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2014年8月18日 (月)

サーミスタによる温度測定の精度

この記事を書いてから2年近く経ち“研究”も進んだので最新の記事へのリンクを紹介させていただきます。

代表的な三つの近似式の誤差については
  「Steinhart-Hart式 - サーミスタの温度抵抗値変換の近似式
Steinharthart
で検討しています。

サーミスタの基本特性である基準抵抗とB定数から温度を求めるという基本的なところは
  「サーミスタで温度を測る - 温度と抵抗値の相互変換 - B定数について
にあります。サーミスタの抵抗値から温度を求める方法と温度=抵抗値のグラフがあります。

B定数の温度による変化を考慮してより高い精度で温度を測りたい場合は
  「サーミスタによる温度測定の精度 - 2 - B定数の温度特性
が参考になると思います。

自己加熱については
  「サーミスタ温度測定の精度と誤差 - 熱放散定数と自己加熱
製品特性のばらつきによる誤差については
  「サーミスタ温度測定の精度と誤差 - 製品のばらつきによる不確かさ」  
にあります。

具体的な計算式や実際に5℃~65℃から測定して精度(誤差)を調べたものは
  「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」 
にあります。R0とB定数だけではあんまり正確な温度が求まらないことがわかります。

PICで温度を測るときのプログラム例は
  「PICで作るお手軽サーミスタ温度計 (2) - ソース付き
にありますが、これはもっとも基本的な計算法を使っていますので精度が物足りないかもしれません。「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」にある式を利用していただければ精度は向上します。

温度測定がしたいのであって特にサーミスタにこだわらないと言う方は
  「PICで作る温度計のセンサー比較(サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、...)
  「温度センサ(サーミスタ・熱電対・(白金)測温抵抗体)の誤差
が参考になると思います。

精度にこだわるのであれば測温抵抗体(白金薄膜抵抗)がおすすめです。
  「(白金)測温抵抗体(白金薄膜抵抗)の使い方 - 基礎編というか入門編というか....
最初はちょっとめんどうかもしれませんが、一度作ってしまえば“この温度は正しいんだろうか?”なんて悩まなくてすみます。

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最近の“成果”を反映した測定結果
3b
  (「サーミスタで正確な温度を求める方法 - 抵抗値-温度変換計算の精度と誤差」より)

(2015.06.23)
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炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」で温度を測ることが必要になりました。このとき最初に考えたのはサーミスタだったのですが、サーミスタではたいした精度は得られないだろう、と思い、pn接合の順方向電圧の変化を調べる、という方向に行ったのですが、勘違いというか思い込みというかそういうのがありそう簡単には行かないことがわかりました。

あらためてサーミスタの特性・仕様を調べたところ、じつは校正をしなくてもけっこうな精度が得られることがわかりましたので今回はそれについて書きます。

先週末秋葉原に行ったのでそのときサーミスタも買ってきました。買ってきたのは

  「マルツパーツ館 - 【NTSA0XH103FE1B0】NTCサーミスタ

です。なぜ「秋月電子通商」に行かなかったかというと秋月はお盆休みだったからです (^^;;

本題に戻って買ってきたサーミスタの特性・仕様は上の製品カタログからリンクされている

  「マルツパーツ館 - データシート - NTCサーミスタ - 温度検知用リードタイプ



  「村田製作所 - NTCサーミスタ - カタログ

で調べることができます。これらによるとサーミスタの抵抗値は

  R = R0 * exp(B * (1/T - 1/T0))

で表されます(T、T0は熱力学温度=[deg.K]です)

抵抗値から温度を求めるのであれば

  T = 1/(ln(R/R0) / B + 1/T0)

ということになります(T0は具体的には 25+273.15 = 298.15です。摂氏(deg.C)が必要であればTから273.15を引きます)

ここでR0は基準になる温度つまりT0[deg.K]、具体的には25[deg.C]でのサーミスタの抵抗値、そしてBはB係数というサーミスタ固有のパラメータです。
そして私が買ってきたNTSA0XH103FE1B0について調べてみると

  R0 = 10[kΩ] ±1%
  B = 3380[deg.K] ±1%

となっています。それぞれの数値の誤差は私が思ってたよりずっと小さいです。

このサーミスタで気温を測るとすると誤差はsqrt(0.01^2+0.01^2)つまり1.5%程度と考えてよさそうです。抵抗系(テスター=DMM)の誤差を±1%と考えても1.8%となります。

となるとたとえば気温30度を測ると29.5度~30.5度に収まりそうです。ふつうに売っている温度計の誤差は±1度とされているようですから、校正せずに使ってもかなり精度のいい測定ができることになります。上にリンクしたカタログを見ても-40[deg.C]から75[deg.C]の広い範囲でも誤差は1度以下になるようです(こちらはとうぜん抵抗計の誤差は含んでいません)

ということで温度測定はひとまずこのサーミスタを使うことにしました。

※ 温度に対する誤差はちゃんと計算しないと出てきません。
  (つまり上の内容はちょっといい加減なところがあります)
  また最初の式から25[deg.C]のとき温度の誤差は最小になります。

  なお、そもそも最初にあげた式が現実のサーミスタに対してどの程度の精度で
  成り立つか?、というのを最初に検討しなければならないのですがそこは棚上げに
  して記事を書いています。
  <==記事の冒頭に誤差を実測した記事へのリンクがあります。

(「ミニ恒温槽の作成に向けて - 1」に続く)

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関連

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  「正確な温度を求めて (1)

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  「PICで作る温度計のセンサー比較(I2C/SPI温度センサ、サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、pn接合など)
  「温度センサ(サーミスタ・熱電対・(白金)測温抵抗体)の誤差

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    「記事一覧(測定、電子工作、天文計算」の表に参考となる資料へのリンクがあります。

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コメント

セラコンと間違えそうな形と小ささですね^^。
楽しそうなので機会があったら手に入れてみたいです。(安いですし^^)
お風呂の混合栓?(お湯と水を合流させて設定温度でお湯が出るやつ)は、回路無しできちんと設定温度が出るのがいつもすごいと思ってます。←すみません、関係無い話^^;

混合栓はバイメタルみたいなものを使ってるんでしょうか。
やっぱり構造が単純で機能するものの方がおもしろいですね。
見た感じは確かにセラミックコンデンサーと似てます。
温度表示なんかの実用向きだったら温度測定用のICの方がいいのかもしれません。
10mV/deg.Cみたいにリニアに出力が出てくるので計算が不要ですしお値段もあんまり変わりませんから。

私もサーミスタが使えたらな〜
と思ったのに使えるほど電子工作が進んでいないので諦めただけに
期待しています(≧∇≦)

いえいえ、サーミスタは一言でいえば“ちょっと温度係数にクセがある抵抗”でしかありませんから、ぜひいっしょに遊びましょう。
記事を書いたあとふつうの温度計と比べたりしているのですが特に問題ないようです。
つまりどっちの温度が正しいかわからないくらいの温度にはなります (^^;;
計算が面倒なので久しぶりにプログラム電卓を使っています (^^)

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