ミニ恒温槽の作成に向けて - 1
先日「炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」という記事を書いたのですが、ポイントが三つあります。
1. 抵抗器を任意の(あるいは十分な精度で温度係数を測定できる)温度にできること
2. 温度を正確に測れること
3. 抵抗値(=抵抗値の変化)を正確に測れること
3.に関しては「炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」に書いたようにブリッジ(ホイーストンブリッジ)で測れそうです。
2. に関しては「サーミスタによる温度測定の精度」に書いたようにサーミスタで少なくとも±1度くらいの精度で測れそうです。
となると抵抗器を任意の(あるいは測定に適当な)温度にすることができれば抵抗器の温度係数を測れそうです。
“任意の温度に設定できる”というのは要するに恒温槽です。恒温槽は加熱(あるいは冷却)する部分と温度を一定に保つ機能からなります。
今回は加熱する部分を作ってみました。次のようなものです。
図に書き入れるのを忘れたのですがアルミパイプの両端は百均で売っていた一袋100円の消しゴムで塞いであります。
どういうことになったかだけ書いておきます。
室温 31.0度。うちは冷房禁止なので夜でもこんな温度です (^^;;
発熱体 75Ω抵抗四個、4.6V。発熱量(?)は1.2Wくらいです。
ポリウレタンフォームの厚さは1cmくらいです。
これでサーミスタは70.5度(室温に対し39.5度の上昇)を示しました。
これから熱抵抗を計算すると34[deg.K/W]くらいです。
熱抵抗を倍にできれば100度越えも達成できそうです。
たった1.2Wで水を沸騰させられるかも (^^;;
補足
アルミのパイプの中にガラスビーズとか入れればいいと思ったのですが、なかったのでシリカゲルを入れました。シリカゲルというのは多孔質みたいなのでどちらかと言えば断熱材なわけですが、まあ空気だけよりはいいだろうということで使っています。
このあたりは改良の余地があります。
グリセリン、イソプロピルアルコール、オイル、グリスなどを検討しています。シリコングリスなんかこの目的にはいいんですが後始末の大変さを考えると二の足を踏んでしまいます。
(「ミニ恒温槽の作成に向けて - 魔法瓶の活用」、「温度を一定に保つ方法 - ミニ恒温槽の作成に向けて(3)」に続く)
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