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2014年8月31日 (日)

風速計・風向計を作る - 1

それにしても“1”だけ書いて“2”を書いてない記事が多いです (^^;;

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惑さんのワクワク天体観察日記 - 新型ソラヨミマスター 」というような記事を見るとソラヨミマスターが欲しくなるわけですが、根気のない私にはムリでしょう。

そこで自分で作ろうと思うのですが、温度、湿度、大気圧といったところはセンサーがあるのですそれを組み込むだけで済むものの風速計が問題です。どうやって作ればいいか考えてみます。

1. 風杯式(ロビンソン風速計)、プロペラ式

いちばん最初に思いつきますが私は工作が苦手です (^^;;
もっとも構造はそんなに難しくないので何か流用すれば良さそうな気はします。回転数を測るのはLED(発光ダイオード)とフォトトランジスタとカウンター(=PICなどで作ればそう難しくはないです)があればできます。ブログネタとしては磁石とホール素子なんかもありかも。

この方法のいちばんの問題は回転数(回転速度)を測れるようになっても風速計として使うためには校正が必要なことです。今の私にはその準備がありません。
ソラヨミマスターを持っているお友達にお願いして比較すれば風速の目安くらいはわかるようになるかもしれません。

ソラヨミマスターを作ると言っているわけですから最終的にはここに行き着くと思いますが。

2. ピトー管

これも構造は簡単です。圧力差を測る必要がありますがこれは「I2C大気圧温度センサーLPS331の驚くべき分解能」に書いたセンサーを(二つ)使えます。そういうものを使わなくても水を入れたU字管で十分でしょう。差圧の分解能はどちらでも大差ないと思います。

この方法のいいところは圧力差は風速と空気の密度から計算できるので気圧と温度(と湿度)を測っておけばそれだけから風速が算出できることです。つまりソラヨミマスターを持っている人を探す必要がありません。

問題は微風のときほとんど圧力差が発生しないことです。ざっと計算すると1HPaの圧力差があったら風速14m/sくらいみたいです。また風速1.4m/sなら差圧が0.1HPaになるならまだいいのですが差圧は風速の自乗に比例するので0.01HPaになってしまいます。これはLPS331でもU字管でもさすがに厳しそうです。
逆に風速が大きいときの分解能はよくなります。これがピトー管が航空機の速度計には使われても自動車の速度計には使われない理由でしょう。

簡単に作れそうなので作った風速計の(強風域)の校正には使えそうです。風速を測るときピトー管の向きを風向に合わせなければならないのですがこれはソラヨミマスターでも同じですから問題ないでしょう(ソラヨミマスターのプロペラの中心軸って風上に向くような構造になっているんでしたっけ?)

どうでもいい関連記事
  「(航空機のピトー管の)ヒーターのスイッチ


3. サーミスタ

サーミスタは温度によって抵抗値が変化するので温度計に使われます。流す電流を大きくすると発熱して温度計としては意味がなくなるので小さい電流で使うのですがこれを逆手にとります。
風が吹くと熱が奪われるため温度が下がります。風があたらないサーミスタと風があたっているサーミスタの温度差(つまり抵抗値の差)から風速がわかるはずです。
これは電池と抵抗とテスター(と換算表)があればできてしまうわけでお手軽です。PICなどを使えば風速直読みも可能です。

ただこれも“換算表”を作るためにソラヨミマスターを持ったお友達が必要です。こちらはピトー管とは逆に微風用でしょう。

やり方としは一定の電流を流して温度差(抵抗値の差)を見るのではなく、一定の温度差になるように電流を流して電流を測るという方法もありそうです。この方法だと微風から強風まで使えそうです。いずれにしても換算表は必要です。

4. 音速の変化を測る

1mくらい話してスピーカーとマイクを配置します。スピーカから音(と言っても実際は雑音対策、時間計測の精度を考えると超音波を使うべきでしょう)を出してそれがマイクに到達するまでの時間を測定します。この時間は音速+風速の逆数に比例します。

  風速 = スピーカ・マイクの間隔 / 到達時間 - 音速

で風速を求めることができます。ちょっと電子工作が必要になるのですが、スピーカ・マイクの間隔や、到達時間は正確に測れますので得られた風速もけっこう正確なものになりそうです。スピーカーとマイクのセットを二つ直角に配置すると風向も測定することができるはずです。

作るのはちょっとたいへんですし、気軽に持って歩けるようなものでもありませんが他の方法で風速計を作ったときの校正に使えそうです。

ところでこの方法音速が既知であるとしています。音速がわからなければ風速を測れません。音速は気圧、温度、湿度(蒸気圧)に依存しますのでけっきょく正確な風速を測るのは面倒なのではないかと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、その心配はないです。

スピーカとマイクのセットを二つ用意し逆向きに配置します。これをA、Bとします。

Aセット
  スピーカ・マイクの間隔 = 音の到達時間 * (音速 + 風速)
Bセット
  スピーカ・マイクの間隔 = 音の到達時間 * (音速 - 風速)

の関係が成り立ちますのでこの二つの式から音速に依存しない関係が得られます。

  風速 = スピーカ・マイクの間隔 * ( Bセットの到達時間 - Aセットの到達時間 )
         / ( Bセットの到達時間 * Aセットの到達時間 * 2 )

  超音波風速計の製作 - 気温・湿度に依存しない測定方法

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今回は“理論編”でした。これから実際に作って行きたいと思います。どれから作るか考え中ですが正確な風速を知るという意味からは「スピーカー・マイク」方式から手を付けるべきでしょうか。

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関連

  「風速計・風向計を作る - 1」 (この記事)

  「
超音波風速計の製作 - 気温・湿度に依存しない測定方法

  「
分解能0.1mmの超音波距離計(ノギス)の製作 - 原理とその検証


  「
測定対象別記事一覧(測定、電子工作、天文計算)
    温度、湿度、気圧をはじめいろんな物理量の測定方法について

  「過去記事の一覧(測定、電子工作、天文計算)

参考
  気象庁の「気象観測の手引き[PDF:1,825KB]

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趣味の気象観測」カテゴリの記事

コメント

風速を計るといってもいろいろなアプローチがあるんですね!
想像だにしないことばかりで、目からうろこって感じでした^^
「4. 音速の変化を測る」が機器の見た目も面白そうで、期待したいです♪

ソラヨミマスターは最近リポートもサボってますし、セッピーナさんにならお貸ししてもよいのですけど。。。
4が実現したら不要なんですよね(^^;

はい、音速の変化から風速を測るというのは“物珍しい”と思いますのでちょっとやってみたいです。
完成したらソラヨミマスターと対決してみたいですが、完成はいつになることやら (^^;;

私は新型ソラヨミマスターよりも、
セッピーナさんのなんでも出来てしまう、その頭脳が欲しいです^^;

私は惑さんの行動力がほしいです (^^)
もし風速計が完成したあかつきにはソラヨミマスターと対決(?)してみたいと思います (^^;;

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