オペアンプを単電源で使う方法 - 2
前記事
「オペアンプを単電源で使う方法 - 1」
で単電源を抵抗で分圧してGNDとし二電源として使う方法で問題が発生するケースを紹介しました。
今回はこういう場合どうやったら解決できるかを考えてみます。
「オペアンプを単電源で使う方法 - 1」
抵抗分圧による二電源化の危険性
「オペアンプを単電源で使う方法 - 2」 (この記事)
抵抗分圧でなんとかするいろんな方法
「オペアンプを単電源で使う方法 - 3」
抵抗分圧による方法のまとめ
「オペアンプを単電源で使う方法 - 4」
電源電圧の中点をオペアンプで安定化する。
「オペアンプを単電源で使う方法 - 5 」
RS232CインターフェースICのチャージポンプを利用する
「RS232CインターフェスICで作るオペアンプ用正負電源 - 定電圧機能つき」
製作例
======
24Vの電源を用意しているにもかかわらず出力が±4Vでクリッピングされることとその理由については前記事に書きました。
出力を電源電圧に見合う±12Vにできるだけ近づけるにはどうしたらいいかが今回のテーマです。
なぜクリッピングされてしまうかというとR2、R1を通してR4に流れ込む(あるいはR3から流れ出す)電流に原因があります。とすればこの電流を小さくできればいいはずです。
R2、R1の役目はその比率で増幅率を決めることです。だから比率だけが問題であってその値はあんまり問題になりません。
R1、R2の値をそれぞれ10倍にしてみます。
±5Vの入力に対してちゃんと±10Vの出力が得られるようになりました。
この方法の問題はR1、R2を大きくするとバイアス電流、オフセット電流の影響が強くなることでしょうか。
-------
上ではR1,R2の抵抗値を大きくすることによってR1,R2を流れる電流の影響を小さくするという方法でしたが、これにはもうひとつバリエーションがあります。
R1、R2を流れる影響を小さくするためにはR3、R4を流れる電流を大きくする方法もあります。この二つの抵抗を50kΩから2.7kΩにしてみます。
この方法の問題点はR3、R4で消費される電力が大きくなることです。つまり電源が電池だと持ちが悪くなります。
----
扱う信号が交流であればまだ方法があります。
要するに電源の内部抵抗が高いわけですから、それを下げればいいはずです。上のR3、R4を小さな値にするというのもそういう意味があります。
この解決法としてR3、R4に並列にコンデンサーを入れる方法もあります。100μFのコンデンサーを入れてみます。
ご覧のとおりこれでもOKです。
これは電池を二つ使うのと似ていますので比較的安心して使える方法です。
問題は低域側の帯域を広くしようとすると大きな容量のコンデンサーを用意する必要があることです。また信号に直流分がある場合はこの方法は使えません。
なおこの容量だととうぜん電解コンデンサになるので高域側への対策としてセラミック・コンデンサなどを並列に入れる必要があります。ただパスコンはどういう回路を使うにしろ入れるのが前提ですからこれは問題点とはならないでしょう。
さて以上のいずれかを使えば問題解決かというとそうでもありません。こういう対策をしてもまだ問題があります。
そのことを踏まえながらこれまで書いた三つの方法のメリット・デメリットと具体的な回路定数の決め方を整理してみます。
(「オペアンプを単電源で使う方法 - 3」に続く)
--------
関連
「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」
「ウィーンブリッジ発振回路の帰還量(増幅率)と波形の関係」
「ウィーンブリッジ発振回路の発振条件 - Excelで複素数の計算」
« オペアンプを単電源で使う方法 - 1 | トップページ | オペアンプを単電源で使う方法 - 3 »
「趣味の電子工作」カテゴリの記事
- PICで作る100MHz周波数カウンタ検証用XOR(エクスクルーシブオア)逓倍器(2016.03.08)
- 150MHz(~200MHz?)周波数カウンター用プリスケーラー(1/4分周器)(2016.03.06)
- 測温抵抗体(Pt100、白金薄膜温度センサー)の抵抗値を温度に変換する(平方根を使わない)計算式(2016.03.01)
- GPS/JJY(標準電波)を基準周波数源とするためのPLLの詳細(2016.02.27)
- GPS受信モジュール1PPS対決 - GE-612T vs GM-5157A(2016.02.21)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
分圧抵抗と並列にコンデンサを入れている回路図をあちこちで見てましたが理由がわかってませんでした。
電池2個と考えればよかったのですね。でもどのくらいの容量にするか考慮がいるということになると、このあとに出てくる回路のほうが優れてるわけですね。
投稿: ほよほよ | 2014年10月31日 (金) 19時46分
コンデンサの容量の決め方は“4”の記事にちょっと書きましたがいちいち考えるのは面倒ですよね。
負荷が変われば容量も変わるし、入力信号に直流分があればアウトですから。
どうしても単電源でやるのならボルテージフォロアを使うのがいいと思います。
でも王道はやっぱりちゃんと二電源用意することでしょうか (^^;;
投稿: セッピーナ | 2014年10月31日 (金) 21時20分