台風18号が通り過ぎる瞬間を見た
台風通過35時間前から45時間後までの気圧測定が完了しました。
「台風18号による東京の気圧変化 2014/10/05-08」
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80時間データを採るにしてもいちばん気になるのは台風が通り過ぎる瞬間、つまり気圧の変化が逆転するところです。
こんなことになっていました。
(海面更生気圧とありますがこれは海面更正気圧が正しいです)
一言で言えば毎時6hPaのペースで低下していた気圧が10時50分を境に一転して毎時6hPaで上昇し始めるということになっていました。
つまり台風18号は10時50分に東京(つまり私のおうち)に最接近した模様です。
もっとも細かく見ると一気に反転しているわけでもないです。一定の割合で低下していた気圧の変化が変化し一定の割合での上昇に転じるまで十数分あるようです。これは前記事「台風が通り過ぎるとき気圧はどう変化するか?」にリンクした論文「冨高四郎 - 台風圏内における気圧・風・渦度の分布」にある式からも予想されることです。つまり台風の気圧は中心に近づくほど急激に低下しますが、中心間近では気圧の変化はゆるやかになるようです。
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アメダスのデータをチェックしても東京に関しては私の観測結果と同じ傾向を示しています。この直線的に気圧が下がりあるところで逆に上昇に転じるというのは前記事に書いたように観測地が台風の経路上かそれにとても近いところにあることを示しています。
ただ観測された最低の気圧は979hPaであり気象庁の現況や予測にあるこのときの中心気圧970hPaとはかなり違います。いろいろ計算したり考えたりしたのですが、気象庁の現況/予測は低めに発表されているのではないかという気もします。数週間すると台風18号の詳細なデータが公開されると思うのでそのとき実際はどうだったのか確認した上で改めて考えてみたいと思います。
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台風18号は熱海、横浜、東京と進みました。横浜でも東京と同じような気圧変化が観測されたのではないかと思います。残念ながら横浜のアメダスのデータではV字に変化する様子を見ることができません。気圧がもっとも下がったのはおそらく10時30分頃でしょう。アメダスのデータは毎時のものですので最接近は観測時刻の狭間になってしまったようです。
熊谷では気圧はゆるやかな変化を示しています。熊谷が台風の経路からかなり遠いところにあったことを示しています。ただ通過時よりちょっと離れた時刻になると気圧の変化が東京や横浜とほとんど変わらないのは意外でした。
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関連
「台風19号による東京の気圧変化 2014/10/12-」
「台風18号による東京の気圧変化 2014/10/05-08」
「台風18号が通り過ぎた瞬間を見る」
「台風が通り過ぎるとき気圧はどう変化するか?」
「PICでI2C - 大気圧・温度センサーLPS331APの使い方」
「I2C大気圧センサーLPS331の驚くべき分解能」
「I2C大気圧温度センサーLPS331 - 海面更生気圧を気象庁とくらべてみた」
「意外に正確そうなI2C大気圧センサーMPL115A2の測定値 」
「PICでI2C - MPL115A2の大気圧計算法 」
「温度センサー3種の精度比較(摂氏0度~40度編)」
「I2C大気圧センサーLPS331の分解能はほんとうに高いのか?(温度編)」
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コメント
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アメダス東京値と実測校正値の一致具合が素晴らしいですね。(つい気付いてしまいました。更生?)
台風中心からの距離と気圧の関係が時刻で変化しないなら、2地点のグラフ比較で進路がわかるのでは、という推察はさすがだと思いました。気象衛星が無かった時代はそういうことをやってたのかも知れませんね。
投稿: ほよほよ | 2014年10月 6日 (月) 21時58分
はい、このセンサーLPS331APは気圧に関してはけっこう精度がいいです。データシートを見るとほんとかなあと思うようなことを書いてあるのですがあながち誇張でもないようです。
「海面更生」、気になりますよね。
これ気象庁の「気象観測の手引き」にもある正式な用語です。
「校正」や「較正」も(産総研とか)分野によって違う意味で使っているみたいですから、私はもうこういうのは“業界用語”と思うことにしています。でも書いていると未だに気になります (^^;;
台風情報は「速報解析による速報値」と「事後解析による確定値」があるんですが、“事後解析”って何をやってるんだろうというのが気になっています。
投稿: セッピーナ | 2014年10月 6日 (月) 22時19分
これは失礼しました(^-^;
つい更生施設と連想してしまい・・・データ補正に使う用語だとは思いませんでした。
でもひとつ覚えてためになったので書いてよかったです。
そういえば私の時計の気圧計(プロトレックに付いてます)もちょくちょく見てましたが977hPAが最低でした。
海洋上の台風の中心気圧ってどうやって測るのでしょうね(もうどこかに書かれてましたっけ?見逃したのであれば先に謝っておきますm(u_u)m)。
投稿: ほよほよ | 2014年10月 6日 (月) 23時04分
海洋上の台風の気圧は測るんじゃなくてドボラック法というので推定するのだそうです。
私も今ググってはじめて知りました。
米軍が飛行機を飛ばして測定するんだと聞いた記憶があったのですが、もう30年くらい前からそういうのはやってないそうです。
気象庁の台風の予測や記録を見ているのですが、気圧に関してはけっこうアバウトなようです (^^;;
投稿: Seppina | 2014年10月 7日 (火) 06時21分