星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 3
図を描くのが面倒でほったらかしだったのですが1PPS発光器の設置の仕方についてです。
基本は、画像(センサー)全面にLEDの光が十分に当たるように設置する、です。
縦方向の変化がわかればいいので“画像の左半分にだけLEDの光があたる”でもかまいません。でも“画像の上半分にだけLEDの光があたる”とか“画像の中央にだけLEDの光が当たる”というのはダメです。
“OK”としてあるのが正しいというか適切な位置です。
1. 画角内に置きます。
望遠レンズですから“画角内”=“鏡筒を延長した円柱の中”と考えていいでしょう。
だからAはいけません。
2. LEDの光軸(光量が最大になる向き)はレンズの光軸と平行にします。
こうしないとセンサーに当たる光量が減ってしまいます。B.のような置き方はよくありません。
3. レンズの近くに置きます。
センサー全面に光をあてる、というのは要するにLEDのピンぼけ写真を撮っているのと同じです。レンズに近いほど盛大にピンぼけしますからこうするわけです。
C.のような位置におくのは適切でないということになります。
ただ反射望遠鏡の場合は主鏡の間近にLEDを設置することは難しいでしょうからどうしてもこれに相当する置き方になってしまいます。もし反射望遠鏡でセンサー全面に光が当たらなかったらこれが原因ですので設置場所の再検討をしてください。
サダルテミスさんからうかがった話ではカタディオプトリック f=1950mmではスパイダーの鏡筒と副鏡の中間の位置にLEDをおくことによって良好な結果が得られたそうです。
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天体望遠鏡で直焦点撮影をする場合は接眼筒の中にLEDを置き直接センサーに光を当てるという方法を検討してみるといいと思います。
私は実際に観測するときにこの方法を使ったことはないのですがテストをするときはよくこれに相当する位置でやっています。少ない光量で済みますしセンサー全面に光をあてるのも難しくないので構造的に可能であれば検討したい方法です。
LEDの光が強すぎる場合単に光量を落とすだけでなく“LED光散乱キャップ”みたいなもので光をソフトにする方法が有効かもしれません。“LED光散乱キャップ”を使うと光軸をあんまり気にしなくてすみます。
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光路上にものを置くのは気が進まないと思いますが星食/掩蔽の観測は恒星が見えるか見えないかだけがポイントですからあんまり気にしなくていいと思います。
光の強さの調整方法については
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4」
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 5」
に書きましたので参考にしてください。これも基本は“可能な限り強い光がセンサーに当たるようにする”です。
LEDの光を弱くして星食といっしょに撮ろう、なんて考えるのはやめた方がいいです。LEDの発光開始(あるいは発光終了)の時刻がよくわからなくなりますし、ヘタするとどこで潜入/出現が起きたかもわからなくなります。LEDの光は潜入/出現の前後であてるだけにします。
(「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4」に続く)
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参考
「星食観測日本地域コーディネーター」
「JCLO - [PDF版] 星食観測ハンドブック2014 発行のお知らせ」
関連
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 1」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 2」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 3」
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 4」
「**重要** 星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 5」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 6」
「星食観測用1PPS発光器取扱説明書 - 7」
「星食観測でのGPS・1PPS信号の利用法 (1)」
「デジカメのセンサー走査時間を測る方法」
「動画の撮影時刻を知る(1)」
「動画の撮影時刻を知る(2)」
「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた」
「デジカメの特性を比較する」
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