ステラナビゲータの視位置がヘンだと思うんだけど....
この記事に書いた年周光行差の問題についてはステラナビゲータ Ver.10では解決しているそうです。
確認した上で後日記事に追記する予定です。
(2014.08.15)
最新のアプリ精度比較の表とグラフは
「恒星視位置(赤経・赤緯)計算が間違ってました!」
にあります。
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「趣味の天文計算」なんてブログを書いていると常に計算した結果が正しいかどうか確認する必要に迫られます。“権威ある”サイトなりアプリで確認するわけですが、いちばん信用できると思っていたステラナビゲータに表示される恒星の視位置がどうもヘンに思えます。
引き続き“調査中”なのですが現状をレポートしたいと思います。
なお今回“ステラナビゲータ”というのはVer.9.2bのことです。Ver.10がすでにリリースされているようですが持っていないので確かめようがありません。もしお持ちの方がこの記事を読まれたら下の表にあるどの日にちでもかまわないので確認して教えていただければありがたいです。
Ver.10の体験版があったのでそれで確認しようと思ったら“体験版の天文計算機能は製品版に比べて精度が低くなっています”と書いてありました。私が今使っているのはVer.9.bですがもちろん製品版です。
こんな方法で調べてみました。
1. ステラナビゲータ Ver.9;.2bで2014年1月1日から30日ごとの中央標準時0時のシリウスの視位置を調べます。
2. 国立天文台の暦象年表にある恒星の視位置で同じことをします。
3. さらにヒッパルコス星表のデータを使って「長沢工「天体の位置計算」地人書館」にあるような位置計算でシリウスの視位置を計算してみます。
以上の三つの結果を比較します。
ステラナビゲータの視位置の表示は赤経が0.1秒まで、赤緯が秒までです。こういう場合そこまでの精度が確保してあるものだと思ってしまうのですが、赤緯を国立天文台の数値と比較すると30秒ほども違っています。
どういう具合に違うか傾向をつかむため図にしてみました。
一年間のシリウスの視位置の変化は渦巻き型みたいになるようです。
おそらく歳差による一方向への動きと年周光行差による周期的な動きが合成されたものだと思います。
私もステラナビゲータにはお世話になっているわけですし、愛用されている方も多いと思います。“業界”じゃ信用・信頼のあるアプリでしょう。
だからこんな記事を軽々しく書くのはまずいと思います。私の設定に問題がある、という可能性も考えました。
ただ上の図を見るとどう考えてもステラナビゲータは年周光行差の影響を大きく計算してしまっているように思えます。アプリの設定が間違った(あるいは適切でなかった)からと言って年周光行差の影響の大きさが変わるとは思えません。あえて記事を書くことにしたのはここに理由があります。
ところで星表から計算した視位置は国立天文台の視位置とよくあっているように思えますが、これは目標の精度より一桁悪い精度になっています。これもただいま原因調査中です。なお今回も計算や比較に使ったExcelファイルをダウンロードできるようにするつもりだったのですが、どういうわけかサイズが8MByteくらいになってしまいました。原因を確認するまで少々お待ちいただければと思います。
「天文アプリの精度比較(恒星編) - Stellarium 0.12.3」
「Stellarium 0.12.3」のデータを追加しました。
上記の比較に使ったExcelファイルはこの記事からダウンロードできます。
「天文アプリ/サイトの計算精度ランキング(暫定版)」
「お星様とコンピュータ ★彡」と「SkySafari Pro. 3.8.5」のデータを追加しました。
「天文アプリ/サイトの計算精度ランキング(暫定第二版)」
「iStellar 2.7.1」のデータを追加しました。
「天文アプリ - 恒星の赤経・赤緯 - 計算精度ランキング - 暫定第三版」
海上保安庁海洋情報部の
「コンピュータ用天体位置計算式」
によって計算した結果を追加しました。
「恒星視位置(赤経・赤緯)計算が間違ってました!」
私の恒星視位置計算に誤りがありました (^^;;
関連
「「Excelによる天文計算」記事目次とリンク集」
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