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2014年9月 8日 (月)

ミニ恒温槽の作成に向けて - 魔法瓶の活用

アルミのパイプをウレタンフォームでぐるぐる巻にする話を記事にしました。

  「ミニ恒温槽の作成に向けて - 1

自分でミニ恒温槽を作ってもいいのですが台所にいいものが転がっていました。魔法瓶です。どの程度の断熱性能があるのか調べてみました。

20140907c1


ほんとはこの図を使って「温度センサーの精度比較」を書くつもりだったのですが....
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より詳細な精度チェックを

  「温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)

として書きました。

(2014.09.23)
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これは魔法瓶に入れた水(お湯)の温度変化を調べるという9時間にわたる実験のうち1時間を取り出したものです。だいたい37.5度から37度の0.5度くらい温度が下がっています。

このとき魔法瓶には500gの水を入れてありました。水の比熱はだいたい4000J/K/kgですから熱容量は2000J/Kということになります。一時間で温度が0.5度下がったわけですから、魔法瓶の中の水は一時間に1000Jの熱を失ったことになります。つまり一秒あたり0.28Jの熱を失っています。

毎秒0.28Jということは0.28Wということです。ということは100Ω弱の抵抗を5Vの電源につないでこの魔法瓶に放り込んでおけば37.5度の温度を維持できたということになりそうです。

このときの気温(室温)は27度~28度くらいでした。27.5度とすればお湯の温度とちょうど10度違っていたことになります。

これから熱抵抗を計算すると

   θ = 10 / 0.25 = 40 [K/W]

になります。

気温20度で魔法瓶の中の温度を80度とすれば (80-20)/40 = 1.5[W] で温度を維持することができるということになります。1.5Wであれば電池でさえ可能です。

うまく温度を制御できれば魔法瓶で恒温槽が作れそうです。

(「温度を一定に保つ方法 - ミニ恒温槽の作成に向けて(3)
恒温槽 - 温度を一定に保つアルゴリズム - 1 」につづく)

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この“実験”をしたとき魔法瓶から10本近いビニール線を引き出していました。銅線を通じて失われる熱もけっこうあったと思われるので密閉した魔法瓶の熱抵抗はもっと大きいと思います。

魔法瓶メーカーの方がご覧になると「うちのはもっと断熱性能がいい」とお怒りになりそうなので念のため補足しておきます。

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