温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)
これまで特定の温度でのセンサーの測定値について比較した記事をいくつか書きましたが、今回はまとめの意味で摂氏0度から40度まで5度刻みで測定した結果です。
ただし、いずれも私がもっているものの精度です。これが一般的に言えるかどうかは私にはわかりません。
できあい(?)の温度センサーを使わない方法__サーミスタ、熱電対、白金測温抵抗体、pn接合の順方向電圧__については
「PICで作る温度計のセンサー比較」
に概要があります。
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タイトルには3種とありますが、この3種というのは温湿度センサーAM2321、大気圧センサーLPS331AP、そしてサーミスタNTSA0XH103FE1B0(R0 = 10[kΩ] ±1%、 B = 3380[deg.K] ±1%)です。基準になる温度は白金薄膜抵抗(R0K1.232.6W.B.008(100Ω))で測っていますのでまあ実質4種の比較ということでしょうか。
白金薄膜抵抗は氷点で0.00度を示すように調整(注)した上で摂氏36.1度近辺で誤差0.05度以内という体温計と測定値に比べたところ0.01度の位までほぼ一致(注)していました。
白金薄膜抵抗の抵抗値は温度とほぼ線形の関係(=二次の係数が小さい一次式)にありますのでおそらく-10度C~50度Cくらいの範囲だと誤差は0.1度以内に収まっていると思います。
「温度を一定に保つ方法 - ミニ恒温槽の作成に向けて(3)」
「氷点 - 摂氏0度の作り方」
注 念の為に書いておくとこの二つのことから、この温度計の誤差は±0.01度、ということにはなるわけではないです。
センサーの設置方法が違うためレスポンスにかなり違いがあり、その影響が出ないように温度を徐々に上げながら測定したので4度からはじめて40度超えるまで4日近くかかりました (^^;;
図にある数値の単位は度です。
いちばん目立つのがLPS331の測定値です。温度が高ければ高い方に低ければ低い方に誤差が出ています。特に30度以上、5度以下の誤差が大きいです。
LPS331APは温度の誤差は±2度とされていますので、この測定値でも特に問題があるわけではありませんが、もう少しがんばってほしいものです。
以前、LPS331APの温度計の精度が意外といい、と書いてしまったのですが“室温を測るのであれば”と断り書きをつけるべきでした。
「PICでI2C - 大気圧・温度センサーLPS331APの使い方」
一方誤差±0.3度というAM2321はなかなかいいです。低温での誤差が若干目立ちますが室温を測るのであればまったく問題ないレベルと言っていいんじゃないでしょうか。
秋月の取り扱い製品リストで調べてみると誤差が±1度より小さいセンサーはほとんどないのでこのAM2321は貴重です。そのかわり他のセンサーよりちょっとお高めです。
サーミスタは低温での誤差が大きくなりますが基準抵抗とB係数からだけで求めてこの精度が得られるというのは立派だと思います。ただし基準抵抗R0はデータシートにある10kΩではなく25.0における実測値9.975kΩを使っています。データシードにある10kΩを使うとこれより若干高めの温度になりますが、実用的にはさほど問題にならないレベルです。
サーミスタ自体安価ですし、PIC一個で同時に何箇所もの温度を測定できるので、部屋の温度分布の変化を調べようというようなときには便利に使えると思います。
「PICで作るお手軽サーミスタ温度計 (2) - ソース付き」
「PICで作るお手軽サーミスタ温度計 (1)」
「サーミスタによる温度測定の精度」
「サーミスタ温度計の精度を調べる - 1」
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