開(その2)
  「ほよほよのブログ - 写真の座標から赤経・赤緯を求める - プログラム再公開 -
  「ほよほよのブログ - Tetra用2015.0年版離角テーブル完成 」  (現時点の最新版?)
  「ほよほよのブログ - 低空(高度23度)の写真にてこずる
  「ほよほよのブログ - プログラムをパイプでつなぐ
  「ほよほよのブログ - 初期設定ファイルのコメント行

  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-新たな試み
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-新たな試み2
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-新たな試み3
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-新たな試み4
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-検索高速化
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-さらに高速化
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-新たな試み5 ほぼ完成
  「ほよほよのブログ - 写真から撮影方向を分析する-新たな試み6 リリース

  ※ 抜けがあるかもしれません。見つけたら追加しておきます。

  「NaviNaviのブログ - ラベリングによる星の捕捉検出、自動ロック、自動ガイド機能の可否
  「NaviNaviのブログ - LabelingのJavaソース発見、VBに移植しました。
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  「NaviNaviのブログ - 写真画像から彗星等の位置を読み取る
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関連

  「写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (1)
  「写真から未知の天体の赤経・赤緯を求める (2)

  「デジカメで三角測量 (1)
  「デジカメで三角測量 (2)
  「デジカメで三角測量 (3)
  「デジカメで三角測量 (4)


  「「Excelによる天文計算」記事目次とリンク集

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天文計算」カテゴリの記事

コメント

すごい!すごい!
昨日は自分で書いたブログ記事を探すのに手間取ってました。
これだけ整理整頓するとは大変だったのではないでしょうか。(自分のずぼらさが身にしみます><)
ここをブックマークして活用することにします。ヽ(´▽`)/
SVG出力も直感的にずれが把握できてすばらしいですね。これからエクセルファイルを使わせていただきます。適切な拡大率70倍を見つけるのも大変だったのでは?
ベガの星像、歪んでいるとおっしゃいますが、私から見たら十分丸くてきれいです。中央部分の輝度が広領域で飽和してるのが原因のような気がします。
話はかわりますがSIFTのほうは歪んだ像どうしのほうが対応が取れるのでトラッキング用途には多少流れた写真のほうがいいみたいです^^;

さっそくご確認いただきありがとうございます。
昨日中にアップロードしなきゃと思ったのでかなり問題があります。
SVGでは星名も入れていたのですがGIMPで読み込めなかったのではずしました (^^;;
未知の天体のところは未完成です。
まあ、Excelは全体的に洗練されていません。
記事にも誤りが何箇所かあるのでこれから修正しておきます。
使った感じとしてはとにかくkeypointsは強力です。
これからいろんなことに活用していきたいと思います。
最初はバーナード星の固有運動です (^^)
SIFT、tetraも含め今後の展開を期待しています。

なおなぜ70倍くらいなのかはExcelのセルの中身を見るとすぐわかります (^^;;

あれ?SVGの出力にHIP番号が入るようになってますね^^。
アルビレオを6/1の0時ごろ撮影した写真を使ってみて気が付いたところがあります。
・C27,C28の画像中心座標に式が入っていません。ピクセル数を入れているので計算するようにしました。
・A51などのインデックス。MATCH関数の第3パラメータが省略されているので1とみなされてうまく見つけられませんでしたので、0を入れました。ただし私のバージョンの問題かも(Excel2000)。
・大気差補正を入れた場合、残差が13.9ぐらいまで小さくなりました。入れないときは15.8でした。効いている感じがします。
・ソルバーは無かったのでアドインインストールしました(自宅では使ったことがなかった)^^。

X座標もY座標もぴったりのときもあれば、2pixelくらいずれるときもあり、歪曲収差が3次より複雑な気がしています。あ、カメラはレンズ無しなので望遠鏡の反射鏡ということです。
カタログによるとR200SSは主鏡6次非球面とあり(副鏡は不明)、いろんな画像で試してみようと思います。

