I2C大気圧温度センサーLPS331の驚くべき分解能
この記事では床と天井の気圧の差が検出できたと喜んでいるわけですが、気象庁の「気象観測の手引き[PDF:1,825KB] 」によると
気圧計高度Zは 0.1mまで求めておく。
とありました。床と天井の気圧の差なんて検出できないほうが問題なようです (^^;;
実際に使ってみようという方はこちら。
「PICでI2C - 大気圧・温度センサーLPS331APの使い方」
「大気圧センサーLPS331APの正しい使い方」
大気圧センサーの精度はこちら。
「I2C大気圧温度センサーLPS331 - 海面更正気圧を気象庁とくらべてみた」
「台風19号による東京の気圧変化 2014/10/12-」
温度計センサーの精度はこちら。
「PICでI2C - 温度センサーLP331APとAM2321の精度比較」
実際精度はどんなものか調べてみました、の一回目です。
「I2C大気圧センサーLPS331の分解能はほんとうに高いのか?(温度編)」
マッチポンプ的ですが (^^;;
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末尾に記事のリストをあげておきましたが、I2Cの温度センサーを使おうと思って現在悪戦苦闘中です。
液晶ディスプレイと温湿度センサーAM2321を秋月の通販で購入したとき送料がもったいないので他にもいくつかセンサーを買いました。
今回はそのうちの一つ「LPS331使用 高精度大気圧センサーモジュール(完成品) 」の話です。製作記事は探せばいろいろあるので省略します。
製作については簡単な説明を
「PICでI2C - 大気圧・温度センサー LPS331の使い方」
「PIC/I2C大気圧センサーLPS331APの測定値をSDカード(SPI)に記録する - はじめに」
に書きました。
このセンサーの特徴は気圧のセンサーの精度が高いことです。データシートを見ると「P = 800 to 1100 mbar T = 0 ==> +80deg.C」という条件で平均(というかTyp.)+/-2mbarという「P = 800 to 1100 mbar T= 25deg.C」という条件だと最大でも+/-0.2mbar、Typ. +/-0.1mbar、というちょっと信じられないような精度になっています。
なお秋月の製品紹介のところにあるスペックはちょっとあやしいです。ちゃんとデータシートを見たほうがいいです。
上の取り消し線を入れたところは私の誤解でした。この精度は“relative”であって確度を言っているわけではありませんでした。この件、minさんからご指摘いただきました。ありがとうございました m(._)m
分解能も高いです。温度でも16bit、気圧に関しては24bitもあります。温度の分解能は0.0005deg.C 0.002度(1/480度)、気圧の分解能は0.0004HPaということになります。下位のビットはあんまり意味はないでしょうが....
分解能が高いのと精度が高いのはぜんぜん別の話で温度の方は精度が+/-2.0deg.Cとちょっと情けない値になっていました <== ただ実際に使った感じとしては比較的正しい温度を示していました(2014.09.03)
それと見かけ上の分解能が高いからと言って測定対象(温度、気圧)に対する分解能がほんとに高いのかというとこれも別の話でしょう。LPS331の温度の測定結果(「ミニ恒温槽の作成に向けて - 魔法瓶の活用」)を見るとどう見ても1/100度の分解能もないような気がします。気圧のほうの実質的な分解能がどのくらいあるか気になってくるので調査中です(2014.09.11)
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気圧に関しては精度も分解能も申し分ないのできっと気合を入れて作ってあるのでしょう。
こんな実験をしてみました。
ある高度のところで大気圧を測り、それよりちょっと高度が大きいところで測って理論的に考えただけの大気圧の差があるか調べる、というものです。もちろん高度の差が大きいほうが差ははっきり出るわけですが、10mも20mも差があったらおもしろくないので部屋の中で測ってみました。高度の差は床と天井の差よりちょっと小さい1.7mです。
床 => 天井 => 床 => 天井の順序で測ります。それぞれ2秒間おきに12回~25回測りました。
結果は床が1009.29HPa、天井近くが1009.06HPaで0.2HPaくらいの差がありました。
一方“理論的”には19Paつまり0.19HPaの差があるはずです。
結論
大気圧センサーLPS331APは床と天井の高度差による大気圧の変化が検出できるようだ。
あるいは
空気って意外に重い。
高度差って書くより標高差と書いたほうがわかりやすいかなと思ったんですが、標高って地面の高度のような気がしてきたのでやめました。
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ところで大気圧の測定結果を見るとかなり数値にばらつきがあります。たぶんノイズだとは思いますが他に理由があるのかもしれません。こういう高い分解能を要求される実験はちょっとしたことが影響します。換気扇を回したとかドアを閉めたとか。
窓を開けてなおかつできるだけ風もできるだけあたらないようにしてやったのですが気がつかない他の要素があったのかもしれません。今回はお遊びですがちゃんとやるならしっかり測定条件を管理する必要がありそうです。
そういえば以前温度を測っていてディスプレイを見ようと思って近づいたら温度が上がりはじめました (^^;;
それからこの記事を読んで1mまで読み取れる高度計が作れるとは思わないでください。気圧はお天気次第でどんどん変化していますので、気圧が高度で変化したのか気象で変化したかはわかりません。上で二回実験をしているのは気象による気圧の変化がないことを確かめるためでもあります。
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実験に使った測定器(?)です。計算が正しくできているか確認するため生データを16進でも表示しています。黄色い配線はSDA、青い配線がSCLです。配線も簡単、プログラムも簡単でI2Cが流行る理由がわかりました。
右下隅にあるのがLPS331APです。その左にあるセンサーとそのまた左にあるパターンだけ作ってあるところは今後のブログネタです (^^)
PICはこれまで記事にしたものと同じ16F1938、LCDディスプレイも「ACM1602N1-FLW-FBW」です。
温度も気圧も小数点以下二桁まで表示してありますが、あくまでテストのためです。“実用”するときはちゃんと一桁か二桁減らします。
実験結果の一部と理論的(?)な計算の結果
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関連
「I2Cのソース - PIC12F1822/16F1705/16F1938/18F26K22 - LCD(ACM1602)を例にして」
「PICでI2C - 大気圧・温度センサー LPS331の使い方」
「PICでI2C - ADコンバーター・MCP3425の使い方」
「PICで平方根 - 白金薄膜抵抗で温度を測る」
「PICでI2C - 液晶(LCD)ディスプレイ(ACM1602N1-FLW-FBW)に表示する」
「PICでI2C - LCD(液晶)ディスプレイによる違い」
「PICでI2C - 1 (温度計を作る)」
「I2Cデバイス・アドレス一覧」
「I2C大気圧温度センサーLPS331の驚くべき分解能」
「海面更正気圧を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧温度センサーLPS331」
「サーミスタによる温度測定の精度」
「サーミスタ温度計の精度を調べる - 1」
「ミニ恒温槽の作成に向けて - 1」
「炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」
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参考
「きむ茶工房ガレージハウス - PICの動かせ方入門はこちら - 16F1938覚書」
「きむ茶工房ガレージハウス - I2C通信の実験」
「きむ茶工房ガレージハウス - 気圧センサーで大気圧と標高を測定して見ます(MPL115A1)(MPL115A2)」
「きむ茶工房ガレージハウス - 秋月電子I2C接続小型LCDモジュールに表示を行う 」
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