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2014年7月13日 (日)

SONY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた

星食(掩蔽)の観測をしているといつも悩まされるのは露出不足です。望遠鏡の口径(F値)もカメラのISO値も上限があります。暗い恒星なんかを写すときは露出時間を大きくするわけですが動画だとこれができません。1/30秒より長くできないからです。

ところがサダルテミスさんから聞いた話じゃSONY NEX-5Nは動画でも1/15秒というような露出時間の設定ができるとのことでした。露出が倍にできればそれだけ暗い恒星の星食も観測の対象にできるわけですから画期的です。

サダルテミスさんからNEX-5NでGPS受信モジュールの1PPS出力を使ったLEDをの発光を撮影した動画を提供していただいたので調べてみました。

  具体的な計算方法をExcelのシートにしました
     「ダウンロード Camera_00.xls (49.0K)

--------

どういう仕組なんだろうと興味津々で動画を細かく見てみたのですが、事前にサダルテミスさんから聞いていたとおり同じ画像が二つずつ並んでいました。つまり21フレームと22フレーム、23フレームと24フレームはまったく同じ画像になっていました。

No.0021
Mah078790021580
No.0022
Mah078790022580


1/15秒で撮影した画像を二つづつ並べていくという方式のようです。

じゃあ0フレームの画像は何なんだ、というのが気になるのですがそこは深く追求せず次の話しに進みます。

-------

NEX-5Nの動画での1/15秒露出の機能を星食観測に使った場合潜入・出現の時刻をどう求めればいいかということを考えます。

同じ画像が二つずつあるわけですから例えば偶数のフレームだけ考えて半分のフレームレートで撮ったものだとすればいいでしょう。もちろんフレーム番号は2で割って考えます。

こう考えたときのNEX-5Nのセンサー走査時間と実際の露出時間を求めてみました。

-----

まずセンサー走査時間は「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4」にある方法・計算式を使います。

ある時刻における1PPS発光開始の画像
  フレームNo. 736(2で割って368)
  発光開始位置 1055ピクセル
Mah078790736580


9秒後の1PPS発光開始の画像
  フレームNo.1006(2で割って503)
 
  発光開始位置 738ピクセル
Mah078791006580




画像の縦のサイズが1080でしたので計算結果はこうなります。

  ( ( 503- 368 ) /14.985 - 9 ) * 1080 / ( 1055 - 738 ) = 0.0307[秒]


次に実際の露出時間を計算します。

ある時刻の1PPS発光開始の画像
  フレームNo.736(2で割って368)
  発光開始位置 1055ピクセル

    画像は上にあります。

9秒前(-9秒後)の1PPS発光終了の画像
  フレームNo.472(2で割って236)
  発光終了位置 34ピクセル
Mah078790472580




発光開始が終了より前の時間というのはヘンですが、これでもちゃんと計算できます。

  = 1/14.985 * ( 236 -368 ) + 0.0307 * (34 - 1055 ) / 1080 - 0.1-(-9) = 0.0622[秒]

この0.0622秒という露出時間は1/15秒より短いです。逆数で表すと1/16[秒]ということになります。1/30秒の設定で撮った動画の露出時間は1/32[秒]くらいでしたからどうなっているのかなんとなくわかってきました。

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さて以上でセンサー走査時間と正確な露出時間が分かったのでもう星食があっても次の計算式で潜入/出現の時刻が分かります。

「LEDの発光の終了を基準にして潜入の時刻を求める」場合を考えます。

潜入の時刻 = 1PPSによるLEDの発光時刻
      + LEDの発光時間 + 1/フレームいレート
         * ( 星像の写っている最後のフレーム - 1PPS発光終了が写っているフレーム + 1 )
        + センサー走査時間 * ( 恒星の位置 - 発光終了の位置 ) / 画像の縦ピクセル数


    = 1PPSによるLEDの発光時刻
      + 0.1 + 1/14.985 * ( 星像の写っている最後のフレーム - 1PPS発光終了が写っているフレーム + 1 )
        + 0.0307 * ( 恒星の位置 - 発光終了の位置 ) / 1080


  ここでフレームというのは実際のフレーム数を2で割ったものであることに留意してください。

フレーム間の時間は0.067秒ですからJCLOへの報告では精度は±0.07秒とします。

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参考
  「星食観測日本地域コーディネーター
  
 JCLO - [PDF版] 星食観測ハンドブック2014 発行のお知らせ

関連
  「星食観測でのGPS・1PPS信号の利用法 (1)
  「デジカメのセンサー走査時間を測る方法
  「動画の撮影時刻を知る(1)
  「動画の撮影時刻を知る(2)
  「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた
  「デジカメの特性を比較する

  「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 1
  「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 2
  「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4
  「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 5
  「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6

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