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2014年8月23日 (土)

サーミスタ温度計の精度を調べる - 1

この記事を書いてから2年近く経ち“研究”も進んだので最新の記事へのリンクを紹介させていただきます。

サーミスタでの温度測定もいろいろ工夫して行けばこのくらいの誤差におさまるようです。
3b
  (「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」より)

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サーミスタの基本特性である基準抵抗とB定数から温度を求めるという基本的なところは

  「サーミスタで温度を測る - 温度と抵抗値の相互変換 - B定数について

にあります。サーミスタの抵抗値から温度を求める方法と温度=抵抗値の対照表があります。1℃の単位で温度がわかればいいということであればこの記事で十分です。

B定数の温度による変化を考慮してより高い精度で温度を測りたい場合は
  「サーミスタによる温度測定の精度 - 2 - B定数の温度特性

があり、また具体的な計算式や実際に5℃~65℃から測定した精度(誤差)を調べたものは
  「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」 

にあります。R0とB定数だけではあんまり正確な温度が求まらないことがわかります。

自己加熱については
  「サーミスタ温度測定の精度と誤差 - 熱放散定数と自己加熱
製品特性のばらつきによる誤差については
  「サーミスタ温度測定の精度と誤差 - 製品のばらつきによる不確かさ」  
にあります。

PICで温度を測るときのプログラム例は
  「PICで作るお手軽サーミスタ温度計 (2) - ソース付き

にありますが、これはもっとも基本的な計算法を使っていますので精度が物足りないかもしれません。「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」にある式を利用していただければ精度は向上します。

サーミスタによる温度測定で問題になる自己発熱については
  「サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(アルミ管入り)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた
  「(水中の)サーミスタの自己発熱・熱放散係数を測ってみた

  「サーミスタ/測温抵抗体の自己発熱(熱放散係数)の測り方
に測定例があります。

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温度測定がしたいのであって特にサーミスタにこだわらないと言う方は
  「PICで作る温度計のセンサー比較(サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、...)
  「温度センサ(サーミスタ・熱電対・(白金)測温抵抗体)の誤差
が参考になると思います。

精度にこだわるのであれば測温抵抗体(白金薄膜抵抗)がおすすめです。

  「(白金)測温抵抗体(白金薄膜抵抗)の使い方 - 基礎編というか入門編というか....

最初はちょっとめんどうかもしれませんが、一度作ってしまえば“この温度は正しいんだろうか?”なんて悩まなくてすみます。

(2015.06.23)
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“測定器”を校正するためには要求する精度より高い精度(確度)を持つ測定器を利用するか目盛りの尺度となる明確な物理的な現象・状態を利用するしかありません。

サーミスタで温度を測った場合の精度を調べようとすれば正確な温度の測定器、つまり正確な温度計が必要です。

その前に「温度とは何か?」と考え始めるとそれはそれでおもしろいのですが長くなるのでそのことは別に記事にしたいと思います。

まず市販の温度計の精度はだいたい±1度のようです。東急ハンズの実験器具の売り場にずらりと並んだ温度計を見てみたら確かにそんな感じです。私が見たときは26度から27度くらいのところにばらけていました。

こういう温度計より精度が悪そうなものはいっぱいありますがこれより精度のよさそうなものはなかなか見つかりません。念のために書いておくと、今はデジタル温度計があって0.1度まで読み取れますが、あれは分解能が0.1度なのであって±0.1度(あるいは±0.05度)の精度(確度)があるわけではありません。中には分解能は0.1度だけれども精度は±2度なんてものもあります (^^;;

ちょっと話がずれましたが要するに自作の温度計を校正するのに使えるような温度計は手近にはなさそうということをいいたいわけです。もちろんそれなりのお金を用意すれば入手は可能です。たとえば検査成績書付の標準温度計とか。お値段は東急ハンズのものより二桁は高いようですが。

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となると「温度の尺度となる明確な物理的な現象・状態」を考えます。これはいうまでもなく手ごろなものが二つあります。一つは水の凝固点(氷の融点)摂氏0度と水の沸点(資料によって異なりますが、理科年表にある値を紹介すると「標準気圧下で約99.974度」)です。

ということでこの二つをどうやってやろうかと考えていたのですが、ふと身近に非常に正確な温度計があることに気が付きました。体温計です。

テルモの体温計のページ「テルモ - 健康管理商品 - 体温計」を見るとすべてが±0.1度の精度があります。中には__女性体温計__精度が±0.05度というものもありました。

幸い(?)このところ気温も高いので測ってみました。

気温          34.4deg.C (体温計  EW227 精度未確認)
サーミスタの抵抗  6.99kΩ ±0.1%rdg+3dgt つまり 6.99kΩ±0.04kΩ

サーミスタ(NTSA0XH103FE1B0)の特性
  R0 = 10[kΩ] ±1%
  B = 3380[deg.K] ±1%

結果だけ書くとサーミスタの抵抗から求めた温度は
  34.7deg.C±0.4deg.C
でした。まあまあの結果です。

なお誤差はR0(25deg.Cにおける抵抗値)の誤差の影響が大きいです。
となると25.0deg.Cでの抵抗値を正確に測ればもっとサーミスタによる温度測定の精度を上げられるのかもしれません。でもそうしようとすると正確な25.0deg.Cをどうやって測るんだという問題に突き当たります (^^;;

なおサーミスタの抵抗から温度を求めるのは「サーミスタによる温度測定の精度」にある式

  T = 1/(ln(R/R0) / B + 1/298.15) - 273.15

を使っています。誤差はこの式をR、R0、Bで微分して評価すればいいのですがそうするとけっこう複雑な式になります。面倒なので上の誤差は実際にそれぞれのパラメータを誤差の分だけ変化させて求めました。Excelだからこっちの方が簡単です。
現実のサーミスタの抵抗値がほんとうにこの式に従うのかという件は引き続き棚上げにしています。

その後この件については詳しい検討結果を

    「
サーミスタによる温度測定の精度 - 2 - B定数の温度特性

に書きました。


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実際に温度計を作ってみました。
  「PICで作るお手軽サーミスタ温度計
  「PICで作るお手軽サーミスタ温度計」 (こっちはソース付き)
  TDKの資料を見るとやっぱりB係数は温度に依存するそうです。
  とは言っても摂氏0度でも1度も違っていませんでした。


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  「正確な温度を求めて (1)

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  「サーミスタで温度を測る - 温度と抵抗値の相互変換 - B定数について
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