あ、すみません。今回のExcelシートはいつもよりさらにいい加減なところがあります (^^;;
恒星名をHIPnnnnnnだけにしたらtextが表示できることがわかりました。何せSVGシロウトなもんで (^^;;
数日前にサダルテミスさんから5月のバーナード星の画像をいただきました。残差が恒星一つあたり1くらいまでにしかならずちょっと不思議に思ってました。
反射鏡の収差となるとそうとうに複雑そうですね。100個くらい恒星を拾ってやってみると解明できそうですが、ヒッパルコス星表にある恒星はバーナード星だけで後はディコかティコ2です。こういう星表データはこれまで使ったことがなくてどのフィールドを使えばいいのかとか元期はいつなんだろうとかそういう基本的なところから調べ始めています。
それと今は写真に写っているところの星表データだけ絞込検索をして使っているんですがDBを使うとか赤経・赤緯から候補の恒星を拾ってくるとか、Excelだとどうなるんでしょう....
残差が平均1ならバーナード星の固有運動を検出するのには問題なさそうなのでサダルテミスさんの次の写真に期待しています (^^)
そう言えばバーナード星だけ残差が大きかったです。ヒッパルコス星表の固有運動はどの程度信用できるのか、とか暦象年表の視位置を使ったらどうなるんだろうとか、そういうのもあってもう課題が山積です。
でもこういう悩みもkeypointsがあればこそでしょう。おかげさまで新たな世界に足を踏み入れられた気がします。ありがとうございます m(._.)m

プロジェクトなんていうほど大それたことできませんけど、お手伝いしたいと思います(^^;

私の持っているVMC200Lは高精度の球面鏡に副鏡手前のメニスカスレンズで収差を取り除く構造のようです。
あっ、主鏡のメンテは結局先週できず、、、次の日曜日にやろうかと(^^;
もしそれまでにいい感じにソラが晴れたら、この間の写真と同じ状態で撮影することになるので、またご連絡しますね♪

いえいえ、お手伝いさせていただくのは私ですから (^^)
近々記事にしますがいろいろ試行錯誤しています。
サダルテミスさんの写真から星表(ヒッパルコス、ティコ、ティコ2)にある恒星が21個見つかりました。
現在のところ写真から他の恒星との位置関係をもとに算出したバーナード星の視位置は
  17h58m31.72s±0.02s
  4d44m04.0s±0.4s
と出ています。ほんとはJ2000.0で表示しないと比べにくいのですがまだそこまでできていません (^^;;
一ヶ月で赤緯が1s増えるはずですからギリギリ検出できそうですよ。
新しい写真が撮れる日が私も待ち遠しいです。
私もできることなら自分で撮ってみたいと思います。
なお反射望遠鏡の収差はいろんな方法で補正してあるみたいですからあるかないかを判別するだけでも難しそうです (^^;;

あ、JPEG対応の話が追加されてますね^^。
一応できてるんですが・・・少し問題が出ています^^;
1.JPEGファイルをペイントなどでBMPファイルに変換したものをKeypoints_rに入力した場合、
2.JPEGファイルをそのままkeypoints_rに入力した場合、
で出力される座標に0.01%程度の差が発生してしまいます。

いろいろ調べてみたところ、特定座標のG値をバイナリ比較において、利用した jpeglib が伸張したピクセル値と、ペイントなどWindows標準アプリが伸張したピクセル値が異なっていることがわかりました(片や0xFE、片や0xFD、といった1~2の差)。

jpeglib のデバッグをするかと思うと、気が遠くなりそうです・・・;;

はい、監視(?)はおこたりません (^^;;
ダウンロードできるようになったらすぐにテストできるように準備してます (^^)
心待ちにしています。
Windows標準のアプリの方がヘン、なんてことはないでしょうね。
WindowsのAPIにはそういうのはないんでしょうか。
自分でやる気がないので調べもしないで書いていますが (^^;;

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