オペアンプを単電源で使う方法 - 3
抵抗による分圧で単電源を二電源に見せる方法でもう一点注意しなければならないことがあります。それを含めどういう方針で進めればいいかを考えます。
これまでの記事、これからの記事
「オペアンプを単電源で使う方法 - 1」
抵抗分圧による二電源化の問題点
「オペアンプを単電源で使う方法 - 2」 (この記事)
抵抗分圧でなんとかするいろんな方法
「オペアンプを単電源で使う方法 - 3」
抵抗分圧による方法のまとめ
「オペアンプを単電源で使う方法 - 4」
電源電圧の中点をオペアンプで安定化する。
「オペアンプを単電源で使う方法 - 5 」
RS232CインターフェースICのチャージポンプを利用する
「RS232CインターフェスICで作るオペアンプ用正負電源 - 定電圧機能つき」
製作例
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これまで帰還抵抗を流れる電流に注目していたのですが、抵抗分圧で作った回路が十分なダイナミックレンジを取れなくなる理由はそれだけではありません。
オペアンプを使うというのは「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」に書いたような特殊なケースを除くと出力を後段で利用するためです。
例えば帰還抵抗を大きくして対応したケースでもちょっと負荷がかかるとまたおかしくなってしまいます。
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けっきょく何が問題なのかというと単なる電源の+から-に流れる電流ではなく+からGND(=中点)に流れこむあるいはGNDから-に流れ出す電流が大きいとダイナミックレンジがとれないということです。
対応としてはこういう電流が流れてもそれが全体にあんまり大きな影響を与えないようにすることが必要です。
簡単には帰還抵抗や負荷に流れる電流の10倍くらいを分圧用抵抗に流せばいいでしょう。もちろんこの電流は大きければ大きいほどいいわけですが、この電流は“ムダな”電流ですので(特に電池を電源に使っている場合)際限なく増やせるわけでもありません。
扱う信号が交流であれば分圧用抵抗と並列にコンデンサを入れるのが有効です。
1kΩの抵抗が適当だと思われるときは最低の周波数が160Hzであれば1μFのコンデンサを使います。周波数が1Hzでも100μF~200μFのコンデンサを入れれば問題ないはずです。対応としてはこのコンデンサを使う方法がいちばんまともだと思います。
基本入力は+側に限られるが0Vに近いところも正確に増幅したいので単電源のオペアップは使いたくないというようなケースだったら二つの分圧抵抗の値を変えて中点を変えてしまうという方法もあると思います。ダイナミックレンジを広くできるわりにはムダになる電流が少なくなります。
いろいろ書きましたがこういうやり方はやっぱり“非常手段”でしかないような気がします。
次の記事でもうすこしちゃんとしてやり方を書きます。
(「オペアンプを単電源で使う方法 - 4」に続く)
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関連
「交流電圧計(ミリバル)の簡単な作り方」
「ウィーンブリッジ発振回路の帰還量(増幅率)と波形の関係」
「ウィーンブリッジ発振回路の発振条件 - Excelで複素数の計算」
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