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2014年10月26日 (日)

デジカメPENTAX Q7の静止画と動画の明るさ比較

PENTAX Q7の感度曲線(光量と画像の明るさの関係)を求め、それをもとに静止画と動画の感度の違いを調べました。実験の結果次の三点がわかりました。

EV値が1変化すると画像の明るさ(ピクセル値)は約36変化する
EV値と画像の明るさが比例するのは4~5EVくらいの範囲にわたっている
動画は静止画より約0.6EV明るく写る


またさんの記事「デジカメD7000の静止画と動画の明るさ比較 」のテーマを(タイトルごと)パクらせていただきました (^^;;

なお以下の実験は掩蔽観測を前提としているため実験条件が一般の撮影時とはかなり異なります。

星食観測に興味のない方は「ISO値の設定によるラティチュードの違い」の方が参考になるかも (^^;;

背景

掩蔽(星食)観測ではその時刻を(1/100秒のオーダーで)正確に決定するためビデオ(動画)での撮影が用いられることが多いです。
動画で記録した場合時刻の分解能はフレームレートで制限されますが、使用するカメラの感度特性がわかればフレームレートで決まる時刻分解能の限界を越えることができる可能性があります。

本来動画で感度特性を調べる必要があるのですが、ここではまず静止画の感度特性を調べます。また静止画と動画の感度の違いについても簡単に検討してみます。

実験方法

光源を用意しカメラの設定値(EV値)を変化させながら撮影して光量と画像の明るさの関係を調べます。

1. F2.0 ISO12800でシャッター速度を2秒~1/4000秒まで変化させます。

2. シャッター速度2秒、ISO12800でF2.0~F16まで変化させます。

3. シャッター速度2秒、F2.0でISO100~ISO12800まで変化させます。

画像の明るさはGIMPの画像情報/ヒストグラムを使って調べます。

ほんとうは光源の光量を変化させるべきですが現在は光源の光量を正確にコントロールする手段がないためカメラの設定値を信じて実験することにします。
また上の2.と3.は実際の撮影条件に合わせて1/30秒でやった方がよかったと思います。


Imgp3057f2iso1280030s110309_2


実験装置

Exp1_2

実験の準備

光源の内部がどうなっているかさっぱりわからないのでシャッター速度を1/8000秒で動画を撮影し光源が点滅していないことを確かめます。
なぜこうすると光源が点滅していないことがわかるのかというのは
  「デジカメのセンサー走査時間を測る方法
を参考にしてください。
実際の画像はこれです。すべてのフレームがこれと同様でした。
縞模様はないので点滅はしていないようです。
Imgp30828000s1test10188

実験結果と考察

条件を変えて撮影した例

隣り合う画像は露出が1EVずつ違っています。

Exp2

シャッター速度と画像の明るさの関係
Histogramm

相対的なものでしかないし特定条件での実験ではありますがEV値と画像の明るさの関係はつかめたと思います。
つまりEV値が1変化すると画像の明るさ(ピクセル値)は約36変化すること、EV値と画像の明るさが比例するのは4~5EVくらいの範囲にわたっていることがわかりました。

また上のグラフにある茶色のマークは1/30秒の露出で動画を撮影したときのものです。
静止画の1/30秒よりピクセル値で20ほど明るく写っています。
これは上の関係から約0.6EV明るく写っていることを意味しています。

経験的には恒星を写したときは逆にちょっと暗く写るように思えます。これは大気のシンチレーションのある中で点光源を撮影したときどのような結像が得られるかを含めて検討する必要があると思われます。

----

関連
  「ISO値の設定によるラティチュードの違い
  「デジカメPENTAX Q7の静止画と動画の明るさ比較 」 (この記事)

  「デジカメのセンサー走査時間を測る方法
  「動画の撮影時刻を知る(1)
  「動画の撮影時刻を知る(2)
  「NY NEX-5Nの1/15秒露出の動画を調べてみた
  「デジカメの特性を比較する

  「振動する焦点距離

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カメラとレンズ」カテゴリの記事

コメント

これは、デジカメによって動画の感度が違うということでしょうか?^^;

もし“違う”とすれば
  メーカーによって方針が違う
  機種によって設計が違う
  個体によってばらつきがある
のどれかだと思われます。
ただ動画は一つの条件でしかやっていないのでもっと実験を積み重ねないと“違う”ということもまだ断言できないと思います。

過去の観測結果を振り返って見てたんですけど、カメラレンズだと7等級でも画面にはっきりと映るんですよね。。。
ということは動画は撮れるんです。

このレンズです。
http://www.nikon-image.com/products/lens/nikkor/af-s_vr_zoom-nikkor_70-300mm_f45-56g_if-ed/

口径でいったら大して変わらないですし、望遠鏡の問題なのかもしれないです。

なるほど....
F値から計算するとφ=54mmくらいですね。
この場合F5.6というのが(どの程度かはわかりませんが)効いているんじゃないでしょうか。
同じ口径でF値が違うケースでF値がどう影響するかがテストできていません。
画像の星像の明るさ・大きさから口径・F値と限界等級の関係を調べようとしているのですがおそろしく面倒で...
こんなレンズがあるんだったらこれで十分観測できるんじゃないでしょうか。

ただこのレンズだと少し問題があります。
今までの観測では画面を最大まで拡大して観測していたのですが、動画に撮ると拡大出来ないのです(ノ_<)
撮影した後にトリムするとしても、そこまで拡大出来ないので、動画は諦めていました。

撮影された動画を拝見していないのでなんとも言えないのですが拡大する必要はあるのでしょうか。
単に光があるかないかだけだと思うのですが....
私はVGA(640x480)で撮影していて、それで困ったということは別にないです。
(記事に使うときはどこにあるかわかりにくいと思って拡大することはあります)

今夜は月が沈んでしまったのでちょっと撮れないですが、月がすごく小さくしか撮れないので恒星自体が見えないのです(ノ_-。)
明日撮れたら参考までに撮ってみます。

ディスプレイでは見えるけれど画像には写っていないということなんですね。
それとも写っているけれど拡大しないと見えないとか....
今日晴れていたら短い焦点距離のレンズでどこまで写るか試してみたいと思います。

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