星像の有無を調べる - LimovieのFWHM
最近掩蔽観測も“合理化”できてきて観測が終わったら動画から潜入/出現の起きたフレームとその画像上の位置、GPSの1PPS信号が記録されたフレームと発光開始(あるいは終了)の位置さえ調べればそれらをExcelのファイルに入力するだけで潜入/出現の時刻がすぐにわかるようになりました。
とはいうものの潜入/出現の起きたフレームがどこか?というのがやっかいです。これについては決定的な方法はないのですが有力な判断材料があります。
この記事はいわゆる“独自研究”的な要素があります。じっさいにFWHMを潜入/出現の判断に使用する場合はご自身で十分研究した上で適用していただきますようお願いします。
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実際に星食を見ていると、あるいは動画を眺めていると潜入/出現は一瞬で起きるように見えます。ところが暗い恒星の掩蔽を動画で撮ったような場合どこで潜入/出現が起きたのか判断しづらいケースも多いです。
どうしても判断できない場合「光度変化測定用ソフト Limovie」で光度曲線を見たりするのですが、それでもまだ判断できないことがあります。ぜったいに星像はないように見えるのに光度曲線上は出現しているように見えるとか、逆に星像らしきものがあるのに光度曲線上は潜入しているように見える場合もあります。こういう場合けっきょく自分の目を信じて報告を作成するのですが、こういうとき判断材料として有効な手段があります。
「星食観測報告(2014年10月15日早朝/5.3等星)」に書いた10月15日の星食は5.3等星の出現だったので判断に迷う余地はないように思えますが画像を見ていると“恒星が出現する直前のフレーム”で恒星があるべき位置がちょっと明るくなっているようにも見えます。
実際「Limovieで見る星食観測結果(2014.10.15 ZC1029) 」に書いたように光度曲線を見ると少しだけ光量が増加しています。とは言え単なるノイズのようにも見えます。
こういうとき「光度変化測定用ソフト Limovie」の出力の一つにあるFWHMをチェックしてみるというのがいいと思います。
これは測定範囲の中に星像があると仮定して恒星像の中心からの距離と光量の関係にフィットする回転ガウス曲線を求めその半値幅を示すものです。恒星がなければその値は一言で言えばどうなるかわかりませんが恒星像があればだいたい一定の値を示します。
実際に10月15日の掩蔽について光度とFWHMをグラフにしてみました。
55フレームには明瞭な星像があります。53フレームにはぜったいに星像はなさそうです。問題の54フレームでは少し光量が増えているのですが星像があると断言できるレベルでもないと思います。
ところがFWHMを見ると54フレーム後はほぼ一定の値を示しています。このことから54フレームでは光量は小さいもののすでに星像が存在していると考えた方がよさそうです。
このFWHMというのあPSF測光を行ったときのものですアパーチャ測光の場合はHFDという指標が得られます。これもFWHM同様星像の有無の判断材料として使うことができます。
参考
「光度変化測定用ソフト Limovie」
「日本語版ユーザーズマニュアル」
「Half Flux Diameterについて」
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掩蔽の予測と観測全般については
『「掩蔽(星食)の予測と観測」記事目次とリンク集』
に、2014年10月の星食の予測については
「2014年10月の星食(掩蔽)予測(予測図作成機能つき)」 (予測用Excelシート付き)
にあります。いずれの記事にも参考となるサイトへのリンク等ついています。
それから星食など日時が逃せないものはツィートすることにしました。
@Seppina1
Twitterのリンクの張り方がよくわからなくて (^^;;
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