« 天文アプリ - 恒星の赤経・赤緯 - 計算精度ランキング - 暫定第三版 | トップページ | pn接合の順方向電圧(VBE)と電流(IB)の関係 »

2014年8月11日 (月)

炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話

これが「金属皮膜抵抗の温度係数を実測する話」だったら少しは世の中の役に立つかもしれませんが、カーボン抵抗の温度係数ですからまあどうでもいい部類の話です。でも金属皮膜抵抗にも応用はできると思います。

------

抵抗器の温度係数についてはまとめ記事を作りました。

  「
金属皮膜抵抗と炭素皮膜抵抗の温度係数を測ってみた - まとめ

  「
精密抵抗のお値段 - 抵抗器の精度と価格の関係

------

昨日の「惑さんのワクワク天体観察日記」に

  「オームの法則がやっと分かってきた。。。のかな?

という記事がありました。一言で言えば「オームの法則」が成り立っているか実際に調べてみようという記事です。4.98Vの電源に75Ωの抵抗を接続し流れる電流を調べることにしたそうです。
Mrwaku
オームの法則から66.4mA流れるはず、と思って測ったらそうではなかった、というのが上の記事の要旨(?)です。

この話を聞いて「そんなのあたりまえ」と思われる方も多いと思います。Circuit Makerで電流を測定しても66.4mAより小さかったです (^^;;

Mrwaku2
さんもそのことは百も承知なわけで現実に起きた現象はこれとは逆の結果だったので悩まれているわけです。

-------

この記事を読んだ私の最初の感想は

  テスターに3桁もの精度を期待するのは間違っている

でした。二桁読み取るのがやっとというアナログのテスターで育った私のヒガミかもしれませんが、実際手持ちのテスターの説明書を見たらレンジにもよりますが許容誤差は1%程度になっていました。

ただ許容誤差というのは許される最大の誤差という意味ですし一つのテスターで測定しているわけですから絶対値はともかくこういう測定をしたときの結果がそこまで違うとも思えません。

記事にある写真を拝見すると使われているのは1/4W型の抵抗のようです(実際は1/6W型だったそうです)

定格電力を越える電力が消費されているわけですから抵抗の発熱もそうとうなもののはずで温度が上がり抵抗値が変化したのではないか?という気がしてきました。

疑問に思ったことはほっとけないタチなので徹底的に追求することにしました。そこでタイトルの「炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」になります。

まず予備実験をします。
10k
テスターで10kΩの抵抗の抵抗値を測ります。9.8kΩでした。なぜ10kΩの抵抗が9.8kΩかというのは後回しにして、このまま抵抗をライターで炙ってみました。9.7kΩになりました。
温度が上がると抵抗値が下がっているわけですからさんの実験と定性的には同じ結果になります(もちろんライターを遠ざけると抵抗値が9.8kΩに戻ること、つまり物性が変化したわけではないことは確かめています)

------

温度係数をしるためには抵抗のわずかな変化をとらえる必要があります(注)

ブリッジを使うことにしました。
Bridge_2
テスターの200mVのレンジを使えば0.1mVの変化をとらえることができます。これで40PPMの抵抗値の変化さえわかるはずです。電源電圧を10Vにすれば20PPMも可能です。

試しに抵抗R3に軽く手を触れてみたら-2.4mVだった表示が-3.5mVに変化しました。手を離した直後も表示は変化しませんでしたら熱が原因の抵抗値の変化を検出できたと考えてよさそうです(最初-2.4mVだったというのはもちろん使っている四つの抵抗の抵抗値のばらつきが原因でしょう。ただこの値だとばらつきはとても小さいと受け取ってよさそうですが)

温度係数は抵抗値を温度で微分したもの(抵抗値の変化を温度の変化で割ったもの)ですから次に温度の変化をどうやって測るかが課題になります。



じっさいに抵抗の温度係数を測るときは室温のときと室温+100deg.Cのときの抵抗値の差を100で割ったものとするようです。


(「サーミスタによる温度測定の精度」、「ミニ恒温槽の作成に向けて - 1」に続く)

« 天文アプリ - 恒星の赤経・赤緯 - 計算精度ランキング - 暫定第三版 | トップページ | pn接合の順方向電圧(VBE)と電流(IB)の関係 »

趣味の電子工作」カテゴリの記事

コメント

おお(≧∇≦)
これは勉強になります。
知らないことがいっぱい出て来ました^^;
ブリッジというのも見たことはあるのですが、こんなふうに使えるんですね(;゜0゜)

書き溜めてからお知らせしに行こうと思っていたのですがみつかっちゃいましたか (^^;;
ブリッジはいろんな種類があって基本は向かい合う辺の抵抗(インピーダンス)の積が一致したら出力が0になることを利用するのですが、こんなふうにわずかな変化を検出するときも便利に使えます (^^)

キルヒホッフの法則を勉強して、やっとホイートストンブリッジ回路を理解しました^^;
ここでやろうとしていることは抵抗値の微妙な変化を検知しようとしてるのですね(≧∇≦)

ところでPPMというのはなんの単位でしょうか?

お勉強もだんだん進展してきましたね (^^)
おっしゃるとおり抵抗値の微妙な変化をとらえるのが目的です。歪ゲージ(伸縮による電気抵抗の変化で歪を検出する)なんかもこの方法を使うんだったと思います。
抵抗値が同じ抵抗を探す、なんてことにも使えますね。
PPMは100万分の1という意味ですね。つまり0.0001%ということになります。
有害物質(?)の濃度で使うPPMと同じ意味です。小文字だったかも....
10kΩの抵抗だと抵抗値の1PPMの変化というのは0.1Ωの変化ということになりますね。

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話:

« 天文アプリ - 恒星の赤経・赤緯 - 計算精度ランキング - 暫定第三版 | トップページ | pn接合の順方向電圧(VBE)と電流(IB)の関係 »

フォト

サイト内検索

  • 記事を探されるんでしたらこれがいちばん早くて確実です。私も使ってます (^^;; 検索窓が表示されるのにちょっと時間がかかるのはどうにかしてほしいです。

新着記事

リンク元別アクセス数

  • (アクセス元≒リンク元、原則PCのみ・ドメイン別、サイト内等除く)

人気記事ランキング

  • (原則PCのみ、直近2週間)
無料ブログはココログ