PCオーディオでサンプリングスコープ - 1
こんなことやってるんだったらさっさとオシロスコープを買えばいいようにも思うのですが続けます。
なんでこんなことをしているかというといろいろ理由があります。
「超音波風向風速計」を作るのに超音波の受発信デバイスを探したら秋月にありました。送受信周波数は40kHzでした。正確に風速を測るには受信波がどんな波形をしているか調べる必要があります(「風速計・風向計を作る - 1」)
この40kHzというのはJJYの送信周波数です。電波時計用の受信モジュールは精度が悪くて懲りましたが、なんとかGPSと同等の精度が出せる受信機を作ってみたいと思っています。そのためにはもちろん受信機の調整や何かで40kHzの信号を正確に記録したり分析したりできる必要があります。
もうちょっと上の周波数まで頑張れればロランCあたりもターゲットになります。
なお超音波受発信機についてはいつもお世話になっているきむしげさんのサイトに記事がありました。
「超音波センサーで物体の距離を測ってみます」
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例えば50kHzの信号を目に見える形にしようとします。1周期(サイクル)は20μ秒ですから形を見ようとすると1サイクルに10回くらいつまり2μ秒ごとに電圧を測る必要があります。
PCオーディオはいろいろありますが典型的なサンプリング周波数は44.1kHzつまり20μ秒間隔くらいですから50kHzの信号の形なんかわかるわけがありません(そもそも増幅器の帯域がそんなにないわけですが)
これはオシロスコープでも同じで測定できる周波数には限界があります。
この限界を越える手法としてサンプリング(オシロ)スコープがあります。なんと25GHzというような周波数の信号を測定(観測)できるようなものもあります。
今回はこの手法を使ってPCオーディオでは見ることができない10kHzを越える信号を記録したり測定したりすることが目的です。
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もし信号が周期的なものであれば(上の50kHzの例で言えば)測定開始から2μ秒後の電圧も22μ秒後の電圧も同じです。さらに42μ秒後も62μ秒後も同じです。
このことを利用すると毎2μ秒ごとに測るかわりに毎22μ秒ごととか毎42μ秒ごとに測っても2μ秒ごとに測ったのと同じ結果が得られるはずです。つまり50kHzの信号をせいぜい数kHzしか見ることができないPCオーディオで見ることができるようになるはずです。
これはストロボスコープに似ています。回転する物体を回転数と同じ速度で点滅するストロボで見ると止まって見えます。ほんの少し点滅する速度を変えると“物体”はゆっくり回転しているように見えます。
なお、周期的でない単発の(過渡的な)現象はどうするかというと単発の現象を何度も繰り返して周期的にして測定します。超音波センサーの場合は1秒間に100回くらい超音波のパルスを発生させて調べる予定です。
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具体的にどうするかは次の記事で考え実際に作ってみるつもりです。今回はそんなことが可能なのか軽くテストしてみた結果を書きます。
7kHzの矩形波をそのままGoldWaveで見てみました。
上の信号をサンプリングして記録したものはこうなります。
似たような波形ですが、時間軸の目盛りを見るとわかるように上の方はわずか1/2000秒のできごとです。一方下の方は1/50秒の記録です。
15kHzの矩形波です。
PCオーディオのサンプリングの限界です。凸凹が目立ちます。
(これはサンプリングは44.1kHzではなく96kHzです)
(推定)70kHzの矩形波です。
PCオーディオでそのまま記録すると影も形もありません (^^;;
この70kHzの信号も“サンプリング”の手法を使えばPCオーディオで波形をみることができます。
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関連
「PCオーディオをオシロスコープ代わりに使う - 1」
「PCオーディオをオシロスコープ代わりに使う - 2」
「PCオーディオでサンプリングスコープ - 1」 (この記事)
「PICのDAC(DAコンバータ)を使ってみた」
「PICのDAコンバータ(DAC)を使ってみた - 補足」
「インダクタンスの測り方」
参考
「きむ茶工房ガレージハウス - PICの内蔵DAC機能を動作させて見る」
関連
「I2Cデバイス・アドレス一覧」
「同じアドレスのI2Cデバイスを使う」
「PICで平方根 - 白金薄膜抵抗で温度を測る」
「PICでI2C - ADコンバーター・MCP3425の使い方」
「PICでI2C - MPL115A2の大気圧計算法」
「I2C大気圧センサーLPS331の驚くべき分解能」
「I2C大気圧温度センサーLPS331 - 海面更生気圧を気象庁とくらべてみた」
「I2C大気圧センサーLPS331の分解能はほんとうに高いのか?(温度編)」
「PICでI2C - 1 (温度計を作る)」
「PICでI2C - 液晶(LCD)ディスプレイ(ACM1602N1-FLW-FBW)に表示する」
「PICでI2C - LCD(液晶)ディスプレイによる違い」
「サーミスタによる温度測定の精度」
「サーミスタ温度計の精度を調べる - 1」
「PICで作るお手軽サーミスタ温度計」
「炭素皮膜抵抗の温度係数を測定する話」
「ミニ恒温槽の作成に向けて - 1」
「ミニ恒温槽の作成に向けて - 魔法瓶の活用」
参考
「きむ茶工房ガレージハウス - PICの動かせ方入門はこちら - 16F1938覚書」
「きむ茶工房ガレージハウス - I2C通信の実験」
「きむ茶工房ガレージハウス - 気圧センサーで大気圧と標高を測定して見ます(MPL115A1)(MPL115A2)」
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気象も私の興味のひとつです(≧∇≦)
少しだけ電子工作の知識が出てきたのでついていけるかと思い超音波風向風速計調べてみました。
やっぱりもう少し修行が必要であることが分かりました( ;´Д`)
受信機みたいなのも作るのですね〜
電子工作が少しずつ分かるようになって、だんだん興味の幅が広がってきました。
投稿: 惑 | 2014年10月 5日 (日) 12時49分
超音波風速計のようにいろんな要素・機能が必要なものは昔だったら一つ一つの機能を設計して作り上げていったわけですが、今はPICやオペアンプや各種の機能ICがあるのでかなり複雑なものでもあっというまです。たぶん (^^;;
今のペースで勉強を続けられれば交流の基本的なところをマスターするのにそんなに時間はかからないと思います。そしたらPICやオペアンプを使っての製作は簡単すぎてきっと物足りなくなると思いますよ (^^)
投稿: セッピーナ | 2014年10月 5日 (日) 13時01分