意外に正確そうなI2C大気圧センサーMPL115A2の測定値
先日
「PICでI2C - MPL115A2の大気圧計算法」
を書いたのですが、その中で
「じつはこの大気圧センサーモジュールはあんまりお勧めしません。あんまり精度も分解能もよくないのです。」
と書きました。秋月の製品紹介にも
・分解能:0.15kPa
・精度:±1kPa
とあります。
分解能がこの程度であることは上の記事にも書いたとおりですが、精度は±1kPaつまり±10hPaというほどには悪くはないようです。
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実験方法の詳しいことはまた記事にしたいと思いますが、気圧を940hPaから1040hPaくらいの間で変化させたときLPS331APとMPL115A2がどう違うか調べてみました。
940hPaとか1040hPaとか気圧がそんなに変化することはないだろうと思うのですが「3776NET」の
「とんでもない低気圧・高気圧」
を拝見すると現実はもっとすごいようです。
この記事には“異常に気圧が低い高気圧”や“とんでもなく気圧が高い低気圧”というマニアック(?)なおもしろい話もありますのでご一読をおすすめします。
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さて本題です。
LPS331APは精度も分解能はいいみたいです。データシートでは
Typ. +/-2mbar (P = 800 to 1100 mbar T = 0 ==> +80deg.C)
Max +/-0.2mbar、Typ. +/-0.1mbar (P = 800 to 1100 mbar T= 25deg.C)という高精度を誇っています(分解能はなんと1/4096hPaです)
確かに精度はいいようでそのことは「海面更生気圧を気象庁とくらべてみた - I2C大気圧温度センサーLPS331」にも書きました。
上の取り消し線を入れたところは私の誤解でした。この精度は“relative”であって確度を言っているわけではありませんでした。この件、minさんからご指摘いただきました。ありがとうございました m(._.)m
とは言っても(少なくとも私が購入したものに関しては)気圧測定に十分な精度がありました。
そこでMPL115A2の測定値をLP331APの測定値と比べてみた次第です。
分解能1.5hPaでここまでがんばれたらもう十分なんじゃないでしょうか。
試しにMPL115A2とLPS331APの差をグラフにしてみました。
MPL115A2は分解能があんまりよくないのでギザギザが目立ちますが平均的に見るとLPS331APと2hPaくらいしか違いません。
このグラフを見ると
「きむ茶工房ガレージハウス - 気圧センサーで大気圧と標高を測定して見ます(MPL115A1)(MPL115A2)」
の記事の中で平均値をとる操作をされていることが納得できます。
結論
MPL115A2は確かに分解能は悪いです。
でも測定値がめちゃくちゃなわけではなさそうです。
そんなに精度を要求しない用途には十分使えるんじゃないでしょうか。
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関連
「I2C大気圧センサーLPS331の驚くべき分解能」
「I2C大気圧温度センサーLPS331 - 海面更生気圧を気象庁とくらべてみた」
「I2C大気圧センサーLPS331の分解能はほんとうに高いのか?(温度編)」
「I2Cデバイス・アドレス一覧」
「PICで平方根 - 白金薄膜抵抗で温度を測る」
「PICでI2C - ADコンバーター・MCP3425の使い方」
「PICでI2C - 1 (温度計を作る)」
「PICでI2C - 液晶(LCD)ディスプレイ(ACM1602N1-FLW-FBW)に表示する」
「PICでI2C - LCD(液晶)ディスプレイによる違い」
「サーミスタによる温度測定の精度」
「サーミスタ温度計の精度を調べる - 1」
「PICで作るお手軽サーミスタ温度計」
「炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」
「ミニ恒温槽の作成に向けて - 1」
「ミニ恒温槽の作成に向けて - 魔法瓶の活用」
参考
「きむ茶工房ガレージハウス - PICの動かせ方入門はこちら - 16F1938覚書」
「きむ茶工房ガレージハウス - I2C通信の実験」
「きむ茶工房ガレージハウス - 気圧センサーで大気圧と標高を測定して見ます(MPL115A1)(MPL115A2)」
以上は予習として拝見していたのですが、とても参考になります。他にも勉強になる記事が多いです。
私の記事を読んでI2Cのセンサーを使って温度計とか気圧計とかそういうものを作りたくなった方も実際に作られるときはこちらを読まれた方がいいと思います。
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コメント
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スカイツリーでも登って計測したのでしょうか? ( ´艸`)
リンク先の天気図を見ると、以前私も天気図を書いていたときを思い出します(≧∇≦)
すごい低気圧もあるもんですね〜
投稿: 惑 | 2014年9月20日 (土) 12時01分
確かにスカイツリーとか東京タワーとかでやるとおもしろそうですね (^^)
これは試験管の中にセンサーを入れ栓をして、冷水につける、ということをやっています。
比較としては問題ないのですが、じつは圧力の変化が予想していたものと違っていて、どうしてなんだろうと考え中です (^^;;
投稿: セッピーナ | 2014年9月20日 (土) 18時48分